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本当の音を届けなきゃ
夢咲てぃあ。
序盤じゃぱゆあです!そしてまあ長いです!ちゅーい!主は…をつけるくせがあります、直したいんだけど直す気合いないんだーw
ゆあんの声が、静まり返ったリビングに溶けていく。ソファの背もたれに体を預けたじゃぱぱの呼吸は、いつの間にか穏やかな寝息に変わっていた。膝の上に置かれたあのノートは、今はサイドテーブルの隅で、月の光を浴びて静かに眠っている。ゆあんは、床に座り込んだまましびれた足を少しだけ動かし、じゃぱぱの寝顔を見上げた。画面越しに見せる「リーダー・じゃぱぱ」の顔ではない。眉間にわずかな皺を寄せ、何かに怯えながらも、ようやく安らぎを見つけた一人の青年の顔。「……バカだな。地面なんて、とっくにあったのに」ゆあんは小さく零すと、自分の肩にかけていたブランケットをそっとじゃぱぱの体に掛け直した。明日になれば、また現実に直面する。カメラのレンズ、編集画面、鳴り止まない通知、そして「期待」という名の見えない重圧。けれど、今夜この場所で交わした言葉が、じゃぱぱの心の奥底に小さな錨を下ろしたはずだと、ゆあんは信じていた。ゆあん自身、眠気はとっくに限界を超えていた。けれど、今ここで目を閉じてしまえば、この奇跡のような静寂が壊れてしまう気がして、朝日がカーテンの隙間から差し込むまで、彼はじゃぱぱの手を握ったまま、動かなかった。1. 眩しい朝の音翌朝、リビングに差し込んだ光は、昨夜の絶望を洗い流すかのように無慈悲なほど明るかった。「ん……」じゃぱぱが微かに身じろぎをし、ゆっくりと目を開ける。視界に飛び込んできたのは、見慣れた天井と、床に座ったままソファに突っ伏して眠っているゆあんの姿だった。(あぁ、そうか。夢じゃなかったんだ)じゃぱぱは、自分の手がゆあんの手に握られていることに気づいた。その温もりが、昨夜彼が自分を暗闇から引きずり出してくれた証拠だった。サイドテーブルに目を向けると、あの「ノート」がある。「⚪︎にたい」そう書き殴った文字は、朝日を浴びても消えてはいなかった。けれど、昨夜ほど自分を縛り付ける鎖のようには見えなかった。「……ゆあんくん。起きて、ゆあんくん。風邪ひくよ」じゃぱぱが声をかけると、ゆあんは「うぅ……」と唸り声を上げ、派手に伸びをした。「……あ。じゃっぴ、おはよ。腰、バッキバキだわ……」「ごめん、ずっと起きててくれたんだ。……ありがとう」じゃぱぱの言葉に、ゆあんは少し照れくさそうに鼻を擦った。「別に。それより、顔洗ってきなよ。ひどい顔してるから」「それはお互い様でしょ」少しだけ、日常のトーンが戻ってきた。けれど、二人の間には昨夜共有した「秘密」という名の絆が、一本の太い杭のように打ち込まれている。「……ゆあんくん」洗面所へ向かおうとしたじゃぱぱが、足を止めて振り返った。「今日、みんなに集まってもらう。Discordじゃなくて、対面で。……言える気がする。今の俺なら」ゆあんは、その言葉を待っていた。「わかった。俺がみんなに連絡入れとくよ。『リーダーから重大発表があります。全員、正装……じゃなくて、気楽な格好でいつものスタジオに来い』って」2. 集う色たち数時間後。カラフルピーチの貸し切りスタジオには、メンバーたちが続々と集まっていた。「急になんだよ、ゆあんくん。今日撮影休みじゃなかったっけ?」うりが少し眠そうに欠伸をしながら入ってくる。「リーダーが話したいことがあるって。……珍しいね、じゃぱぱさんから呼び出すなんて」なおきりが、いつもと変わらない穏やかな微笑みを浮かべながら、けれどその瞳の奥で、少しだけじゃぱぱの様子を伺っているのが分かった。ヒロ、どぬく、もふ、たっつん、シヴァ、えと、のあ、るな。