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第6話 シカヤマ
その日は、猪原の話を聞いてから何も手につかなかった。なぜ記憶がその部分だけ吹っ飛んだんだろう。わけがわからなかった。
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寝付けなかった。
小屋の壁にかけてある時計は23時を指している。深夜だった。
隣を見ると、シカヤマは優雅にスマホをいじっていた。隙をついて持ってきて、詰んである牧草に隠していたらしい。操作をどうやってるかが気になるところだ。
「シカヤマ、ショート動画を100倍速で見るな」
「俺ドパガキだからなあ、、、ドーパミンを求めているんだよ」
こいつドパガキなのかよ。現代っ子じゃん。俺はぼそっと言った。
「人参でも食ってろ」
「俺にんじん嫌いだから詰んでるんだわ」
シカヤマはニンジンが嫌いだ。だから牧草を毎日食べている。
俺も急成長し、ニンジンが食べられるようになった。味気ない牧草からは脱出できたのだろうか…でも、俺が食べたいのは………
俺は、その話も耳から耳へスルスル抜けていくような感じで全く聞き取れなかった。というか聞く気がなかった、と言えばいいのか。わからない。
「どうしたウマノ、元気ないぞ」
シカヤマが不安そうに覗き込んできた。馬の顔が目の前にドアップで現れる。
シカヤマは馬の中でも1番信頼できる。俺は話すことにした。
猪原から聞いた俺の死因について………
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「ふーん」
シカヤマは聞いた後、そう言った。ふーん?なんだよ、ふーんって。
「それさ、」
シカヤマはどこか焦っているようにも、余裕があるようにも見えた。そして、しばらく沈黙が落ちた。
「それさ、」
シカヤマが気まずかったからかやっと言葉を発した。
「俺と**犯人探さね?**」
「………は?」
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翌朝。眠い目をぱちぱちして、俺は目を覚ました。時計は朝5時を示している。
シカヤマは寝ていた。スマホが開きっぱなしだ。「馬刺し特集」の記事が画面に出ていた。
俺はそっとスマホをこっそり奪い(人聞きが悪いぞ作者)、ぽちぽちとGo●gleで検索した。
--- 馬 事故 ---
出てきた。ニュース記事だ。
「中学生が馬に蹴られた事件から半年 馬は脱走したもの?未だ逃走中」
俺が死んでから、もう半年も経っていたらしい。未だ、逃走中……見つかっていないのか。
その犯人に復讐したい。倒して、それから———
「♪〜ニンニク玉ねぎ甘めの醤油…」
俺は口ずさむ。食べたい。馬刺しが。
そういえば、と俺は考える。
(俺がまた死ねば…また人間に転生できる?)