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診断メーカーSS詰め
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太中は『「愛してる」って笑わずに言わないと出られない部屋』に入ってしまいました。
20分以内に実行してください。
「中也……」
「……」
「愛して……ふ、ふふ」
「……おい」
「あ、あい……っふふふ」
「おい」
「だ、だって、っふふ、よく似合ってるよ、女装! ふふ、あははっ!」
「入ったら勝手になってたんだよ! 笑うな!」
あと10分。
※ひとしきり笑った後
「いやぁ、本当によく似合ってるね! 体が小さいからかな?」
「んだと手前!」
思わず胸倉に掴みかかる。
すると、太宰は笑みを消し、襟にかかった手を掴んで引き寄せた。
「なっ……!」
バランスを崩した肩が抱き抱えられ、耳に唇が寄せられる。
「────」
鍵が開く金属音が聞こえた。
太中は『相手を犯さないと出られない部屋』に入ってしまいました。
「……」
「……如何云う意味だ」
「……そのままの意味でしょう」
「否、犯すって……」
「何々ー? 中也は何を想像したのー?」
「はぁ!? ──痛ッ何しやがる!」
脛が痛い。太宰に蹴られたのだ。
太宰は悪びれる様子なく答えた。
「何って、暴行罪を犯しただけだけど」
ドアが開いた。
※正規ルート
「……」
「……如何云う意味だ」
「其の儘の意味でしょ。寝台まであるし」
「けど──、!」
唇に己以外の体温が触れる。
「ん、……ぅ、っは、ちょ、だざ」
「黙って」
太宰は俺の肩を寝台へ押すと、ぎしりと押しかかった。
「御免けど、同意得たら条件満たせないから」
仄暗い焔が映った。
あなたは太中で
【既成事実をスプーンひとつ / 濃くて甘いの】
をお題にして140字SSを書いてください。
人は食事を行う際、毎分およそ匙一杯分の唾液を使用するそうだ。
同じものが、舌先で、口元で緩く絡んだ。
目の前にある大嫌いな奴の顔。成行で重ねた昔の躰。とける熱。
癪にも漏れた吐息に、彼奴が目を細めた。
此の一杯分の甘さは、とろける蜜か、忍びよる罰か。
もう知ったことではなかった。
あなたは太中で
【キスマークで肌に花びら散らして / いきたいの?】
をお題にして140字SSを書いてください。
耐え拒むようにに寄せられた眉根、逃げ水の如く潤む瞳。
其れを見ながら、心臓が一瞬高く跳ねたのを感じた。
嗚呼、気に入らない。
如何してこうも予測不能なのだろう。
ざわつきを押し付けるように白磁に舌を這わせると、椿が震えたのが判る。
其の紊れに口の端を上げて、紅椿の花弁を散らした。
『上から二つめ、落桜』
此の行事特有の喧騒からも遠い教室の中。
下級生からのメッセージが記された黒板を、傾いた日差しが舐めている。
その中に、金色に縁取られた人影が浮かんでいた。やっと見つけた、と思いながら足を踏み入れる。
「太宰」
「……中也」
行儀悪くも机に腰掛けた其奴に声を掛けると、少しの間と共に応答が返ってきた。
胸には俺と同じように『御目出度う』と書かれた白いコサージュが刺さっている。
「国木田やら敦やらが呼んでたぞ。行かねェのか」
「うん……」
見事な生返事。行く気はさらさら無いらしい。卒業式だと云うのに、仲間不孝な奴だ。
夕陽に照らされ、鼈甲のようになった目は虚空を見つめている。
其奴の斜め前にあった机に、俺はすとんと腰を下ろした。
其の行動に太宰は目を丸くすると、ふっと頬を緩めた。
「なあに? 昔噺でもするのかい」
「否、別に」
何故だか直視できず、ふいと目を伏せた。
俺も何故此処に留まろうとしているのかよく分からない。伝言は言い終わったのだから、居る必要はない筈なのだが。
「唯の気紛れだ」
