irxs 医者パロ&障害者パロ
編集者:なあと_🎲
青、白、水 さんたちが医者化
黒、桃、赤 さんたちが精神患者になります。
グロい表現があるかもです。
医療知識0です 全部Googleに頼って書いてるんで!
これはフィクションです!!! ご本人様には一切関係ありません!!!
注意
エセ関西弁あり
年齢操作あり
nmmnです
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展開ジェットコースター
青黒メインの黒主人公
二次創作
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目次
irxs医者パロ&障害パロ 前半
読みにくいかも。
青さん視点
---
激しくなるパトカーのサイレンの音が疲れた頭に響く。
それが、頭に響いて、変に気になるが、歩道を早足で歩く。
隣の道路には多くの車が通り過ぎていた。
だが、今は一刻も早く家に帰ってベッドにダイブしたい。
不運にも、車に乗ろうとしたところ、バッテリーが上がってしまっていて動かせない状態だった。
が、タスクが終わったのが終電前だったので電車と歩きで帰ってきた。
「流石にキツいわ…、タクシー捕まえたらよかったかな…」
最近、仕事詰めで疲労が溜まっているのか、運動不足なのか、それとも…
(っいやッ、まだまだ20代やッ)
そう心の中で、騒いでいると後ろから怒声が聞こえた。
「おーい!!! 止まれーー!!」
俺よりも年上くらいの男性の声。走っているのだろうか、切れた息とともに、慌ただしい2人ほどの足音。
他人事のように思い、気に留めなかったが、急に、足になにか少し暖かく、骨ばった柔らかいものが足に纏わりつき、ズボンが下に引っ張られるような感覚があった。
驚いて足を止め、下を見ると、きれいな長い黒髪の小さい男の子が俺の足に引っ付いていた。
「ッやっと止まった…」
先ほど後ろから追いかけてきていたであろう男性二人が息を切らして言った。この子を追いかけていたのだろうか。
「ッ警察です。」
そう言って中年の男性はすぐ息を整え、背筋を伸ばしこちらに向けて警察手帳を見せつけてきた。若い男性も慌てて息を整えて、警察手帳を見せてきた。
「あの、その子を引き渡してもらえないでしょうか?」
逆に今すぐにでも剥ぎ取って早く家に帰りたいぐらいなのだが。
でも何故か俺のズボンを握りしめて離そうとしない。
「別に俺は良いんですが…この子すごく嫌がってません?」
そう、指摘すると、先程の中年あたりの男性が話し始めてくれた。
「…その子の、親御さんが虐待、育児放棄をしていたんです。それに気付いたご近所の方が通報されて、…
親がいなくなったので、親戚の人に預かってもらえないか、と交渉しに行ったところ、障害持ちの子供を見る余裕はない、と追い返されてしまって…児童養護施設に入れるところなんですが私達の隙をついて、逃げ出してしまって…。
こんなに小さいのに…可哀想に…」
そう言いながらその人は、俺の足元に引っ付いて離れない男の子に哀れみの眼差しを向ける。 そんな時も警察の人から隠れるように、俺を壁にする。
「児童養護施設に入れるくらいならこの子、俺が預かってもいいですか?」
自分でなにを言っているのかよくわからなかったが、この子を警察に引き渡してはいけないような気がした。
辺りの空気が凍りつく。
若い方の警察は、棒立ちでポカンとしている。
中年辺りの警察官は目を見開いて言ってきた。
「その子は、障害を持っていますが…」
ズボンを握っていた手がピクッと動いた。
「俺は精神科医です。この子は、パッと見ただけでもかなりの傷があります。障害を持っているならなおさらうちで預かります。」
諦めたように、安堵したように、警察の肩の力が抜けた。
「...わかりました。では、手続きはこちらでやらしてもらいます。」
では、と言いキレイな敬礼をし、パトカーの方へ戻っていく男性の警察官達。
ズボンが少し引っ張られたような気がしたので足元に視線を落とした。
「…、?」
不安そうだけど、心の何処かで安心したような、そんな表情をしながらこちらを見上げる男の子。顔はとても整っているが、目は腫れていて、目の下には隈、頬には涙の跡、体のあちこちには痣や切り傷などの傷も多い。栄養不足だろうか、腕は細く、痩せていた。服はボロボロで、靴は履いていない。
パッっと見ただけでも、虐待の跡がある。この子はどれだけの事をされたんだ、と思いながら抱きかかえた。
「よいしょっと...」
靴は履いていないので抱きかかえないと何かとまずいだろう。
思ったより、軽くて驚きつつ疲れ切った頭をフル回転させた。
(病院では夜勤の看護師がいるだろうけど、遠いし帰りが終電までに間に合わないやろ。ここからじゃ家のほうが近いか…)
「俺の家に行くな」
そこから先程よりも早い足取りで、家に向かった。
---
暗い部屋に電気を入れる。パッと点いた電気が強く、少し眩しい。
明日の朝に、コンビニかどこかで軽食を買って出勤しようと思ってたが、子供が来たのだからそうはいかない。
男の子と荷物をソファに置いて、コートを脱ぐ。
(冷蔵庫になにか入ってるかな...?)
そう思い冷蔵庫を開ける。
「......」
びっくりするほどなにもなかった。
少しでも材料とかおいてあるかな?と思ったが調味料一つなかった。
どうしようか、と考えていた時、あることを思い出した。
(そういえば、今日…ほとけになんか貰ったような気ぃするな...)
貰ったというよりかは勝手に突っ込まれたと言う方が正しい。
そう思いながら、先程ソファに捨てた荷物を漁る。
(確か、このバッグに入れてたよな....)