全員が揃うと、スタジオ内はいつものように騒がしくなった。けれど、その中心にいるべきじゃぱぱが、珍しくパイプ椅子に座ったまま黙っている。「……じゃっぴ、いいよ」隣に座るゆあんが、小さな声で、けれど力強く背中を押した。じゃぱぱは、ゆっくりと立ち上がった。喉の奥がカラカラに乾いている。手のひらは汗ばんでいる。もしここで「休みたい」と言ったら、みんなはどんな顔をするだろう。失望されるだろうか。「無責任だ」と責められるだろうか。それとも、もうリーダーとして認められなくなるだろうか。一瞬、昨夜の暗闇がフラッシュバックしそうになる。けれど、ふと視界に入ったゆあんが、力強く頷いて見せた。『俺が地面になるから』その言葉を思い出し、じゃぱぱは肺いっぱいに空気を吸い込んだ。「みんな、急に集まってもらってごめん」じゃぱぱの声が、静まり返ったスタジオに響く。「今日は、みんなに謝らなきゃいけないことと、お願いしたいことがあるんだ」メンバーたちの表情が引き締まる。たっつんが冗談を言おうとして口を開きかけ、空気を察して閉じた。「俺……最近、リーダーとして、みんなを引っ張っていくのが、少し怖くなってた。動画に出るのも、カメラの前に立つのも、本当は吐きそうなくらい怖かった。……みんなにバレないように、明るく振る舞うのが、どんどん辛くなって……」じゃぱぱの告白は、たどたどしかった。けれど、一言一言を絞り出すように紡いでいく。「昨日、限界が来て。一人で全部終わりにしようと思ってた。でも、ゆあんくんが気づいて、止めてくれた。……俺、リーダー失格だよね。みんなに頼りきりで、勝手に潰れて……」そこまで言ったところで、視界が滲んで声が震えた。「でも、俺……まだ、カラフルピーチが好き。みんなが好きだ。だから、……少しだけ、お休みをください。リーダーを休んで、一人の『じゃぱぱ』に戻る時間をください。……いつ戻れるか、分からないけど。また、みんなと心から笑えるようになりたいんだ」言い終えて、じゃぱぱは深く頭を下げた。スタジオには、重苦しい沈黙が流れた。3. 「やっと言った」その沈黙を破ったのは、低くて落ち着いた笑い声だった。「……はは、やっと言ったか」顔を上げると、うりが腕を組んで、少し呆れたような、けれどどこか嬉しそうな顔で笑っていた。「じゃぱぱさん、隠せてると思ってたの? 最近の動画、無理してるのバレバレだったよ」「え……?」じゃぱぱが呆然と声を漏らすと、どぬくが隣からそっと近づいてきた。「僕も、ずっと心配してたんだよ。じゃぱぱさんの笑顔が、ときどき無理してるみたいに見えて。……僕たち、そんなに頼りなかったかな?」「違う! そうじゃないんだ。ただ、俺が勝手に……」「そう、勝手に。じゃっぴの悪い癖だよね」えとが、少し厳しい、でも愛のある口調で言った。「一人で全部背負い込んでさ。私たち、ただの仕事仲間じゃないでしょ。……家族みたいなもんじゃん」のあも、瞳に涙を浮かべながら頷いた。「じゃぱぱさんがいないカラフルピーチは寂しいです。でも、じゃぱぱさんが苦しんでるカラフルピーチは、もっと寂しいです。……ゆっくり休んでください。私たちは、どこにも行きませんから」もふが眼鏡の位置を直し、淡々と、けれど温かい声で続けた。「リーダー代理が必要なら、適当に回しておくからさ。たまには後輩たちに甘えなよ」メンバーの一人一人が、じゃぱぱに言葉をかけていく。そこには、じゃぱぱが最も恐れていた「失望」や「軽蔑」の色は、微塵もなかった。そこにあったのは、昨日ゆあんが言っていた通り、完璧なリーダーではない「ただのじゃぱぱ」を愛する、仲間たちの純粋な想いだった。「……お前ら。ほんと、バカだよなぁ」たっつんが、わざとらしく明るい声で言った。「リーダーが休み? 最高じゃん! 