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目次
リーダーたちに届いた手紙
中学校は3年間。
中間学年2年生。
2年3組のリーダー、|紗季《さき》と|悠《ゆう》。
ある日、2人の元に一通の手紙が届いた。
<柑蜜中学 2−3 野山紗季様 戸山悠様 初めまして、私は治安特別防衛省の舞雪と申します。お二人にお伝えしたいことがあり手紙を書かせていただきました。最初に言います。2−3は超能力者の集まりです。クラスをお二人で仕切っていく中で、うっすら気づいていたのではないでしょうか。紗季様の能力は透明化。悠様の能力は空中浮遊です。このことを2−3生徒の皆さんにお話しください。それから、本当に言わなければならない時以外は、他の同級生や先輩、後輩にこのことは秘密にしてください。 根町舞雪>
2人は顔を見合わせた。
紗季「ねぇ、悠。みんなの行動とかでさ、不思議なクラスだって思ってたけど、超能力者クラスだって。」
悠「え、マジかよ…。しかも、先輩と後輩だから1年と3年に秘密にしないといけないってわけ?隠しててもいつかバレそ…。」
2人の頭は驚きの色で埋まった。
自分たちのクラスは超能力クラスだ。
そして、透明化と空中浮遊を授かった。前代未聞の大事件だ。
紗季「ねぇ、悠。あたしたちのクラス、なぜか先生いないじゃん。だから2人で引っ張ってこ。」
悠「…そうだな、じゃあまずは教室に帰って窓閉めて、鍵かけてカーテンして話そ。」
紗季「厳重ね。」
悠「だってよ、これ守らないと何が起きるかわかんねぇだろ。」
2人はそんなことを話しながら素早く教室に入り、みんなに今あったことを説明した。
一番最初に声を出したのは、いつも教室の隅で手袋をして座っている菜々だった。
菜々「あっ、あの!超能力者しかいないクラス…。ってことなら、私、それに心当たりありますっ!実は、生まれつき私、触ったものの硬さが変わっちゃって…。だからいつも手袋してて…。に、人間の硬さも変えられちゃうので、怖くて…。」
菜々のその言葉を聞いた瞬間、クラスメイトたちが次々と声を上げた。
縁「私もよ!!想いを込めて人を2人同時に触ると、お互いの関係を決められるの!仲良くしたり恋人にしたり、お互いを嫌わせたり…。」
お嬢様の縁。
龍太「俺は口から炎が出るんだ!それを使ってガス代浮かせたりキャンプで無双してたなぁ…。」
少し控えめだけどキャラが濃い龍太。
萌奈「えぇ〜?超能力者ぁ?萌奈もそうだよぉ♡手から宝石が出てね?パパとママに稼ぎ道具にされて保護されたのぉ!」
ぶりっ子気質だけど可愛いし過去が辛い萌奈。
千歳「ん?能力?そうだねぇ、体の部位を取り外せることかなぁ。」
ちょっぴりサイコパスっぽくて能力も十分怖い千歳。
7人で1クラス。2−3だ。
紗季「じゃあ今このクラスの人たちが持ってる能力は、透明化、空中浮遊、硬さ変え、縁合わせ、炎、宝石、部位取り外し…。ってことね!」
悠「そういうことだな。よし、後輩はあまり油断しなくていいとして…。くれぐれも先輩たちに勘づかれんなよ!なんかこの学校の3年ってそういうの気づくの早いから!」
萌奈「ちょっと悠くん〜。大声で言ったらダメだってぇ〜♡」
菜々「ま、まぁ、多分、使ってるところさえ見られなければ大丈夫だと…。」
縁「菜々ちゃんの言うとおりですわね。私のはそこまでだけれど、他のみんなは見られたら流石に言い逃れ出来なさそうですし。」
しばらくみんなでこれからについて話し合い、ひとまず解散することにした。
悠は紗季と一緒に帰路に着く。
紗季と悠の家は隣だ。
幼馴染でもある。
紗季「んで、悠!あたしの家で夕飯食べてく?」
悠「そうさせてもらう。」
悠に両親はいない。
悠が5歳の時に蒸発したのだ。
だから時々、悠は紗季の家に行く。
紗季「ただいま!」
悠「お邪魔します。」
2人が家に入ると、紗季の母親と父親は温かく出迎え、夕飯を作った。
悠は、夕飯を食べた後に家に戻って手紙を見返す。
悠「治安特別防衛省の、根町舞雪ねぇ……。」
外はもう暗い。