男の子は少し驚いていたが、俺の手元をじっと見つめていた。
(お腹空いてるんやな〜 かわええ〜)
ガサガサと資料ばかり入っているバッグを漁っていると、クシャっという音と感触が手にあたった
「....マジであったわ...」
卵やツナが挟んであるサンドイッチが出てきた。
「…食べる?」
そう言うと、男の子は戸惑ったような顔をして、しどろもどろしていた。
食欲がないのだろうか、と思い始めたあたりに目の前から大きなお腹の音が聞こえた。
「食べてええよ」
(別に俺は腹減ってへんからええけど...)
少し困ったような顔をした男の子だが、袋を取って手渡すと、すぐに手に取って、口に頬張った。
(ハムスターみたいやなw)
黙って眺めていたら、いつの間にか食べ終わっていた。
「まだ食べたい?」
「フルフルッ」
頬にいっぱい詰め込んで、横に頭を振る。
異様に食べる量が少ないが、カルテを見ないと何もわからないから、明日は早く出勤して、情報を漁ろう。
「じゃあ、お風呂入ろか」
---
ドライヤーで髪を乾かすが、髪がとても長く、なかなか乾かない。
風呂に入って分かったが、体にも複数の切り傷があったり、痣などもたくさんあった。
水が傷に滲みるのか、水をかけると猫のように風呂場から出ようとした。嫌がっていても、傷を洗わないと膿んでもっとひどい状態になるからやらないといけないだろう。
「はいっ終わったで!」
「コクッ...コクッ....zZ」
すごく眠そうにしていて、最後にはもう目を閉じて意識が朦朧とし始めている。
俺の感覚が麻痺しているから気にしていなかったが、子供の体力的にもこの時間まで起きているのは少しキツイかもしれない(PM 12:24)
「あぁ、ごめんね、もう寝るか」
そう声をかけたが、もう完全に眠っていた。
少し微笑みながら、俺は男の子と一緒に寝室に行き男の子を寝かせた。
すぅすぅと男の子の寝息が聞こえる中、俺は勉強を開始した。
ガタガタと電車に揺られながら職場に向かう。
今の時間は混み合う時間で、ちょうど席が1つ開き、座れたのだが、目の前は、人ばかりで、奥の窓が見えない。が、今日は少ない方らしい。
人込みや電車の揺れで酔わないか、気にかけながら今日のスケジュールを確認する。
早く起こしてしまったので、とても眠そうにしている。
家に食べれるものがなにもないので、途中ファミレスに寄った。料理を目の前にした時は目がとても輝いていたが、やはり食べる量はとても少なかった。
「寝ててええよ?」
そう言いながら、自分の膝の上に乗っている男の子の頭を撫でる。
---
しばらくして、降りる駅についた。
男の子を起こすのも悪いので、抱きながら駅に降りる。
二人分の切符を改札に入れて駅を出ると、駅員が不思議そうにこちらをガン見する。
流石に出勤時にこの年の子供がいるには少し早いくらいで、おまけに似ても似つかないから見られても仕方ない。
痩せているとはいえ、子供ひとり抱えて歩くのは少しキツイだろうからタクシーを呼ぶ。
「賽ノ目精神病院までお願いします。」
「おはよー!!!!!!!」
そんなクソデカボイスから始まる朝。
声の主...まろ先生は、3人しかいない この部屋の担当医だ。
名前は『青柳いふ』。俺らが勝手にまろ先生と呼んでいる。癖のない青髪を七三分けにしていて、真っ白な白衣に真っ白なワイシャツ、青色のネクタイを締めている。
少し縁の大きい横長のメガネをかけていて、その眼鏡の後ろには少し濃い隈が目の下にある。不眠症らしい。
「まろ先生うるさい...」
この眠そうに話すこいつは『赤羽 りうら』中1
負けず嫌いで、すこしツンデレなところもあるかわいい末っ子。つやつやの赤い髪にポンパというなんとも末っ子という文字がよく似合う子だ。
|統合失調症《とうごうしっちょうしょう》って言うのとパニック障害っていう2つの精神疾患患者だ。親はいて、親の認証でここに入院しているらしい。
「ごめんて〜、」
「...絶 対゛思って゛ない゛じゃん゛...」
「おはよぉないこ!今日、喉の調子良いね!」
このしゃがれ声のこいつは『桃瀬 ないこ』中2。
ピンクの癖っ毛で背が高いし勉強できるし、すこしやんちゃだけど、ユーモアがあるリーダーのような存在。|心因性失声症《しんいんせいしっせいしょう》っていうなんかストレスで声が出なくなる精神疾患患者だ。
それに加えて、同じ部屋の俺達と先生は大丈夫なのだが、人間不信になったりしている。
孤児院で育ってたらしいんだけど、崩壊寸前の孤児院で、障害持ちのないこが余ったところをまろ先生がひろったらしい。
「悠佑〜!起きろ〜!!」
「んぅ...zZ」
そして俺、『黒崎 悠佑』中3
黒をベースに黄色のグラデーションがかかっているのは今は亡き父親譲りの長髪だ。
みんなから何故か『アニキ』って呼ばれている。まぁ、この部屋の中で一番年上なのだが。
