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第二話 条件
たのしい
「はじめまして。|琴吹 梨音《ことぶき りね》です」
ぺこりと綺麗な礼をした彼女は、とても美しかった。大学にも美人と言われている人は何人もいるが、その人たちとは比にならないぐらい美しく、そして儚い容姿をしていた。女に興味がない俺でも、見惚れてしまうくらいに。
「彼女には今日から、君の助手になってもらう」
「え!?」
思いもよらなかった言葉が耳に入り、滅多に出さない大声を出してしまった。助手なんて、この人に務まるのか。それが俺には心配だった。
「助手をつける理由はね、君にあと1年で『楽に死ねる薬』を作ってもらいたいからなんだ」
「い、1年…ですか!?」
更に驚いた。もうこの薬を作り始めて1年と半年が経つが、試作品どころか最初の一歩すら踏み出していない。それなのに、あと1年で、この薬を完成させなけなければいけないのだ。
「これには事情があってね…仕方ないのだよ。もし作り終えることができなければ、君を退学にする」
「た、退学…!?」
条件がきつすぎる。あと1年で薬を完成させないという無理難題に加え、失敗すれば退学というおまけ付きだ。
「そのための助手だ。研究の手伝いもするし、というか何でもしてくれると思うよ。一応言うが、私の娘だから決して手を出すんじゃないぞ」
「出しませんよ…」
というか、この人学長先生の娘だったのか。もう驚きすぎて疲れた。
ふぅ、とため息をつくと、彼女が慌てたように声をかけてきた。
「あ、あの、私、使えなかったら言ってもらって全然いいし、雑用でもなんでもします!だから、その…」
ため息が彼女に向けられたものだと勘違いしたようだ。人の前でため息をついてはいけないことをすっかり忘れていたようだ。長年人と話さないとこうなるのか。
「君がいるから嫌でため息をついたわけじゃないので」
「そ、そうですか…?」
今のやり取りをみて、学長先生は満足そうにうなずいた。
「うんうん。君たちならいい薬が作れそうだね。じゃあ私はここらでおいとまするよ。梨音をよろしくね」
「あっ、ちょ…!」
そうして俺は、彼女を助手にすることになった(強制)。
今回も明日続きだしまあす!!