周りの家も夕食の時間だ。
悠「これからどうなるかは知らないけど、取り敢えず頑張るかぁ…。」
大騒ぎの1日目はこれにて幕を閉じた。
先輩たちと超能力特訓
治安特別防衛省の、根町舞雪という人物から手紙がきて、超能力の存在が判明してからしばらく立った。
ある日、悠は思い立った。
彼女は治安特別防衛省の人間だ。
わざわざ超能力のことを手紙で知らせてくるということは、この先戦いがあるのではないだろうか。
そう思った時、悠の体はもう動いていた。
悠「みんな、聞いてくれ。前にも言ったが、この手紙の送り主は治安特別防衛省所属だ。何もないわけ…ないだろ?」
悠がそう口にすると、紗季が立ち上がった。
紗季「それ…って…。つまり、戦うとか?」
その言葉をきっかけに、仲間たちは次々に口を開く。
縁「ちょっと待ちなさい!戦い!?私の能力、先頭向きではないのだけれど?」
確かに、人間同士の縁を操る能力である縁の能力は、先頭に不向きだ。
菜々「縁ちゃん…。……あっ!そ、そうだ!敵同士の縁を悪くしたら…。縁ちゃんの能力でも戦えるんじゃないでしょうか!」
菜々のその言葉を聞いた萌奈が席を立つ。
萌奈「確かに〜!菜々ちゃんの言ってるやつならぁ、縁ちゃんでも戦えるかもぉ!」
クラスメイトからの提案を聞いた縁の瞳に、薄い希望が宿った。
千歳「じゃあ、特訓するぅ…?校舎裏なら誰も来ないんじゃない?」
千歳がそう言うと、紗季が扉に向かって走り出す。
紗季「とりあえず、「急がば走れ」でしょ!」
紗季が教室を飛び出そうとする。
龍太「待て、紗季!外には…。」
紗季「えっ?」
龍太の声が紗季の耳に届いた時には遅かった。
前から歩いて来ていた先輩とぶつかったのだ。
??「うわっ!?」
目の前の3年生は転びかけたが、すぐに体勢を立てなおして話しかけて来た。
??「大丈夫か?飛び出すと危ないだろ。」
千歳「あれあれぇ…。あの人ってさ、サッカー部の陽暮先輩じゃない…?」
千歳の薄い殺意が混ざった優しい(?)声が響く。
サッカー部は、悠が所属している部活だ。
この距離。
会話が聴かれていたかもしれない。
悠の額に嫌な汗が滲む。
悠「せっ、先輩!さっき俺たちが話してたことって聞こえてました…?」
答えを聞くのも怖いが、恐る恐る聞いてみる。
陽暮先輩「ん?何か話してたのか?」
縁「(よかった、聴かれてないみたいですわね…。)」
龍太「(本当に危なかったような…。)」
幸い、話は聴かれていなかったみたいだ。
悠「な、なんでもないです!ほらみんな、校舎裏に移動しよう!」
菜々「わ、わかりました!」
縁「すみませんでした、失礼しますわ!」
悠たちは急ぎ足で校舎裏の方向に歩き出す。
陽暮「……?……」
陽暮の中に、少しの疑問が浮かんだ。
陽暮「(悠たちは何か隠しているのか?怪しい。絶対に。校舎裏に移動するなんて普通ないはずだ。……ならなんで、先輩たちに相談しない…?)」
陽暮は全校生徒が少ないこの学校で、後輩のことを、まるで家族のように扱っていた。
だからこそ、何かあるのなら気になるし、疑問にも思う。
だが、今は深掘りしないのがいいんだろうと思って、教室に帰って行った。
---
**校舎裏**
悠「結構ガチめにやばかったぞ…?」
龍太「ほんとだよ、しかもあの陽暮先輩。放って来ないわけがない。」
萌奈「そうだねぇ、後輩たちのこと大好きだもんね♡」
菜々「危険すぎて、学校じゃ休まる気がしません…。」
みんなで話し合いながら、能力の特訓をする。
悠「空中浮遊…ってジャンプしたら行けそうだな。」
悠が軽く地面を蹴る。
すると体が浮き上がり、空を浮いていた。
紗季「本当にできてるじゃない!透明化、透明化…。」
みるみる紗季の体が見えなくなって行った。
菜々「じゃあ、この髪留めを硬く…。」
菜々が髪留めに手を触れる。
すると、髪留めがまるで鉄のようにびくともしなくなった。
縁「私は…。じゃあ、あそこの野良猫たちの関係を良くしましょう!」
縁が2匹の野良猫を捕まえる。
すると、2人が急にべったりして歩き出した。
龍太「俺は何度も使って来たから慣れてるぞ!はい!」
