公開中
増殖。
俺は、増えている。
今なお、増え続けている。
何回増えれば良いのだろうか?
一体何回——
何十回——
何百回——
数え出したら、キリがないと思う。
どうして俺はこんなになってしまったんだろうか?
---
「…暇だな」
俺の名前は「高場 大翔」。特になんもすることがない高校生。いわゆる不登校。
暇なのは、おそらく不登校だからだろう。
最近、Safariのシークレットモードというのを使っているが…
履歴が残らないため、よくプロフィールなどを作るやつで、ログインとかがないものでは増殖してしまう。
俺も、増殖したら便利なのにな。
次第にそう考えるようになってきた。
その次の日のことだろうか。
何か変なチク、という痛みがして。
目覚めて、隣を見てみたら謎の膨らみができていた。
気になって布団を裏返すと、そこにいたのは——
「ドうモ、オリジナル」
俺に似た、何か。
防衛反応が働いたのだろうか?
俺は、その場からとっさに逃げ出した。
逃げて、逃げて、逃げた。
もうそいつはいなくて、安心したと思った時。
また痛みがした。
今度はちゃんと見た。
自分が半分になっていく様子を。
「あ?あぁ…あぁ!!ああああああああ!?!?!?」
不思議なことに痛みはあまりないのだが、自分が半分になっていると言う感覚だけで自然と痛みが出てきて、自然と悲鳴なども出てくる。人間は面白い構造をしている。
実際は無い情報でも、脳が勝手に補完してくれる。
ありがたいのか、ありがたくないのか。
そんなことを考えているうちに、俺はまた分裂した。
「ドうも。オリジナルノ私」
恐ろしいことに、先ほどより、日本語が流暢になっていた。
まだ少し粗い部分もあるが…
外国人だと言われたら、信用できるほど。
俺は、その事実に恐怖した。
怖い。怖い。
たったそれだけの考えが頭を支配していく。
他に何も考えられないように。
また、自分が半分になっていくことも、認識できずに。
また、半分。
もう、半分。
十回ぐらい増殖した頃には、もう自分を超えていた。
「どうも、あなたがオリジナルですね?」
…と。さすがの自分でも、ここまで丁寧な日本語を使った事は無い。
そんな事実に、恐怖をした。
次第に分裂間隔が短くなっていって。
最終的には一秒に一回。
---
そうして、今に至るのだ。
治療法は無い。
ここから、巻き返すことはできるのだろうか?
そんなことをぼんやり考えながら、また増殖していく。