|解離性同一性障害《かいりせいどういつせいしょうがい》って言う、いわゆる多重人格だ。
個性豊かな人格が俺の中にたくさんいる。他の人格に変わった時に体の自由や神経、精神はその変わった人格にしか操作できないし、自分が操作していない時の記憶はないから情報共有が必須だ。
他にも身体障害、気分障害を持っていたり。
小1辺りの時に親が捕まって、まろ先生が拾ってくれたらしい。
「ほらほら!起きてご飯食べに行くよー!」
ここの病院は少し変わっていて、医者のまろ先生と初兎先生とほとけ先生が俺達の面倒を見てくれている。普通は看護師がやる仕事らしいが、障害や精神疾患が重く、看護師では手に負えないらしい。看護師はそれが仕事なのに。その手に負えないのがこの部屋に集められたいわゆる問題児、だ。
他にも色々変わっているところが多い。
「おはよぉ悠佑、他のみんなの調子はどう?」
「…みんな元気、だと思う。」
「そっか〜、じゃあご飯食べに行こう!!」
朝から変なテンションで食堂に連れていかれる。
---
「あ、みんなおはよー!今から朝ご飯?一緒に行こー!」
この水色の髪の人はまろ先生と同じく、俺達の部屋の担当医。ほとけ先生『水葉 ほとけ』
ほとけ先生は初兎先生と仲が良く、ふわふわとしたショタボと通る声でとても特徴的な先生。よくドジして怒られているけど変なところで感覚が鋭い。ラフなスウェットに少しワンサイズ大きめの白衣をゆるく羽織っている。癖のある水色の髪で、アホ毛と右目の下にあるほくろが印象に残る。
「いむくん、声でかいな」
そして、この人『白河 初兎』初兎先生だ。
一部跳ねている白と紫のグラデーションカラーの髪。大きめのスウェットをゆるーく着ているのが様になる。ふわふわとした印象強い先生だ。
「ほとけ先生もしょー先生も早くいこーよ」
りうらがそう言うと、それに被せるように小さくお腹がなる。
「ww 早く行くよー!」
「あ!ほとけ先生いま笑ったでしょ!!」
そんなゆるい会話をしながら、今日も一日が始まっていく。
「んぅ...」
一人しかいない仮眠室で寝返りを打つとギシっとベッドがなる音が響く。
今日は当直の日。
俺は不眠症で、今日は薬を服用してもなかなか寝付けない。
そのまま全く寝れず、徹夜するときもあるし、寝たと思ったら2時間もしないで起きてしまうこともある。
薬を服用してもそこまで変わることもなく、すぐに起てしまう。
実は縁の太い眼鏡をつけているのは目の下にある隈を目立たせないためでもある。
視力は悪いが、普段はコンタクトを入れている。
眼鏡に度は全く入っていなく、いわゆる伊達メガネ。
(もう起きるか...)
壁にかかっている時計は3時を指している。辺りはオートライト以外の光はなにもない。
頭に自分が担当している部屋の子供がよぎる。少し覗いていこうと考え、台に置いていたメガネや、コンタクト、白衣などを身につけていく。
そして、ベッドを整え、部屋を出た。
オートライトがあっても薄暗い夜の廊下を静かに歩く。ここまで静まり返っていると音を出すのに少し躊躇ってしまうくらいだ。子供の頃はこういう薄暗く、静まり返ったところが苦手だった。
---
目が暗闇に慣れてきた辺りで病室の前についた。
起こさないよう、静かにドアを引く。
入口に一番近いりうらのベッド。
りうらは、少し寝相が悪い方で、布団をひっぺがして左半身があらわになっている。
少し、苦笑しながら布団をかけ直してあげると、幸せそうに微笑んで、こちらまで頬が綻んでしまう。
その次のないこ。ないこは、孤児院の時のトラウマが原因で、悪夢を見てしまうことがたまにあるから少し心配。
だが、ないこは俺の心配を裏切るようにりうらより幸せそうに満面の笑みでにっこり眠っていた。俺は無意識に手を伸ばすと、すりすりと頬ずりをする。
小動物にかわいいことされたみたいな、そんな感覚。
そして、一番奥にある悠佑のベッド。
この部屋では一番年上でいつもお兄ちゃんしているから正直心配。
少しずつ近づいていくと、頭まで深く布団を被っているのが見えてきた。
近くに寄って顔を見ようとしたら、物音に気づいたのかベッドの中から振り返ってきた。
「...ぁろ...せんせぇ...?」
小さく、かすれた声が俺を呼んだ。
「まろ先生やで〜起こしちゃった?」
そう聞くと、悠佑は何かいいたそうな顔をして、すぐに諦めたような苦しそうな笑顔を見せる。
「んーん、今ちょーどおきた。」
「嘘。 ずっと起きてたやろ。 ちょっと一緒に気分転換でもしよか?」
6年以上一緒にいるんだから、悠佑の癖や嘘の付き方なんて手に取るように分かる。
「、今起きてる人格と変わるから、大丈夫。」
そう言って、俺を突き放すように深く布団を被った。
正直、俺と関わりたくなかったのだろう。
