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白鷺財閥83代目姫君、白鷺縁。
宿敵の名もわかった。
目標もできた。
能力名もわかった。
白鷺財閥のお嬢様、白鷺縁は、大豪邸の廊下を静かに歩いていた。
手には、『アイギス』を制作すると同時に作られた、アイギスの設計図がある。
縁は、アイギスを倒すために設計図を持ち出せれば、これに大きく貢献できるだろうと思い、こっそり父の部屋に侵入して盗み出したのだ。
縁「よし、これがアイギスの設計図ですわね…!」
縁は、設計図をいつも持っているポーチに折りたたんで隠し、メイドたちの視線を今までにないほど気にしながら広い廊下を歩いていた。
すると、目の前から自分の父、厳太郎が歩いてきた。
彼は、縁の真横を通り過ぎ、自分の部屋の方向へ歩いていく。
まずい、と縁は思った。
だって、厳太郎は毎日、この設計図を熟読している。
|これ《設計図》がないことに気づかれるのも時間の問題だろう。
縁「これはまずいですわね…。お父様に捕まる前に、早くみんなのところへ…ってわあっ!!」
メイド1「お嬢様!?」
メイド2「大丈夫ですかお嬢様!!」
慌てて走り続けたせいで、派手に転んでしまった。
そうだ、昔からいつも自分はこうだ。
表向きは、全てが完璧なお嬢様。
でも、本当は弱い。
家族に捨てられたり、家族を失ったり、絶望したりしても。決して負けずに前を向いて歩き続けたみんなと私は、違う。
私は弱い。
本当に、弱い。
__厳太郎「おい、執事!!!アイギスの設計図をどこにやった!!」__
__執事「大変申し訳ありませんが、私は知らなくてですね…。」__
縁「(バレた…っ!どうしよう、どうしよう…!)」
冷や汗が止まらない。
私が設計図を持ち出したことがバレたら、私は、どうなってしまうのだろう。
怖い。
___でも、ここで立ち止まるのは自分勝手だ。
みんなでアイギスを倒して、勝利を掴み取るため。
**|父親《白鷺厳太郎》の計画を、止めるため___!!**
縁「……っ!!」
気がつけば、私は、パニエを仕込んだ重いドレスを羽のように扱って走りだしていた。
背後では、厳太郎の大声と、それを宥める使用人たちの声がする。
縁「これが。これが、弱い私にできること!!」
メイド1「お、お嬢様!?」
メイド2「どこにいかれるのです!!お嬢様!!」
メイドたちの制止の声を振り切って、走る。
走って走って。さらに走る。
だが、執事たちに先回りされていた。
執事1「お嬢様。ここから先は危ないのでお通しできません。」
執事2「走らず、お部屋にお戻りください。」
縁「なっ…!」
どうせ、厳太郎が手配したのだろう。
でもここで負けるわけにはいかない。
縁「なにか…。外に出られるところ…!」
必死で辺りを見渡す。
すると、丁度私が通れそうなくらいの窓を見つけた。
ここは16階。
このまま落ちたらタダでは済まないだろう。
それに、このドレスを着たままでは、この窓から降りることはできない。
縁「もう、どうでもいいですわ…っ!!」
私は、ドレスを脱ぎ捨てる。
動きやすい下着姿になり、窓の外枠に出る。
メイド1「お嬢様、危険です!!お戻りになってくださいませ!!」
執事2「お嬢様。一体何をなさるつもりですか…?」
私は、下を見下ろす。
16階から見える、美しい景色。
ふと、私は思いついた。
この窓の真下の地上には、庭園がある。
うまくそこの木に落ちれれば…!
厳太郎「縁!!お前!!何をしようとしている!!」
やばい、お父様が来た。
急がないと間に合わない。
私は設計図を入れたポーチを抱え、お父様の手が私の足を掴む寸前で飛び降りた__!!
**使用人たち「いやあああああああ!!!お嬢様ああああ!!!」**
厳太郎「お前たち!!何をやっている!!今すぐ一階に降りて、あの馬鹿娘を捕まえろ!!」
体が浮遊感に覆われる。
怖い、怖い怖い怖い怖い!!!
でも、もう飛び降りたんだから後戻りはできない…!
私の目の前に、ふかふかに整えられた木が見えた。
縁「きゃあああああ!!」
ドーンッッ!!
縁「痛いですわ…。……あ、設計図!!」
私は急いでポーチの中から設計図を取りだす。
幸い、設計図に傷はないようだ。
衝撃のせいで身体中が痛んで動かないが、16階から1階まで降りるのには、全力で急いでも時間がかかる。
そのうちに、逃げてしまおう。
縁「はっ…!」
私は重い体を無理やり起こして、また走り出す。
美しかったヒールは、踵が割れてボロボロ。
頭からは血が出ているし、痛すぎて耐え難い苦痛が襲ってくる。
縁「我慢、我慢ですわ…!」
必死に走って逃げて、警備が手薄な裏門から逃げ出す。
そして、着いた先は、菜々の家。
瀕死のままチャイムを押す。
ピンポーン。
すぐ菜々は出てきてくれた。
菜々「どうしたの、縁ちゃ……って、いやああああああ!!縁ちゃん、頭から血が、病院、病院!!ってかなんでこんなことに!?」
すごく驚かれている。
当たり前だけど。
私は菜々に、さっきあったことや、アイギスの設計図を持ち出せたことを話した。
すると。
菜々は急に泣きだして、私に抱きついてきた。
菜々「う、うわぁぁああん!!縁ちゃん、なんでそんな無茶したの!!死んだらどうするつもりだったの!!もっと命を大事にしてよ!!死んじゃったら、アイギスの設計図も届けられないし、計画も止められないし、私の親友が消えちゃうじゃん!!」
私が飛び降りたのが、相当ショックだったのだろう。
そのあと私は、設計図を菜々に渡して、病院に運ばれた。
設計図を受け取った舞雪さんが、調べてくれるそうだ。
また明日、本部に行こう…。