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四度目の限界
「ちゃあんと就活してるんですかぁ??」
目の前で波打つ眉。奇妙な形を成して垂れ下がる目尻。腐った林檎の如くぐにゃる口。
全てがうざいんだよ。というかよくそんな絶妙な顔ができるな。逆に弟子入りしたいわ。お前と同じ顔ができればうざい顔戦国時代の天下取れるわ。
目の前で僕の就活事情に口を出してくるこいつは就職担当の50代おっさん。
たまーに顔を見るたびに毎回「ちゃあんと就活してるんですかぁ??」と一言一句違わず聞いてくる。
妖怪か何かか…
とにかくうざい顔で言ってくるので、案の定他の生徒からも苦手意識を持たれているようだが、本人は気がついていないのか全く改める気配がない。鈍感というのは甚だ恐ろしいな。
僕はトボトボと帰宅してスマホ動画を見る。我が人生で唯一の癒しだ。
『そこのあなた、就活してますか?』
『今始めないと間に合わない!就職活動!』
『あなたはESにどのくらい時間をかけましたか?私は3分_』
「このやろうっ!!!」
僕は思いっきり広告に向かって暴言を吐き出した。しかし画面の向こうのうざい顔には一切変化がない。当然だ。収録しているんだもの。
どうして就活の傷を癒すために動画を見ているのに、また就活について考えなければならないのか。僕たち就活生は時間や体力、労力に加えて逃げ場すらも奪われるのか。
こんなんじゃ無気力になるのも頷けるよなぁ!?
一旦落ち着いて深呼吸することにする。
吸ってー吐いてー吸ってー吐いてー
「このやろうっ!!!」
僕はスマホをベッドの上に投げ捨て、頭を抱えてへたり込んだ。
企業からメールが来た。ESだせ、面接日程決めろ、説明会の予約しろ…僕はマルチタスクができないんだよぉおぉ!!
なぜ就活生はこんなにもしんどいのだろう。
しかし僕は知っている。他国ではさらに熾烈な戦いが繰り広げられていることを。
だからと言って今の自分の状況が軽いとは微塵も思えないんだが?というか比べるものでもない。僕は僕だ!僕の苦しみがある!
「…そうだよ。僕は僕、なんだ。」
戦いで失った力は取り戻せない。だけど今からまた、始めよう。
「マルチタスクはできないが、『一日一個だけやる』という目標を持って向き合ってみよう!」
これが僕にできる限界の活動だった。