明日様子を見るか、と頭の隅で考えながら、静かに部屋を後にした。
---
あの部屋を担当している俺達には専用の部屋を用意されている。
部屋は何個かあって、俺達 医者が3人で共同作業する部屋もあるし、ベッドが置いてある患者用の部屋があったり、内側から開けられない部屋があったり...などと何部屋かある。
作業部屋に行き、勉強をしようか、と思い、体の向きを変えた。
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部屋の前についた。
いつも通りの白い無機質な扉。見慣れているはずのその扉はなぜかいつもより無機質に感じた。
白衣の胸ポケットに掛かっているネーム裏のカードキーをリーダーにかざす。
カチン、と鍵が開く音がし、ドアを押し開けた。
真っ暗な部屋に明かりをつけると、暗闇に目が慣れていた目が少し眩む。
自分のデスクの引き出しを漁り、大量に溜まっている論文を引っ張り出す。
眼鏡やコンタクト、白衣などの身につけている邪魔なものをデスクの空いている場所に適当に捨て、俺は論文を読み始めた。
---
規則正しく鳴る秒針が気になるくらい静まり返った部屋で一人、論文を読む。
いつの間にか日は出初め、窓から見える道路には車が多く走っている。
そして、いつの間にかついた廊下の電気に照らされて歩く看護師。
時計を見るとあれから4時間程立っていた。
「うわ、もうこんな時間やん...」
独り言をつぶやきながら廊下に出る。
ドアに付いている窓から見た時よりも外は明るくなっていた。
「あ、おはよぉいふくん!」
変に甲高い聞き慣れた声が左側から聞こえ、ぼやけた視界と頭で振り向く。
「ん?...あぁほとけか...おはよ」
ぼやけた視界に映る目一杯の水色。
「いふくん当直お疲れ様!眼鏡かけないの?」
そう言いながら顔を覗き込んできた。
「あー、忘れてた...」
クスクスと笑い声が少し聞こえてきたが気にしないで部屋にあるデスクに戻ると、4時間前とは打って変わって、デスクの上には論文が散らかっていた。
掃除や、片付け全般苦手な俺は、顔を顰めながらも、大量の論文の下からコンタクトと眼鏡のケースを発掘する。
手鏡を出し、両目にコンタクトを入れ、眼鏡をかけると、ほとけが自分のデスクに荷物を置くのが見えた。
それと同時に、扉が開けられ、白髪…初兎が入ってきた。
「お、いむくん今日は早いんやな!」
部屋に入って第一声がそれなのは、信頼関係があってこそなのだろうか。
「あ、まろちゃん今日当直だったっけ?お疲れ様〜〜」
こちらをチラっと見て、荷物を置く初兎。
ふと時計を見ると7時半を指していた。
「病室行ってくるな〜」
返事をしたのを確認し、部屋を出る。
---
ガラガラと音を立てながら、ドアを引くと同時に自慢のクソデカボイスで叫ぶように言う。
「おはよ〜!!」
そう、いつも通り元気に言うと返事が帰って来る。
「ん...おはよぉ、まろ先生」
「おはよ、りうら、調子どう?」
「...元気だよぉ」
初めに返事をしてくれたのはりうら。寝起きだから少し反応が遅いが、いつも通り元気そうだ。
「ッ....パクッパク...ッ」
「ないこぉ〜おはよ〜! 喉痛い?」
「ッ....コク」
「そっか〜痛み止め飲もうね〜 他に調子悪いところある?」
「...フルフル」
ないこは、声は出てないが、パクパクと口を動かす。
薬を出し、水と一緒に持たせると、すぐにゴクっと飲み込んだ。
ないこの頭を撫で、俺が一番気になるもう一つのベッドに向かう。
「悠佑〜おはよ〜?」
「...おはよういふ先生」
いつもと違う表情と言葉遣い。
保護人格 の いぶき だろう。
いぶきは主人格の悠佑よりも目を細めるようになる。
15歳で悠佑より1つ年上。主人格が不安定になっているときによく出てくるから、悠佑が心配になる。
「いぶき、おはよ〜 悠佑はどう?」
「今日は、調子悪いみたい…。 昨日からずっと泣いちゃってて、悠くん、一睡もできてないよ。」
「そっか…いぶきの調子はどう?」
「元気だよ」
全員の健康チェックを終わらせ、朝食のために病室を出る。
---
「ん〜お腹すいたぁ」
いつもの定位置に座り伸びをしながら言うりうら。
後に続いて、ないこ、いぶき、と座っていく。
途中から合流したほとけと初兎もいる。
「いただきます」と声に出し、器用に箸を使い食べ始める。
ニコニコと笑いながら幸せそうに食べるのを見ていると、自然に笑顔になった。
みんな全部食べ終わり 薬を飲まして片付けをする。
食堂を出て廊下を歩きながら、ほとけが喋る。
「みんな今日の予定、覚えてる?」
ほとけがみんなに聞くが、だんまりだ。
少し後ろを歩いていた初兎が何故か吹く。
「やっぱみんな嫌だよね〜」
そんな呑気なこと言っているが、俺らも案外大変。
だって今日は.....
