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ピーキーブー 11今日のピー、なんか変
部活が終わった。
三人はいつもの帰り道を歩いていた。
いつもと違うことが、一つだけあった。
🐵「なあ」
🐷「ん?」
🐵「今日ピー静かちゃう?」
🐷「確かに」
少し後ろを歩いていたピーが顔を上げた。
🐿️「……疲れた」
🐵「大丈夫?」
🐿️「たぶん」
🐷「今日部活しんどかったもんな」
🐿️「うん……眠い」
🐵「今日は早よ寝た方がええな」
そこまでは、普通だった。
しばらく歩くと、道の端に一羽の鳩がいた。
ピーが鳩をじっと見る。
🐿️「……鳩や」
🐵「鳩やな」
🐷「鳩やな」
数秒の沈黙。
🐿️「鳩って、自分が鳩って知っとるんかな」
🐵「……は?」
🐷「何て?」
ピーは鳩から目を離さない。
🐿️「だって誰かに『お前は鳩やで』って教えてもらったわけちゃうやろ?」
🐵「いや、まあ……そうかもしれんけど」
🐷「急に何の話!?」
🐿️「じゃあ自分のこと何やと思っとるんやろ」
🐵「知らんがな!」
🐷「鳩に聞いて!」
🐿️「聞いて答えてくれる?」
🐵「答えへん!」
🐷「そもそも喋れへん!」
キーとブーは顔を見合わせた。
🐵「今日のピー、なんか変やな」
🐷「疲れすぎちゃう?」
🐿️「普通やけど」
🐵「普通の人は鳩の自己認識について考えへん」
また少し歩いた。
信号が赤になり、三人は足を止める。
ピーは信号を見上げた。
🐿️「信号ってさ」
🐵「今度は信号?」
🐷「何なん?」
🐿️「一個くらい紫でもよくない?」
🐵「よくない!」
🐷「何のために!?」
🐿️「きれいやん」
🐵「見た目の問題ちゃうねん!」
🐷「交通ルールどこいった!?」
信号が青になる。
ピーは何事もなかったように歩き始めた。
🐿️「……雲って食べたら何味なん?」
🐵「食べられへんわ!」
🐷「また始まった!」
🐿️「じゃあ雨って雲の汁?」
🐵「言い方!!」
🐷「絶対ちゃうやろ!!」
🐿️「……雲ジュース」
🐵「商品化すな!」
🐷「誰が飲むねん!」
ピーの目が電柱に移る。
🐿️「電柱ってずっと立っとるやん」
🐵「まあな」
🐷「電柱やからな」
🐿️「足疲れへんのかな」
🐵「足ないわ!」
🐷「生きてへん!」
🐿️「座りたい日もあるやろ」
🐵「ない!」
🐷「どこに座んねん!」
🐿️「ベンチ」
🐵「入らんわ!」
🐷「電柱サイズのベンチ作る気か!」
いつもならツッコミ役のピー。
今日は完全に立場が逆転していた。
少し先に自動販売機が見えてくる。
🐿️「自販機ってさ」
🐵「はい次!」
🐷「まだあるん!?」
🐿️「中にちっちゃい人おるんかな」
🐵「おらん!」
🐷「自動販売機やぞ!」
🐿️「ボタン押したら『はいよー!』って」
🐵「居酒屋ちゃうねん!」
🐷「中の人めっちゃ忙しいやろ!」
🐿️「お釣りも数えてくれる」
🐵「機械がやっとる!」
🐷「人を配置すな!」
ピーは今度は自分の手を見る。
🐿️「指って五本やん」
🐵「そやな」
🐷「今度は指?」
🐿️「六本あったら便利そう」
🐵「何に!?」
🐷「五本で足りとるやろ!」
🐿️「一本は予備」
🐵「指に予備いらん!」
🐷「どういう時に交換すんねん!」
🐿️「なくした時」
🐵「なくすな!!」
🐷「指やぞ!!」
二人のツッコミがだんだん速くなっていく。
🐿️「影って夜どこ行くん?」
🐵「知らん!」
🐷「消えるんや!」
🐿️「帰宅?」
🐵「どこに!?」
🐷「影の家あるん!?」
🐿️「家賃払っとるんかな」
🐵「話広げんな!」
🐷「影に財布ないやろ!」
🐿️「電子決済」
🐵「現代的!!」
🐷「そこだけ妙に進んどる!」
🐿️「マンホールってなんで丸いん?」
🐵「急に次行くな!」
🐷「話題変わるん早い!」
🐿️「四角でもええやん」
🐵「知らん!」
🐷「今日は答え求めんな!」
🐿️「『帰り道』って言うやん」
🐵「言うな」
🐷「うん」
🐿️「朝に同じ道通ったら『行き道』?」
🐵「……」
🐷「……」
🐿️「?」
🐵「それはちょっと気になる」
🐷「うちも」
🐵「いや待て!乗せられとる!」
🐷「危なっ!」
ピーはぼんやり二人を見る。
🐿️「今日二人ともツッコミやな」
🐵「誰のせいや!」
🐷「ピーのせいや!」
🐿️「珍しいな」
🐵「お前が言うな!」
🐷「いつものツッコミ担当返して!」
ピーは少し考えた。
🐿️「どこに返すん?」
🐵「そういう意味ちゃう!」
🐷「もう何でも疑問にすんな!」
少しすると、ピーが急に黙った。
🐵「……ピー?」
🐷「充電切れた?」
🐿️「……眠い」
🐵「そらそうやろ」
🐷「今日は帰ったらすぐ寝た方がええで」
🐿️「うん」
ようやくピーが普通に戻った。
キーとブーはほっとする。
……はずだった。
分かれ道まで、あと少し。
ピーがもう一度口を開いた。
🐿️「なあ」
🐵「まだあんの!?」
🐷「もう家帰ろ!?」
🐿️「最後に一個だけ」
🐵「何」
🐷「何やねん」
ピーは少し考えた。
🐿️「寝てる時ってさ」
🐵「うん」
🐷「うん」
🐿️「目つぶっとるやん?」
🐵「そらな」
🐷「寝とるからな」
🐿️「じゃあ、目開けたまま寝たら起きとることになるん?」
一瞬、静かになった。
キーとブーは同時にピーを見る。
そして。
🐵🐷「ならへんわ!!!」
二人の声が、見事なくらいぴったり重なった。
🐿️「……息ぴったりやな」
🐵🐷「誰のせいや!!!」
またぴったり重なった。
ピーは二人を見る。
🐿️「……漫才コンビ?」
🐵🐷「お前が言うな!!!」
三回目。
キーとブーは顔を見合わせた。
🐵「……」
🐷「……」
🐿️「仲ええな」
🐵🐷「ピーーーー!!!」
帰り道に、二人の声が響き渡った。
いつもはツッコミ役のピー。
けれど、疲れ切った今日だけは、最後まで二人を振り回す側だった。
翌日。
いつものように三人で歩いていると、ピーがふと思い出したように言った。
🐿️「昨日、うちなんか変なこと言っとった?」
🐵「……」
🐷「……」
キーとブーは顔を見合わせた。
🐵🐷「めちゃくちゃ言っとったわ!!!」
🐿️「そんなに?」
🐵🐷「そんなに!!!」
今日も二人の息は、ぴったりだった。
ピーがおかしくなっちゃった。
あ、現実のピーは多分元気もりもりですよ?
ね!ゆきだるまちゃん!
「そうだけど、なんか用?」
こわいこわいww
じゃ、次回もみてね!
ばいのりちゃー