龍太が口から炎を出す。
赤い炎で草が少し焦げた。
萌奈「萌奈はねぇ、ルビー出そうかな?愛の象徴♡」
萌奈の手から、少し形が歪んだルビーが転がり落ちた。
まるで、萌奈の心の傷を表しているようだった。
千歳「じゃあ僕は首を取ろうかぁ。」
千歳は簡単に首を持ち上げた。
悠の中に恐怖心が生まれた。
普通の千歳は怖くなんか…ないと思う。
でも悠は、千歳のことを怖いと思っていた。
夕方。
もう帰る時間だ。
みんな別れて帰路に着く。
超能力クラス、また明日。
悠と千歳とキョウフシンと
悠「おはよー。」
とある日の朝。
悠はいつも通り学校に登校してきた。
前は陽暮先輩にバレかけて(?)大変だったな。
そう思いながら席に着いた。
ガララッ
窓の外を見ていたら、扉が開く音が静かな教室に響き、千歳が入ってきた。
悠の心に感情が2つ、浮かぶ。
一つは、怖い。
純粋な恐怖心。
二つめは……。
千歳「どうしたの?悠〜。」
千歳が悠の顔を覗き込む。
悠「あ、ぁ、なんでもないよ。」
悠の額に冷や汗が滲む。
ふと、千歳の方を見る。
千歳「大丈夫〜?」
呑気に笑う千歳の瞳には……。
一筋も光がなかった。
そうだ。だから怖いんだ。
怖いと思い始めたのは、入学式の時。
桜が美しく咲く春の月、4月。
まだ能力も明らかになっていなかった悠は、入学式の席で隣になった千歳に話しかけた。
悠「ねぇ、俺、悠って言うんだ!同じクラスになるかもだし、同級生としてこれからよろしくな!」
千歳「うん、よろしくね〜。」
千歳のあのゆっくりとした口調も、最初は、『優しい人だな。』で流していた。
悠はキラキラとした目で千年の顔を見た。
白くて、後ろに結んだちょっと長い髪。
優しそうで…、。
光が無い瞳。
悠「え。」
悠は思わず声を漏らす。
すると千歳がまた笑顔でどうしたのかと聞いてきた。
やはり光は、ない。
校長「それでは、入学式を始めます。」
校長の一言で、会場が静かになった。
入学式の間も悠は、隣にいる少年の異常さにうっすら気がついていた。
式が終わった後。
悠が階段で滑って転んだ。
隣にいた千歳が悠の足を掴んだ。
千歳「あ、血が出ちゃったね〜。僕の足と交換しちゃう?」
悠「ど…、どういうこと…?」
そう言う千歳の声は冗談を言っているものではなかった。
千歳はポケットから、小さく折り畳まれたサバイバルナイフを取り出した。
千歳「君の足は取れる?切ってあげようか?」
千歳は悠に近づいていく。
悠「やっ、やめて!!」
悠は咄嗟に叫び、滑り落ちた痛みも忘れて逃げ出した。
走りながら少しだけ後ろを振り返る。
____そこには。
あの、
__~~優しげな~~__不気味な笑みを浮かべた千歳が、ナイフを持ってまだあの階段にいた。
悠は走って、走って、校門まで逃げる。
息を荒くしていたら、先生に、『クラス表が貼り出されているから見に行きなさい』と言われて怯えながら見に行った。
幸い、千歳と同じクラスではなかった。
でも、一年後。
千歳と同じクラスになった。
千歳は『よろしくね。』と、一年前に見せてきたあの笑顔で笑いかけてきた。
___今思えば。
あの階段での、あの言葉。
きっとあれは、体の部位を取り外せる千歳からしたら、善意での発言だったんだろう。
でも、あの言葉。
あのナイフ。
あの瞳。
全てが悠の、俺の"キョウフシン"を立てる|凶器《狂気》となった。
千歳「ねぇ、大丈夫?さっきから黙ってるけどさぁ。」
あ。考えすぎて意識が飛んでいたようだ。
悠「大丈夫、だよ…。」
頼むから。
早く、誰か来て。
そう願っていたら、教室の扉が開いて、菜々と縁が入ってきた。
2人は仲の良い親友同士だ。
菜々「ど、どうしたんですか…?」
悠「なんでもないよ、菜々。」
縁「……本当ですの?大丈夫でして?」
2人は悠のことを心配している。
悠が千歳の方を見た。
だが、千歳はもうそこに居なかった。
みんな次々と登校してきて、千歳のいない1日が終わった。
また明日、また……。明日。
悠の千歳に対する二つめの感情や、他キャラの関係性考察とかもどうぞ。