--- **「持続性注射剤打つんやな」** ---
初兎が笑いを堪えながら言うとその言葉にないこりうらの肩が跳ね上がる。
毎月1〜2回打つが、やはり慣れない。
「うわぁ〜注射やだぁ〜」
「ッ.......パクッ!...パクッ!...ッ」
「ないこは無理やり声出そうとせんとってな〜」
あからさまに嫌だと駄々をこねるりうらとないこ。
---
「ねぇ〜、ほんとに注射するの〜?」
嫌そうにりうらが言う。子供あるあるの注射嫌い。
「しゃあないやろ〜、せんとやし〜...」
みんなに元気になってもらうためにはやらないといけない。
「ないちゃん、すっごいブサイクやで〜...w」
ないこは声が出ない代わりに、仏頂面で不満を表現している。
それを面白おかしく頬をつつく初兎。それにもっと不機嫌になるという地獄のループが始まっていた。
それに対して、いぶきは今、悠佑のカウンセリングをしてくれているのか、ずっと上の空。
「お、準備できたみたいやで〜行こか!」
ほとけから連絡が来たようで、ほらほらと急かすように廊下に出させる。
そんな初兎を見て、腹黒いな、と思いながら悠佑こといぶきを起こす。
「いぶき〜〜注射行くで〜」
急に俺が話しかけたのに驚いたのだろう。肩が跳ねる。
「あ、はーい」
そう軽く返事を返してくれたと思ったら、すぐにりうらの方へ行ってしまった。
---
水くん目線
---
「ちょっと冷たくなるよ〜」
「....ッ」
アルコール綿をりうちゃんの二の腕につける。
毎月やってる注射に少し不機嫌な感じ。
「力抜いて〜そうそう上手上手! 少しチクってなるよ〜」
ここからが僕の腕の見せどころ。
僕は麻酔科医志望で、麻酔科でレジデントをやっていたくらい注射は得意。
たまに、小児科の先生から予防注射を頼まれたりもする。
「じゃあ! 3数えて!」
「えー。やだ」
むすーっと反抗するりうちゃん。 かわいい。
「じゃあ先生数えるー」
「さーん」
「にーい」
「はい終わりー! えらいねー!」
毎月やり方を変えて今月は小児科の先生が教えてくれたやり方を試してみた。
りうちゃんはもう終わったの? という顔をしている。
が、そんなの気にしないで、片付けをしていく。
「よし!じゃあ戻るよ〜!」
「あ、うん…?」
少し戸惑ったような顔で後ろをぱたぱたとついてきた。
それが面白くって、つい頬が緩んでしまった。
おはようございます! こんにちは! こんばんわ! 僕です!!(?
なんかねー、読み直したら、なんかいやだった((
だから書き直す!
前のやつは消してないから見たかったらコメントでどうぞ
後半へ続くぁ!!
irxs医者パロ&障害パロ 後半
水さん目線
---
注射が終わり、部屋のドアを引いた。
見慣れたベッドの上には、しょーちゃんと悠くんが座っていた。
珍しく、いふくん達がいないが、多分すぐに帰ってくるだろう、そう思いりうちゃんと一緒に部屋に入っていった。
「...まろちゃん達、遅いなぁ...」
あれから5分たち、しょーちゃんが不思議そうに言う。
「ね、どうしたんだろ....」
そんな事をしょーちゃんと話す。
悠くんの知的学的人格のゆうきくんが、りうちゃんの勉強を教えている。
ゆうきくんは世話好きで、みんなのお兄ちゃん的存在。
いつもニコニコと人当たりの良い笑顔を浮かべているが、その奥に少し闇を感じるのは気の所為だと思いたい。
りうちゃん達を見守りながらいふくん達を待つ。
あれからもう少し経って、初兎ちゃんの表情が曇り始めたくらいの頃。
勢いよくドアが開いた。
「ハァハァッ.....ッパクッ!!パクッ!!!」
肩で息をしながら必死になにかを伝えようとするないちゃん。目には涙が溜まっている。
「ないちゃん?!どうしたの!?」
それに驚き、すぐに近寄る。
「グイッ!........パクッ!!パク!!」
白衣の裾を思いっきり引っ張られる。そのまま、ないちゃんに引っ張られていった。
しばらく歩いていくと、人通りが少ない場所に連れてこられた。
少し見渡すと、遠くで人が倒れているような影が見える。
「いふくんッ?!」
すぐに駆け寄り、肩を揺する。力なく倒れている彼の顔は青白く、よく見なくても分かるくらい普段よりすごく隈が酷かった。
「ないちゃん、先生背負って病室行くから! ゆっくりでいいからついてきてね?
調子悪くなっちゃったらナースコールで呼んでね?」
頭を大きく上下に振ったと同時にないちゃんの大きな桃色の目から涙が溢れる。
ないちゃんの頭を撫で、いふくんを背負い、全速力で廊下を走った。
---
白さん目線
---
大きな音をならして先程よりドアが勢いよく開いた。
ドアが取れるかと思いながら唖然としていると、ぐったりとしているまろちゃんを背負っているいむくんが息を荒くして立っていた。
「ハァ...しょーちゃんッ!!ハァ...いふくんがッ!!」
「大丈夫。いむくん一旦落ち着き。
まろちゃんをベッドに寝かせて」
ベッドに仰向けの状態で寝かせる。
眼鏡や、白衣、ネクタイを取って、首元を緩める。
それを後ろで不安そうに見つめているりうちゃんと、状況が飲み込めなくて固まっている悠くんが視界の端で見えた。
「いむくん、2人を違う部屋、連れってって、ないちゃんも」
「ぅッ、うん!」
先生が顔面蒼白で倒れていると不安にもなるし、いむくんも相当テンパっている。
正直この3人をこの部屋にいさせるのは、良くない。
3人が出ていったのを確認し、倒れた時に頭などをぶつけたりしてないか確認する。
「怪我はあらへんね...」
その後、なぜ倒れたか、まろちゃんを隅々まで見た。
この道のプロではないが、程々に知識はある。
症状は呼吸が少し浅いのと冷や汗、顔面蒼白。あと、最近特に眠れないと言っていた。
この症状をもとに、虱潰しに探していく。
症状と検査を照らし合わせながら、考えるに、|血管迷走神経性失神《けっかんめいそうしんけいしっしん》だと思う。
大体、睡眠不足で血圧の低下で失神したんだろう。
倒れた時にクリティカルヒットしなければ命に関わるようなことはないし、一時的に意識がないだけで、ほっておけばすぐに起きる。
そこまで危険ではないので、一安心だ。
---
青さん目線
---
気持ち悪い、頭が痛い、頭がふわふわする。
そんなことを思いながら重い瞼を開くと、そこには真っ白な天井が広がっていた。
