第二次世界大戦の時代の日本にタイムスリップしてしまった食いしん坊のパティシエの娘・一葉あずさ。困惑するあずさをかくまってくれた男の子、アキラへのお礼に美味しいお菓子をプレゼントしようとするけど…
続きを読む
読み方
1話ずつ表示します。
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
最高おかし隊っ!?#1
「おいしい…!」
できたてほかほかのメープルシロップが、上に乗っているバニラアイスごと溶かしたホットケーキ~!
それをほおばりながらリビングの椅子に座っている私はため息をついた。こんなにおいしいものが、この世に存在するのか…!
「あずさ、ほおばりすぎ!まったく、小6とは思えないわ」
コック帽に、エプロンをつけたお母さんにそういわれちゃった。「あはは…」
…自己紹介が遅れちゃった、私は一葉あずさ!お菓子大好きな小学六年生~!
お母さんがここ…『 |Patisserie first ⅼeaf《パティスリー ファースト リーフ》』を経営しているんだ!
だからお母さんの作るお菓子はどれも絶品!あのホットケーキも、お母さんが作ってくれたの。
え、私はどうかって?…正真正銘の、|食べる専門《作れない人》です…。
だってお菓子作りって難しいんだもん!
色々頭の中で言い訳しながらフォークをホットケーキに刺そうとすると、コトン、とプラスチックの白いお皿の音。
げっ、私もう食べきっちゃったの⁉
「あ~あ、もう食べきっちゃった!」でも、|食べる専門《作れない人》には何もできません!
仕方なくお皿の上にフォークを無造作に乗せてキッチンに運ぶ。
お母さんは仕事再開。あ~あ、さみしっ!
そうしてシンクをのぞきこむと、ピンク色のお皿に丁寧にシュークリームが置いてある。一口も食べてない。
え、汚い!もったいない、誰がこんなこと…
私がそのシュークリームをシンクから救出して、一瞬確かめた後パクリと食べる。
その時だった。
目が覚めたら、そこには青々と茂った森…ではなく!
切り株だらけの殺伐とした森とも呼べない森!
え、ここはどこ!?さっきは家にいたはずなのにーー
奥に突き進むと、木造の小屋が見えてきた。
あれ、なんだろう…?
そう思って突き進むと、「エイ、ヤー!」という叫び声。「人だ!」
そして。そこには教科書で見た軍服を着ている私と同い年くらいの男の子たちが、先端がとがった竹槍…?を藁の人形に向かって振り下ろしていた。見るからに緊迫した雰囲気が伝わってくるよ…!
「え、あれって一体、」
何~!?!?
---
しばらく息を潜めていると、バタバタと足音が聞こえた。「…いなくなっ、た、?」
ホッとしつつ慎重に進もうとすると、
ジーーーっ。
一人の男の子がこっちを見てきた!私と同い年くらいかな?
私は一歩踏み出した。話してみよう!勇気を出さないと、っ…
「ねえ、君、ここどこ?わ、私はえっと、あずさっていうんだけどね、その…、こ、ここって、…ひっ」私が話し終える前に、その子は私に剣を向けてきた。え、これ結構ヤバくない…!?「この非国民!はしたない格好をするな!貴様、何者だ!そこを動くな!動くようものなら、今すぐっ…」
ひ、ヒコクミン…?はしたない…?
「ねえ、ここはどこなの!?」「貴様のような奴に話すことではない!う、動くなと言っているだろう!俺の顔をじっと見るな!上官殿に突き出してやる!」ひ、ひぃぃっ…!?
上官って…、
わ、わかんないけどとにかくこわいぃぃっ!
辺りもすっかり暗くなってきて、夕焼けの空が夜空の藍色にだんだんと染まっていく。
これ、相当やばいんじゃ…。「ご、ごめんなさいっ…!?」「……」男の子の剣を持つ手が震えた。「ごめんな、」つい泣きそうな声が出ちゃった。だ、だって怖いし、刺されたっておかしくないんだよ!?
男の子ははぁ、とため息をついた。「こんな女が、情報収集などできるわけない。…来い」「え、って、はい!」
助かった…?のかな…?
最高おかし隊っ!?#2
「ねえ、あなたのお名前は?」「お前が先名乗るべきじゃないのか」
そ、そうでした!
どうやらここは第二次世界大戦、だっけ?の時代らしい。で、この男の子は少年兵。少年なのに兵士って、どんなスパルタ!?
「私の名前は一葉あずさ!小学…じゃない、今年で12歳になるんだ~!」
そのとき男の子は目を見開いた。え、何!?
「じ、自分は清水アキラだ。~っと、じゅ、16歳…」「16歳!?」え、私より身長が小さいくらいなのに!「私より3歳も上だったんだ…!」「計算が違うぞ。三歳じゃない、四歳だ」え、間違っちゃった。
「てか私より先輩だよね!じゃ~あ、アキラさんって呼ぶね!」「先輩とは何だ。お前は兵隊様か」
いきなりのド正論っ…!「アキラさんって、俺は女か?」「男だよ?」
アキラさん、何言ってんだろ…。「じゃ~あ、アキラ!アキラって呼ぶね!」「敬意がないが、許す」
「うん!アキ……」
そのとき、アキラの足が急にピタッとある小屋の前で止まった。あれ?「どうしたの?」その時。いきなりボロい…は言いすぎかな。昼間に見た竹槍や大量の袋が積んである、狭い小屋に押し入れられた。
ちょ、「待って待って待って~!なんでこんなとこに~!?」アキラは淡々と説明する。つ、冷たいっ! 「ここは物資小屋だ。ここに隠れとけ、絶対に見つかるな」「え、でも」「さすがに堂々と連れて行けるわけないだろ」そうだけどさ…、わざわざこんなところに入れる!?
「…は~い、わかった~」
命の恩人なんだから感謝しないといけないなっ!でもこんなところに入れなくてもいいじゃないか!
少しむすっとしちゃう!
「命の恩人なんだから…」
そう自分に言い聞かせる私なのでした。
---
「…え、お前」
「…ふぁああああっ」
アキラに名前を呼ばれて私はむっくりと起き上がった。
「おはよう~」
アキラはため息をついて、「おはようって、まだ18時だぞ」「ふぇ?」
もっとたくさん寝たような気がするなぁ…?まあいいや!そ・れ・よ・り!
「お礼がしたいの!恩返し!」「いらん」
秒速シャットアウト!でもまだまだ押すよ!「アキラは命の恩人なんだよ!私を助けてくれた!」「それはお前が無知だからだ」「そんなディスら…、馬鹿にしなくてもいいじゃん!」「事実を述べただけだが」
ムッカつくな~!「でも話だけ聞いてよ!」
私の熱気に折れたのか、アキラは「なんだよ」と耳を傾けてくれる。
やった~!私がしたい恩返しはね、
「この物資小屋、だっけ、のところに袋がいっぱいあるじゃん!?これって食料じゃない!?」「あ、ああ、そうだな」「だからだからさ!私、お礼にこの食料を使ってお菓子を作る!それをアキラに食べてもらう!」|食べる専門《作れない人》でも、これでもパティシエの娘だ。それに、私もここでも甘いモノ食べたい!(欲望)
でもアキラは怖い顔になっていく。な、なになに!?
すると私の胸倉を掴んできた。へ!?
「お国のための大事な物資なんだぞ!それを勝手に奪うなど…!」「っ、ご、」
ごめんなさ~い!?