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第1話 春風と、逃げ場のない教室
主な登場人物紹介
■ 水瀬 結衣(みなせ ゆい)
本作の主人公。高校1年生。1-1
過去のトラウマから「恋愛恐怖症」を抱えており、誰とも深く関わらないよう静かに高校生活を送ろうと決めている。3月15日生まれ。部活に入っていない。
■ 神崎 凌(かんざき りょう)
本作の相手役。高校1年生。1-2
学校一のトラブルメーカーとして恐れられているヤンキー。強引で俺様気質だが、実は中学時代から結衣を一途に想い続けている。8月20日生まれ。部活に入っていない。
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窓の外では、散り始めた桜の花びらが春風に舞っている。
高校に入学して、まだ一ヶ月も経っていない四月の放課後。
私は決めていた。
もう誰とも深い関係を持たないことを。
恋愛なんて、もうしたくない。
そんな私が告白された。
よりによって、タイプが全然違う、そんな人に告白された。
放課後、急に壁ドンされて…告白された。
「おい、水瀬。俺と付き合え」
「……っ…」
過去のトラウマが、頭の奥から湧き出てくる。
中学の時、信じていた人に私のすべてを否定されたあの日。
『“お前みたいなやつ、誰からも愛されないよ“』
そんな冷たい言葉が、耳の奥で何度も反響する。
どうせ、恋愛とは『裏切る物』とずっと思っていた。
だから、違うクラスの神崎くんの言葉なんて、ただの気まぐれか、あるいは私をからかうための悪質な冗談に決まっている。
「……っ、やめて。私をからかうのは」
震える声でそう言ったのに、神崎くんは眉をひそめただけで、一歩も引こうとしない。
それどころか、私の逃げ場を塞ぐように、壁に置いた手に力を込め
た。
「からかってるわけじゃねえよ。中学からお前のこと狙っててわざわざ高校まで同じにしたっていうのに、なんだよ」
低く、けれどどこか焦ったような声。
神崎くんの瞳には、私を否定するような冷たさなんて微塵もなくて、ただ真っ直ぐに、私のことだけを射抜いていた。
神崎くんに『告白』されたことよりも、過去の『トラウマ』を思い出した方が辛かった。
「私は…もう…恋愛はしない…」
勇気を振り絞って言ったのに、神崎くんは一歩も引かない。
「それがなんだ。お前の都合だけで…俺は諦めない」
神崎くんは壁ドンした手にもっと力を入れた。