見慣れないその光景に戸惑いながら、ゆっくりと起き上がりあたりを見渡す。
「まろちゃん、おはよぉ」
初兎が隣でパソコンを弄りながら、ゆっくりとしたテンポで話す。
「調子はどぉ?」
「ん…大丈夫…」
「嘘だね。はい、まろちゃん これ飲んで」
そう言いながら、ペットボトルに入ったスポーツドリンクを差し出される。
「ぁ、ありがと...」
それを受け取り、飲んでいると、今度は少し早口で話し始めた。
「...まろちゃんね、さっきないちゃんに注射打ち終わった後にぶっ倒れたみたいやで? 症状的には|血管迷走神経性失神《けっかんめいそうしんけいせいしっしん》やと思うから、塩分水分しっかり取って、できるだけでええから寝るようにしてな。それと、目眩とか吐き気とかが出たらすぐに言うてな? 俺らがいなかったらすぐに仮眠室で横になって安静に。」
「……はい…」
俺が返事をした後に少し間を開け、なにかを思い出したかのようにゆっくり話し始めた。
「あ、あと、ないちゃんが必死で呼びに来てくれてな〜 お礼言っておきなね?」
「ぇ、ぁ、ぅん…」
少し、間が開く。いわゆる|話すことがない《気まずい》ということだ
しばらくしてから初兎が話し始める。
「......倒れたのってこれが初めてやないやんな?」
その言葉に自分でも肩が跳ねたのがわかった。
「やっぱりな....」
心の声が漏れたような声で言う
「あんな? まろちゃん、俺より医師のキャリア長いんやから、わかるやろ?
まじで、このままなんの対策もしないと、本当にいつか死ぬよ? ただでさえ医者は激務なんだから。本当考えてや…。」
溜め息をつき、頭を抱えながら、ゆっくり話し始める。
「んで? 今日、症状は? いつから?」
呆れたような声で初兎に聞かれたので、ふわふわとする頭で必死に考える。
「えっと…朝起きた時からちょっと気怠い感じあって…朝食食べ終わったくらいから吐き気が来て、ないこの注射が終わって、病室に戻ろうとした時に急に目眩が来てフラっとして、そっから意識ない…。」
「そっか…吐き気は? 耳鳴りとかまだ続いてる?」
「ちょっと気持ち悪いのと、頭痛。」
「OK、 多分、頭働いてないし安静にしててな! 吐きそうになったらまた言うてな!!」
「ぅ、うん…」
急な変化に悪寒が走るが、気にせずにベッドに横になった。
---
水目線
---
PHSで連絡がくる。しょーちゃんからだ。
『あ、いむくん? まろちゃん起きたでー。 一応安静にさせるわー!』
「おけおけ! そっち行くねー! ちょい悠くんの情緒が不安定になっちゃって、今寝かせてる。他の子は大丈夫」
『りょー』
簡単な返事でPHSの電源を落とし、みんなで部屋に戻るよう促す。
「みんなー! 病室戻るよー! 片付けしよーね!!」
先程来たないくんとりうちゃんは勉強道具の片付けをし始め、僕はそれを手伝う。
片付けが終わり、寝ている悠くんを背負い部屋を出る。
「ほとけせんせー、あとで勉強教えてねー!」
「え〜? 僕よりいふくんに聞いた方がわかりやすいんじゃないかなー?」
「えー、じゃあまろ先生に聞こー」
そんなゆるい会話をしながら、病室に戻っていった。
青さん目線
---
あれから1週間たった。
なかなか不眠症は改善しないが、体調は回復し初め、横になったりできるだけ寝るようにしている。
『まろちゃん!! 昼休憩中ゴメンな!ちょいこっちきてーな!!』
「ん? 了解」
急にPHSが鳴ったと思ったら少し焦ったような初兎の声がした。
今は交代で昼休憩だったので、仮眠を取っていたところだった。
身だしなみを整えながら病室に向かう。
---
病室のドアを引きながら、俺を呼び出した初兎を呼ぶ。
「しょおー? なんかあったん?」
「あ、いふくん!」
俺の声に反応したのは、ほとけだ。
部屋を見渡しても初兎の姿が見当たらない。
「あれ? 初兎おらんの?」
「しょーちゃん悠くんと一緒に保護室にいるよー」
「あーおけおけ」
ほとけが、珍しくしょぼんとしている。
やはり、保護室には行きたくも行かせたくもないのだろう。
そんなほとけに近づき、ぽんと頭に手を乗せ、保護室に向かった。
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「しょぉー? 入るでー?」
ネーム裏のカードキーをリーダーに翳し、保護室の無駄に重いドアを押し開ける。
「あ、まろちゃん、急に呼び出してごめんな〜、」
ベッドの横に置いてある椅子に腰掛けている初兎がこちらを申し訳なさそうに見上げ話し始める。
「かまへんよ、悠佑は?」
よっぽどのことがない限り保護室に入ることはない。
本当に人生で1回入るか入らないかくらい。
「悠くん安定剤打って寝かせたんよー... さっき、フラッシュバックやと思うけど、パニックになって攻撃的になっちゃったんよね…俺の声が届かないくらい、で…」
そう言いながらベッドに寝ている悠佑の頭を撫でる。
その初兎の目は本当に悲しそうだった。
「せやな... 初兎、俺おるから、りうらとかの方行ってあげーや」
「え、ええの? じゃあお願いするわ」
そう言って初兎は部屋を出ていく。
悠佑との付き合いはそこら辺のカップルより長く、悠佑からの信頼も厚い。
そこら辺のカップルより。
それに、俺の近くにいると、精神が安定しやすいらしい。
初兎が座っていた椅子に腰掛け、悠佑の頭を撫でる。
目元にはキラキラと涙が浮かんでいて、頬には涙の跡がある。
指で、涙を拭う。
しばらくすると、悠佑が目を覚ました。
「……いふ先生…? ここどこ…?」
防御人格のかづ、だ。
とにかく慎重な性格で、悠佑を守るように行動する子。
あまり多くは出てこない人格だから、よくわかっていないことが多い。
「病院やで〜? 今は俺以外誰もいないから安心してな?」
安心させるようにゆっくりと話しかける。
「落ち着いて、深呼吸しよーな、先生に合わせて...吸って、吐いて、」
わざとらしく大きく息を吸う真似をするとそれに合わせて肩を上下させる。
「そうそう、上手上手」
ずっと怯えているように、体を縮こませていたが、深呼吸をやり少し落ち着いたようだ。
「ちょっとは落ち着いた?」
「…ん…」
力なく頷いたのを確認し、話を進める。
「じゃあ、ゆっくりでええから何があったか先生に教えてもらえるかな?
