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第七話 思い出の欠片
**第七話 思い出の欠片**
その日の夜。
🐰「眠れない......」
きなこはベッドの上で天井を見つめていた。
頭から離れない。
古い日誌。
『勇者とよく話していた少年』
その一文がずっと引っ掛かっていた。
前世の記憶は覚えている。
仲間達のことも。
旅も。
戦いも。
魔王討伐も。
最後の約束も。
だけど。
本当に全部だろうか。
🐰「......」
妙な違和感があった。
**翌朝**
🍆「おはよう」
🐰「おはよ」
🦍「おはよー!」
⛄️「おはよー!」
🍌「眠そうだな」
🐷「寝不足か」
図星だった。
🐰「まあね」
隠す気もなかった。
**朝食中**
🐰「みんなさ」
全員が顔を上げる。
🐰「前世の旅で忘れてることってない?」
沈黙。
🦍「急だね」
🍆「どうしたの?」
🐰「日誌の少年」
その名前が出た瞬間。
空気が変わった。
⛄️「確かに変だよね」
🍌「記録が残っていた」
🐷「だが誰も覚えていない」
ありえない話だった。
六人全員が忘れている人物。
そんなことがあるだろうか。
**その時**
🦍「あれ?」
ドズルが首を傾げた。
🍆「どうしたの?」
🦍「いや......」
何かを思い出そうとしている。
しかし。
うまく言葉にならない。
🦍「気のせいかな」
首を振る。
だが。
その表情には迷いがあった。
**昼**
六人は町を歩いていた。
事件は起きなかった。
黒い魔物も現れない。
黒ローブの男もいない。
平和だった。
だからこそ。
不気味だった。
**帰り道**
古い橋を渡る。
小川の流れる静かな場所。
すると。
🦍「......」
ドズルが立ち止まった。
🐰「ん?」
橋の欄干を見ている。
そこには。
子供の字で刻まれた落書き。
かなり古い。
消えかけている。
それでも読めた。
『また会おう』
全員の動きが止まる。
🐰「......」
🍆「......」
🍌「......」
⛄️「......」
🐷「......」
何気ない言葉。
だけど。
心がざわつく。
その瞬間だった。
🦍「あ」
ドズルが声を漏らす。
みんなが振り向く。
🦍「思い出した」
息を呑む。
初めてだった。
あの少年について、
誰かが何かを思い出したのは。
🍆「本当?」
🦍「少しだけ」
ゆっくりと話し始める。
🦍「旅の途中だった」
🦍「よく俺達についてきてた奴がいた」
🐰「!」
🦍「子供だったと思う」
🦍「でも......」
そこまでだった。
それ以上が出てこない。
まるで記憶を切り取られたみたいに。
🐷「厄介だな」
🍌「だが前進だ」
確かにそうだった。
少年は実在した。
少なくとも。
六人の思い込みではない。
その日の夕方。
森の奥。
黒ローブの男は静かに座っていた。
手には古い木の笛。
何度も使われた跡がある。
男はそれを見つめる。
そして。
小さく笑った。
「ようやくか」
どこか嬉しそうな声。
そして少しだけ寂しそうな声。
風が吹く。
木々が揺れる。
男は空を見上げた。
「まだ忘れている」
そう呟く。
しかし。
その表情に焦りはなかった。
まるで。
彼らが思い出すことを信じているようだった。
静かな夕暮れの中。
物語は少しずつ、
過去へと近付いていった。