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過去編 キナコ
キナコの過去編です。
途中で出てくる「アマネ」という人物の詳細は次書く小説に。
**過去編 キナコ**
母の本棚
森の奥。小さな家。
朝の日差しが窓から差し込む。
🪄「ん・・・」
少年が目を覚ました。キナコ。まだノアたちと出会う前。1人で暮らしていた頃の話。
家の中は静かだった。静かすぎるほどに。
誰もいない。もう何年も。
それでも。
🪄「おはよう」
誰もいない部屋へ言う。
返事はない。それでも毎日そうしていた。
**アマネ**
家の奥。そこには大きな本棚があった。
キナコが最も大切にしている場所。
母の本棚。アマネ。
王国でも名の知れた魔法使いだった女性。雷魔法を得意とし、多くの村や街を助けて回っていた。
だが。キナコにとっては違う。
英雄でも。偉大な魔法使いでもない。
ただの母親だった。
⚡️「キナコ、本は好き?」
🪄(幼い頃)「好き!」
⚡️「ならいっぱい読もうね」
⚡️「魔法は人を傷つけるためのものじゃないの」
⚡️「人を助けるために使うの」
優しい人だった。厳しいよりも優しい思い出の方が多い。
**本棚**
キナコは本棚の前に座る。
一冊。もう一冊。
本を取り出して読む。
魔法理論。古代史。神話。魔法陣学。様々な本が並んでいる。
🪄「・・・・・・・」
ページをめくる。どの本にも。端の方に小さな文字があった。
アマネの書き込み。「ここは間違っている」「別の説もある」「面白い」
その文字を見るだけで少しだけ母が隣にいるような気がした。
**村**
キナコは村へ向かう。
「あら、キナコちゃん」
🪄「こんにちは」
「いつもありがとうね」
背の低いお婆さんが笑う。
「アマネさんにそっくりになったねぇ」
キナコは少しだけ目を丸くした。
🪄「そうかな」
「うん、優しいところなんて特に」
キナコは黙る。自分ではわからない。
優しいのか。ちゃんと母みたいになれているのか。わからなかった。
**星の本**
夜。いつものように本棚を眺める。
その時。一冊の古い本が目に入った。
表紙は擦り切れている。題名も読めない。古代文字だ。
その本だけは不思議だった。なぜか何度も手に取ってしまう。
開く。そこには無数の星。夜空いっぱいの星が描かれていた。
綺麗だった。思わず見入るほどに。
すると。ほんの最後のページにアマネの文字を見つけた。
「いつか読めるようになったら教えてね」
🪄「・・・・・」
小さく笑う。
🪄「じゃあ読むしかないね」
その日からだった。キナコが古代文字を学び始めたのは。
キナコが星魔法へたどり着くずっと前の話。
ただ。母が残した本を読みたかった。
それだけだった。
窓の外を見る。夜空。無数の星。
そして1番明るく輝く星。
🪄「母さん」
小さく呟く。返事はない。それでも。
どこかで見守られている気がした。
次はアマネのストーリーになります。
どんな人だったのか、キナコに教えたこととは。