「ふーん」
興味なさげな声を出しつつ、太宰が足をぶらぶらと弄ぶ。
暫く、鴉も鳴くのを躊躇うような沈黙が流れていた。口喧嘩の応酬も煽りも無い。俺たちにしては珍しい時間だった。
同じ時を、場所を感じるのは最後だからかもしれない。進路は不可思議にも同じ大学とはいえ、学部は違う。流れる空気を噛み締めるような、はなから気にしていないような。そんな雰囲気が漂っている。
金色が赤みを帯びてき始め、沈黙が煩わしくなり始めた頃、太宰が何やら外方を向いてポケットを漁り始めた。
不審に思いながら見つめていると、不意に太宰が何かを此方に向けて放った。
ひょい、と投げつけられた何かを右手で捉える。訝しみながら開いた掌には、慣れ親しんだ金色の塊。まあ、所謂。
「釦……?」
「そ。釦。正真正銘上から二つ目」
同時に、自分の制服の釦部分を此方に見せる。本来ならば第二釦があるべき場所には、何も収まっていなかった。如何やら嘘では無いらしい。
何故だ、と眉根を寄せる。其れを見とめると太宰は肩をすくめながら言った。
「先刻からご婦人方に追いかけ回されてね。知らない人に持たれるのも気色悪いし、知り合いに持っておいて貰おうかと思って」
「……其処で何で俺になる?」
掌を見つめながら言った其の言葉に、数分前の俺の台詞が返された。但し、妖艶且つ不遜な、18歳がするとは思えない笑みで。
「唯の気紛れさ」
そうして太宰は、よっと声を出して机から降りると俺の隣を通って教室の外へ出た。
「君も早く降りておいでよ」
去り際にそう声を掛けるのを忘れずに。
甘く掠れた響きを残して金色から薄闇へ消えていく姿を、俺はぼんやりと見送った。
南風が色づくには、未だ早い。
『dolce』
錆びついて閉まりきっていない窓から入ってきた風が髪を揺らす。
私、太宰治は咎める人がいないことを良いことに大きな欠伸をした。
柔らかな陽光が降り注ぐ昼下がり。
普通なら私のような高校生は授業を受けているであろう時間帯だが、そんなこと知ったことでは無い。電気もついていない、古びた廊下を闊歩する。
此処は旧校舎。私の通う、音楽科の校舎とも普通科の校舎とも離れた、滅多に人が踏み入らない場所だ。
別に授業を抜け出してきたわけじゃ無い。
自習だと言い渡されたため教室を出てきただけだ。咎める教師もいないのだからギリギリセーフのラインだろう。
抑も、知っていることしか話さない教師や、騒ぎ立てる生徒と共にいて何が楽しいのだろう。かと言って、今からしようとしていることが特別楽しいことであるわけでも無いのだが。
そう思いながら飴色の板床をひたすら進む。
ぼう、と窓の外を眺めながら進んでいると、この前森さんから伝えられたことを思い出す。全く、私だって都合があるのだから何でもかんでも引き受けるわけじゃあないというのに。何が好きで、合わせるのも億劫な両手と共に弾かなきゃならないのか。
小さく溜息を吐く。
其の時だった。丁度、私の目的地である音楽室がある棟のあたりに入ったところ。ふと風に乗って耳に届くものがあった。
長調の弾むような旋律。
三歳児でも歌えるようなメジャーなその曲が、しかしジャズ風にアレンジされている。
所謂『きらきら星』。
私はその個性的な瞬きに誘われるように、足を早める。
しっかりと支える左手の和音の上で、踊るように跳ね、舞う右手のリズム。
高音部の健を自在に叩きながら、メロディを残す即興演奏。
遅い足をもどかしく思いながらも、やっとのことで辿りついた音楽室前からは、演奏者の顔は見えない。ただ、ピアノの黒い曲体に包まれるようにして時間はずれの夕日が浮かんでいるのが見える。
何とも人の耳を奪い去る音だった。
技巧は拙い。音楽科の生徒の平均を少し下回る程度のもの。少々引っかかるようなところも多々ある。