ちょうど先生いなかったからなんもわからへんのよ…?」
目を見ると、不安が伝わってくる。
そして、少し間を開け、慎重に話し始めてくれた。
「じッ、人格のみんなが…ぱって、消えて…悠くんも、どこにいるか、わかんなくなって…母さんが…現実逃避するなって…」
深呼吸をする前より体を縮こませ、目に涙を浮かべる。
この子達は自分の中に人格のみんながいるのが日常なのに、急に消えるのは、すごく恐ろしいことだろうと簡単に予想できた。
人格が急に消え、人格のみんなもパニックになって、トラウマが襲ってきたら、ああもなるだろう。
「せやんなぁ〜…辛かったな〜 ここに母さんいないからな! 先生は悠佑と人格のみんなの味方やで」
そう言い、悠佑を撫でる。
そうすると、悠佑の体がビクッと跳ねた。
こんな部屋、嫌でしかない。狭い部屋にベッドが一つ置いてあるだけの小さな部屋。外に出たくても出れなくて、誰もこないし、なにもできない、そんな辛い部屋。
可哀想だが、自傷他傷の危険があればここに入れなければならない。
「...せんせ...」
少し間を開けて話し出す。
「ん?」
「.....ぎゅってして」
少し、顔をそらしながら言う。 顔は髪で隠れて見えないが、耳が赤くなっている。
「悠佑は可愛いなぁ〜!」
ぎゅーっと強めに抱きしめながら、髪を掻き乱すように撫でる。
「んッ 悠佑じゃない」
むすっと拗ねるように言う。
「wかづやったな?」
自然に口角が上がっていき、またぎゅーっと強めに抱きしめる。
「ん…」
安心したのだろうか、力が弱まり、眠りに落ちていった。
そのままベッドに寝かせ、俺は静かに部屋を出た。
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ほとけに保護室の監視をお願いしようと思い、病室に戻り呼ぼうと思った時。
いつもの病室から慌ただしい音と声が聞こえた。
大きい音が苦手な子達だからすごく珍しい。
早めに病室の前まで行き、ドアを開ける。
「ん゙ぅッッ!! や゙ッ!!!」
「りうちゃん?叩いたら痛いやろ〜? まろちゃんちょい手伝え」
「了解」
ドアを開けるとりうらがパニックを起こしていた。
りうらのポンパはぐちゃぐちゃに乱れていて、初兎が落ち着かせている。
「安定剤持ってきたよ ! 」
ほとけが安定剤を俺に手渡す。 お前のほうが慣れてるくせに。
そう皮肉に思いながらも、せっせと準備をする。
「初兎、抑えとってな」
「おけ」
「ッッや゙ァッ!!!」
アルコール綿で拭いて、点滴を打つ。
「い゙ッッ!!」
「ごめんなぁ」
りうらが声を上げた瞬間りうらの力がどんどんゆるくなっていった。
完全にリラックス状態に入る。
「りうら〜? 大丈夫〜?」
「…ん……」
ぼーっとし始めて、うとうとと目を細める。
そのまま眠気に負け、眠ってしまった。
ベッドに寝かせると、後ろから声が聞こえた。
「り゛、ら、だいじょぉ゙、ぶ…?」
振り向くと、案外近い場所にないこがいて、驚く。
俺が驚いたのに驚いたのか、二人でびっくりすると、ないこの後ろあたりで、ブフッと吹くような笑い声が聞こえる。
「大丈夫やで〜」
笑顔で頭を撫でてやると、嬉しそうに口角を上げた。
「んで、いふくん僕のこと読んだよね?どーしたのー?」
また、後ろから話しかけられる。
ほとけだ。
「あー、保護室の監視とカルテまとめておいて」
「はーい」
黒さん目線
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保護室に入れられて、5日たった。
外には出してもらえないし、何もすることもないし、誰もいないし、同じ景色で
飽き飽きする。
ふと足音が聞こえてきて、ドアの方を見る。
「悠佑? 調子どうかな?」
ひょこっと部屋に顔をだしてきたまろ先生と目が合う。
ここに閉じ込められたような怒りと、不安から冷たい視線を送ってしまう。
「…まろ先生」
「ん? どうしたん?」
俺が不機嫌な態度をとっても、いつも通りの朗らかなまろ先生。
「…いつここから出してくれるん…」
「ん〜…先生にもわかんないんだよね〜…」
とぼけるような声を出すのに呆れて、そう、とそっけない返事を返し、そのまま先生から目を離し、ぼーっとなにもないところを眺める。
そんなときもまろ先生も何も言わないで、ただ一緒に眺めてるような、そんな感じ。
いつもなら安心できるその空間も、今の…ギリギリな精神状態の俺にとっては居心地は悪くて。
ネガティブな言葉が頭によぎった。
(…嫌だ。無理。疲れた。終えたい。消えたい。生きたくない。いなくなりたい。)
「…死にたい」
不意に出てしまったその言葉の持っている意味を数秒かけて理解した。
良くない言葉。 そんなことはわかりきってること。頭ではしっかりわかってる。
