公開中
第二話 魔王軍の残響
**第二話 魔王軍の残響**
夜。
空へと昇った黒い魔力。
あの瞬間。
六人全員が顔を上げていた。
忘れるはずがない。
忘れたくても忘れられない。
前世で何度も感じた気配。
魔王軍の魔力。
リビング。
重い沈黙が続いていた。
🦍「今のって......」
ドズルが口を開く。
しかし。
最後までは言えなかった。
言う必要もなかった。
みんな同じことを考えていたからだ。
🍆「間違いないね」
ぼんさんが静かに呟く。
🍌「ああ」
🐷「......」
MENも否定しない。
⛄️「でもさ」
おらふくんが首を傾げる。
⛄️「魔王軍って倒したよね?」
部屋が静かになる。
その通りだった。
前世で魔王は滅んだ。
幹部も倒した。
戦争は終わった。
世界は救われた。
そのはずだった。
🐷「生き残りだ」
短い言葉。
全員がMENを見る。
🐷「全部確認したわけじゃない」
🐷「あの戦いで逃げた奴がいてもおかしくない」
🍌「......なるほどな」
前世の最後は激戦だった。
魔王軍全員の最期を確認したわけではない。
なら。
どこかで生き延びた者がいても不思議ではなかった。
🐰「だったら」
きなこが顔を上げる。
🐰「調べよう」
迷いはなかった。
みんな頷く。
ただ待つだけでは何も分からない。
まずは情報だ。
**翌朝**
六人は町へ向かった。
表向きは買い物。
実際は聞き込みだった。
最近起きた異変。
見慣れない魔物。
怪しい人物。
どんな小さな情報でもいい。
しかし。
「特に変わったことはないよ」
「平和そのものだねぇ」
返ってくるのはそんな答えばかりだった。
町は普段通り。
誰も異変を感じていない。
🦍「空振りかな?」
🍆「まだ分からないよ」
🐰「もう少し回ろう」
その時だった。
遠くから悲鳴が聞こえた。
「た、助けて!!」
全員が駆け出す。
広場の先。
人々が逃げ惑っていた。
その中心にいたのは。
魔物。
だが。
普通の魔物ではない。
全身を黒い靄が覆っている。
目だけが赤く輝いていた。
🐰「何......あれ」
🍆「見たことないね」
🍌「嫌な感じがする」
背筋が冷える。
本能が警告していた。
危険だと。
魔物が住人へ飛びかかる。
🦍「危ない!!」
ドズルが前へ飛び出した。
剣を抜く。
光が走る。
🦍**閃光斬**
一撃。
見事に命中する。
魔物は吹き飛び、
地面を転がった。
だが。
🐷「離れろ!」
MENが叫ぶ。
次の瞬間。
倒れた魔物が立ち上がった。
傷が塞がっていく。
黒い靄が集まり、
肉体を再生させている。
🦍「なっ!?」
⛄️「嘘!?」
見たことのない再生能力だった。
🐰「下がって!」
きなこが前へ出る。
空気が震える。
🐰**神雷**
青白い雷光が空を裂く。
轟音。
閃光。
そして。
魔物へ直撃した。
ギャァァァァッ!!
断末魔。
黒い靄が吹き飛ぶ。
再生しない。
起き上がらない。
魔物はそのまま崩れ落ち、
黒い粒子となって消えた。
静寂。
誰も言葉を発しない。
🍆「今の......」
🍌「ああ」
🐷「間違いない」
表情が険しくなる。
あの黒い靄。
あの不気味な再生。
前世で何度か見たことがあった。
魔王軍の実験体。
それによく似ていた。
**夕方**
六人は家へ戻っていた。
明らかに状況が変わった。
気のせいではない。
思い込みでもない。
敵はいる。
そして。
もう動き始めている。
同じ頃。
深い森の奥。
黒いローブの人物は静かに笑っていた。
「やはり生きていたか」
低い声が響く。
その視線の先には、
六人の住む町。
「勇者」
「神宮」
「魔法使い」
「シーフ」
「弓使い」
「魔獣」
懐かしむように名前を口にする。
そして。
ローブの人物の背後で。
複数の赤い瞳が開いた。
一つ。
二つ。
三つ。
無数に。
闇の中で輝いている。
「準備を始めろ」
静かな命令。
赤い瞳たちが蠢き始める。
長い眠りから覚めたように。
かつて終わったはずの物語は、
再び動き出していた。