俺たちが好き勝手できるチャンスだぜ。戻ってきた時に『あれ、俺の居場所なくね?』って焦るくらい、盛り上げといてやるよ!」その言葉に、スタジオに笑いが起きた。じゃぱぱの頬を、一筋の涙が伝った。けれど、それは昨夜の絶望の涙ではなく、凝り固まった心が解けていく、温かな涙だった。4. 始まりの休みそれから数日間、じゃぱぱは宣言通り、一切の活動を止めた。通知はオフにし、PCも開かない。最初は「何かをしなければ」という焦燥感に襲われた。呼吸が苦しくなる夜もあった。けれど、そんな時は決まって、ゆあんがコンビニのアイスを持って部屋に現れた。「何もしない練習、進んでる?」「……難しいね。ついついエゴサしそうになる」「没収だよ、スマホ」ゆあんは、本当にただの「親友」として接してくれた。からぴちの話をする時もあれば、10年前のくだらない思い出話で夜を明かす時もあった。他のメンバーからも、時折短いメッセージが届いた。『今日はうりが撮影で盛大に噛んだよ。動画にするから楽しみにしてて』『新しいゲーム見つけたから、復帰したら一緒にやろうね』それらの言葉は、もはや「義務」ではなく、じゃぱぱをこの世界に繋ぎ止める心地よい「地面」となっていた。ある夕暮れ時。じゃぱぱは一人、公園のベンチに座って、沈んでいく夕日を眺めていた。オレンジ色に染まる空を見て、「あぁ、綺麗だな」と素直に思えた自分に驚いた。これまでは、何を見ても「これはサムネに使えるか」「動画のネタになるか」というフィルターを通してしか見ていなかったことに気づいた。(俺、ちゃんと生きてる)胸に手を当てると、ドク、ドク、と確かな鼓動が聞こえる。命綱にぶら下がって、必死に空を泳いでいた頃よりもずっと、自分の足で地面を踏み締めている感覚があった。ふと、隣に誰かが座った。「……いい景色だね、じゃっぴ」ゆあんだった。「うん。……ゆあんくん」「なに?」「俺、もう少しだけ休んだら、またみんなのところに戻りたい。リーダーとしてじゃなくて……いや、やっぱりリーダーとして、かな。でも、前みたいな『完璧なリーダー』じゃない。かっこ悪いところも全部見せる、新しいリーダーとして」ゆあんは夕日を見つめたまま、ふっと口角を上げた。「いいんじゃない? そもそも、かっこいいじゃっぴなんて、俺らあんまり期待してねーし」「ひどいな、それ!」二人の笑い声が、夕暮れの公園に響く。5. 結び目その夜。じゃぱぱは久しぶりに、あのノートを開いた。「⚪︎にたい」と書かれたページ。彼はその文字を塗りつぶすことはしなかった。その隣の余白に、新しい一文字を書き足した。「い」合わせて、「⚪︎にたい」から「生きたい」へ。幼稚な言葉遊びかもしれない。けれど、それが今のじゃぱぱの偽らざる本音だった。彼はノートを閉じると、それを引き出しの奥に仕舞った。もう、月明かりの下でそれをなぞる必要はない。「……さて」じゃぱぱは、ずっと電源を切っていたPCのスイッチを入れた。画面が起動し、眩しい光が部屋を照らす。ディスコードには、メンバーたちの騒がしいチャットログが溜まっていた。じゃぱぱは、少しだけ震える指で、メッセージを入力した。『みんな、お疲れ様。……明日、ちょっとだけ顔出していい?』送信ボタンを押す。一秒も経たないうちに、画面いっぱいにスタンプが踊り狂った。「待ってた!」「遅いよ!」「アイス奢れ!」その騒がしさが、愛おしくて堪らなかった。「ゆあんくん、俺……戻るよ。俺たちの場所に」窓の外には、満天の星が広がっていた。かつては遠く、冷たく見えた星々も、今は自分たちを見守ってくれる、彩り豊かな仲間たちの輝きに見えた。地面に足をつけたじゃぱぱは、もう二度と、命綱が切れることを恐れはしない。隣には、最強の親友が。背中には、最高の仲間たちがいる。それだけで、十分だった。