けれど、其の輝きには気紛れに光を見せる荒削りの鉱石のような魔力を持っていた。ダイヤモンドを巡って人が争う、なんて話をよく聞くがあながち、まやかしでは無いのかもしれない。
私はそうして暫く、音楽室のドア前で突っ立っていた。
夕焼け色の生徒が椅子をぎしりと鳴らしたのを切っ掛けにはっと我に帰る。生徒は未だ此方に気づいていないようだった。
私はそっと其のレールを跨ぐ。軋んだ床に、はっと其の生徒が振り返った。
晴れ渡った青天と目が合う。
「……誰だ、手前」
凄んだ声が警戒を含んで放たれた。
けれども私はそんなことは気にせず、口を開いた。
「……それよりも。君、人前で弾く心算はない?」
「は?」
「だから、ステージで弾く気はないかって聞いてるんだけど」
若しかして背と同じで脳味噌も小さいの? そう言ってみれば、如何云う意味だ、とか何なんだ手前、とかきゃんきゃんと言い返される。まるで小型犬だ。背も相まって。
私は其の犬にくすりと笑いをこぼす。生徒は、笑った私を見て呆れたようなため息をつくと、真っ直ぐに此方を見返した。
「……此方の質問に答えろよ。誰だ、手前」
「自己紹介は自分からするって云うのが筋じゃあ無いかい?」
私の至極真っ当な答えに、ぐっと生徒は言葉を詰まらせる。自己紹介もせずに話したのは手前だろう、とかぶつくさ聞こえた。暫くして渋々と云うように口を開く。
「……普通科一年の中原中也だ。」
真逆の普通科。あの演奏をしておいてか、とは思ったが何も言わないでおく。そして、其の答えを受けて、私も口を開いた。
「私は音楽科一年の太宰。太宰治だ」
却説、此方への返答は?
そう促され、歪められた顔の中に一瞬浮かんだ期待と歓喜、そして色濃い躊躇いを、私は見逃さなかった。
此の邂逅が小さな蝶の羽ばたきとして、嵐を巻き起こすことになるとは。
未だ誰も、思っていなかった。
『25時』
あつい。
くらくらする。
足がガクガクとして力が入らない。
「きもちい、?」
耳元で大嫌いな声が囁くのが聞こえる。
俺に答えることはできない。答える余裕もない。
その様子に奴はくすくすと笑いを溢す。苛つく。
腰にあった重みと温かみがぐるりと胸の方まで回されていくのを感じた。
「ッは、……〜〜〜〜ッ、ぁ」
躰の奥にあった熱がずっ、と引き出され、再び力強く押しつけられる。
その行動は何処か縋り付くように必死だった。
口元から勝手に女のような声が発せられて、其れを半ば不愉快に思いつつも、そんな思考もばらばらと解けていってしまう。
視界が揺らぐ。
髪が肩に張り付いて邪魔臭い。
その中でざらりとした包帯と、少し汗ばんだ蓬髪、冷えた指先が気まぐれに躰をなぞる。
なぞられた部分からふっと軽く、ふわふわとしていく。俺の意思とは別に、また虚空から熱が積み上げられてずるりと出される。
何も出ない。何も産まない。
無益で生産性の無い、喰らい合うばかりの行為。
其れでも。
奴は俺の輪郭に手を添え、此方に向かせて唇を重ねる。
何時も煙に巻くような奴にしては珍しい能動的な姿に、少しだけ満足感を感じる。
ああ、やっぱり、ほしい。
口腔を蹂躙される中でかけられた重みのまま、柔らかさに倒れ込んで手を首に回してやる。手袋も包帯も布も阻まない、やわい熱を押し付け合う。
今、この時だけ。
この時だけ、互いに互いだけを考えるのもアリかもしれない。
くたりと敷布に躰を預けて気を失ってしまった大嫌いな子を見つめる。
渇いた喉をミネラルウォーターで潤しながら、その赭い髪を指に絡ませてみる。
その一房一房は、本当に持ち主のものか疑うほどに私の手に順従で、どこか淫らな空気を纏って絡みつく。
ついた私の肘によって沈み込んだ寝台を流れるように赭色が指の間から落ちていった。
私と同じ男とは思えぬほど真白の肌は、ぐちゃぐちゃになった敷布の中にありながらも、僅かに差し込んだ月光を艶やかに返していた。
敵対している筈の私に、緩み切った寝顔を晒すわんちゃんの頬を撫でる。
触れた指に、その子は眉を寄せつつもそっとすり寄ってきた。無意識下故にいつもの強情が解けた行動に、自然と口角が上がるのを感じる。
あぁ、もうなんて可愛いのだろう。
夢を見ないその子の瞼に唇を寄せると、私も掛布へ潜り込んだ。
誰にも渡すまいと、包帯の絡む檻に夜鳥を囲ったまま。
ふと、自分ではない気配を後ろから胴回りにかけて感じて目が覚めた。と言っても、目覚めるずいぶんと前から腕は回されていたとは思うのだが。
あらぬことを考えないよう、若干どころではない違和感を持つ躰と喉から意識を逸らしながら考える。
包帯が僅かに解け、中々にグロテスクな傷跡が晒されている細腕を辿ると、まつ毛の伏せられた端正な寝顔が収まっていた。
黙っている姿だけは褒めてやっても良いのだが。無論、そこだけだ。
一度ひらけば腹立つ言葉を連ね、重ねれば酸素も貪る唇は、小さくすうすうと寝息を立てている。
精巧な細工の如き顔を眺めながら、ふと、此奴が桃が好きだと言っていたことを思い出した。聞いた当時は、此奴なんぞに好ましいという感情が存在するのかと意表をつかれたものだ。
此奴の、少ししか色を残さない浮世離れした躰は、さながら夜花のようだと思った。
とてもではないが、昨夜覆い被さっていた彼奴とは思えない。勿論、正真正銘同一人物だ。
ほんの出来心で、その花弁に自分のものを重ねようと顔を近づけたとき。待ち構えていたかのように、ぱちりと其奴の睫毛が瞬いた。
「じろじろ見ないでよ、気になるだろ」
「!? ッ……!……ッぁ」
言い訳の言葉を口にしようと、唇を開くが、其処から漏れたのは息ばかりだった。
動揺する俺を見て、奴がにまにまとしたり顔で笑う。
「あっは、ごっめーん! 配慮が足りてなかったねぇ!」
「ッ! ……はァ」
このまま言い返しても余計に苛つくだけだと悟り、溜息を吐く。此奴の声自体も何時もより幾分か掠れて、昨夜──今朝だろうか──の影を残しているのだから必然とも言えるだろう。
自分の情けなさに手で顔を覆っていると、伸ばした左襟足の部分が引っ張られる感覚を感じる。
相手の方を見ると、長く白い指が俺の髪を弄っていた。
緩く三つ編みに編んでみるわ、指に絡ませてみるわ。
何をしているのかと髪を奪い取ろうとしたが、すんでのところで辞める。
というのも、其奴が何とも甘やかで愛おしむような目をそれに向けていたからだった。其れを見て、髪をばっさり切り落としたくなるような、大切にしたいような。相反した感情がぐるぐると渦巻く。
俺の視線に気付いたのか、奴がふっと目元を緩めると此方を見つめた。
「なぁに、自分の髪に嫉妬でもしているの?」
嫉妬。
その言葉を否定したくて、ふいと首を揺ら──そうとしたが、髪を摘まれているせいでそこまでの可動域が無かった。仕方なしに目線を逸らすことで妥協する。
「んもう、素直じゃないなぁ」
何が素直だ。
非難を込めて軽く睨むが、奴は知ったこっちゃない。
「昨日はあんなに可愛かったのに──いった! 一寸!?」
可愛かった──のあたりを声に出したところで、掛布の中の足をめいいっぱい蹴り飛ばす。何だ此奴、何を言っているのだか。
もういい、という意味を表すため、顔を背けて元の通りに体制を直し、狸寝入りを決め込む。
一瞬の沈黙の後、奴が突然くすくすと笑い出した。
全く何がしたいのだか。どうかしている。
「あーあ、本っ当大っ嫌い!」
そんな台詞を、腕の力を強め、甘ったるい声で笑いながら云う姿を見て。
悪くないなと思うのだから、自分もどうかしている。
dolceって一番好きな音楽記号。弾くのはあんま好きではないが、雰囲気が好き。他でいうとブリランテとか。
後半の長い千字前後のは息抜きに書き殴っていたものたち。読み返すとその頃現実で何やってたか思い出せる。小っ恥ずかしい。
書きだめしていた。とりあえず放流してみる。