それなのに、今、この場で発したこの言葉は、その意味を持っていて、持っていない言葉。そんな矛盾だらけの、形だけ整った、俺の言葉だった。
でも、俺がこんな言い訳のようなことをしていても、まろ先生にはわかっていない。
意味を説明するにも、喋る気力が、人に伝わるように話せる気力が、もう残っていない。
(…おれ、なにしてるんやろ…)
自然と、頬に伝う涙の感触が気持ち悪い。
涙の感触の後、何が起きたかもなにも覚えていない。
気がつくと、そこはベッドの上だった。
ぼやける視界で、辺りを見渡そうと体を起こそうとする。
しかし、体が思うように動かなかった。
体を引っ張られるような感覚に、体を見下ろすと、ベッドから白い紐みたいなのが俺の体に巻き付けられている。
寝ぼけた頭で、必死に考える。 なんで。
動揺で頭が動かない。 なにこれ。
とにかく、これを外そうと、力を込める。
そうすると、紐みたいなのが食い込み、ズキズキと痛む。
今までも精神的にも追い込まれていたのに、こんなことされて、変になりそう。
こんなになるのは、まろ先生が拾ってくれたときから初めてだ。
俺が5日間もいた誰もいない真っ白な保護室。
ベッドが置いてあるだけで、本当になにもない部屋。
床は赤ちゃんが転んでも痛くないような柔らかい素材。
角などの尖ってるものはなく、中からは出られない、完璧な監視監禁部屋。
窓が付いているので、外は結構見えるが、鍵もないし、割れそうもない。
白い紐は、両手首足首と、腰、肋骨辺りに大の字で固定されており、腕は少し緩く、ギリギリ首を触れるか触れないかくらいだ。
一人で、ベッドに拘束されて、拘束されてるところは地味に痛むし、おまけに頭はふわふわと働かない状態なのに頭痛が酷い。
「…最悪、やな…。」
そこから、俺の意識はまたなくなった。
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黒さん(かづ [防御人格] )視点
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悠くんからのSOSで僕が変わって、5分もしないうちに、まろ先生が診察に来た。
1日に1回以上先生が様子を見に来てくれる。入っててもそこまで嫌じゃないが、好んで入りたいとも思わない。
それに加えて固定されてるなんて論外だ。今すぐにでも外してほしいが、大好きなりうらやないこ、先生達を傷つけてしまったり、悠くんの命が危険にさられるなら僕は一生このままでも良いと思う。
「おはような、調子はどーや?」
いつもより声のトーンを抑えてくれているのか、いつもより落ち着いている感じがした。
「頭、ふあふあして…いたい。」
「そっか〜 じゃあ、頭痛薬持ってくるな」
そう言って、にこっと人当たりのいい笑顔を浮かべると同時に、振り向いて、俺に聞いてくる。
「お腹空いてたりする?」
「…空いてないけど…喉かわいた。」
「OK、あとで頭痛薬と一緒に飲もうな」
そのまま、まろ先生が鍵をかけて出ていく音が耳に入る。
どんどん遠くなっていく足音に虚しさを感じながら、悠くんの体から込み上げてくる涙を必死に堪えた。
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「はいるで〜」
5分くらいして、まろ先生が帰ってくる。
「持ってきたで!」
マグカップを首の位置まで上げてにっと笑いながら、顔を覗かせるまろ先生。
もう片方の手には、いつも俺が飲んでいる錠剤と頭痛薬を持っていた。
すぐ隣の椅子に座って、マグカップを手渡してくれる。
中を覗くと麦茶が入っていて、それを一気に飲む。
「一気飲みはあかんで?」
「ん……」
ごくごくと一気に飲んでいく。
僕の両手で囲えるくらいの大きさなのに、気づくと マグカップの中身はなくなっていてた。
「...w もう全部飲んだん? 一気すなや〜…もっかい持ってくるから待とってな!」
「…うん」
僕が持ってたマグカップをひょいと取って、すぐに部屋を出ていく。
ひらひらと手を振りまた鍵をかけて部屋を出ていくので、閉じ込められたような気がしてちょっとさみしい。
さっきより、待ち時間が少し長かった。
窓の外には中庭があり、そこで入院着を着ている小学校くらいの子供が走り回って、それを木陰のベンチに親御さんと看護師さんが座って眺めている。
その、あるあるな風景をぼけーっと、見つめていると、足音が廊下側から聞こえてきた。
ここは本当に看護師さんも少ないし、保護室は端の辺りにあるから、ほとんど誰もこない。
(まろ先生、来たのかな...。)
そう期待をかけて、ドアの方をジッと見つめた。
「悠くーん?」
ひょこっと顔を出したのは、まろ先生より低身長で、短い白髪にぴょこっと頭の両端のアホ毛が特徴的な、しょー先生。
「悠くん久しