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壱
今日も家の神社の境内の掃除をしていた。手伝いで神社の巫女をしている。男でも巫女ができる神社なのだ。落ち葉を竹箒ではいていたらお客さんがきた。見かけない人だなと思っていたら、最近転校してきた子だった。たしか、犬神もみじだっけ?そんなことを考えていたら、彼が聞いてきた。
「お前、ここでバイトしてんのか?」
「うん。そうだよ、ってまぁ家の手伝いなんだけどね。」
僕が答える。「へえ〜。」という彼。
「どこかに出掛けていたの?」
「いや。この辺に神社があるって聞いた。そんで見に来た。」
「見に来たってどういうこと?」
「俺の実家がここの御本宮だから。」
「へえ〜。」
知らなかった。実家ってことは⋯。
「今って一人暮らし?」
「あぁ。そうだけど?」
久しぶりにこんなに人と話をした。どうしてだろう⋯。今めっちゃどきどきしている⋯。この気持ちはなんだろう⋯。いやいやでも⋯。相手も男だし⋯。よし、ここは冷静を装って⋯。そんなことを考えていたら、
「じゃ、俺帰るわ。」
「う、うん。じゃぁまた明日。」
帰っちゃうんだと少しさみしく思いながら、もみじが階段を下っていくのを見送る。明日少しだけ話してみようかななんて思っていた。
翌日昨日あったことを思い出しながら、僕は学校にむかっていた。学校につくと今日も、もみじくんはみんなに囲まれて話している。その無邪気な笑顔が、いつもより輝いて見えた。昨日みたいな感情が湧いてくる。
なんで⋯。こんなことに⋯。見られたらよけいに⋯。顔が赤くなる。
「おい。大丈夫か?」
「ひゃぁ!」
やばい、やばいやばいやばいやばい!見られた⋯。更に顔が赤くなるのを感じる。単に恥ずかしいだけじゃない。逃げないともみじに飲み込まれてしまいそうだったから。
「な、なんでもない。なんでもないよ。」
「なんでもないって、お前、顔赤いぞ。」
「大丈夫だから⋯。ごめんね!」
「おい!待てって!」
教室から勢いよく抜け出す。誰もいない場所へ⋯。
はぁ⋯。はぁ⋯。結局屋上まで来ちゃったよ⋯。これからどうしよ⋯。
「おい!」
誰かが僕の手首をガッと掴む。僕は振り向いた。それはもみじくんだった。
「え!どうしてここにいるってわかったの?」
「えっと⋯それは⋯そ、そんなことより、急に逃げ出すなよ⋯!俺がなんかしたんだっだらよ、な、なんかごめんな。」
「ううん。僕もごめん⋯。急に逃げ出したりして。」
「⋯今日はこれからどうすんの。」
「あっ⋯。確かに⋯授業、忘れていた⋯。」
「今更戻ったってどーすんだよ。言い訳できんのか?」
もみじが少し意地悪そうに笑った。手首をまだ放してもらえない。なんならさっきより掴む力が強くなった気がする。
「っ痛いよ⋯。ちょっと放して⋯。」
「いいじゃん。このままで。いい場所教えてやるよ。」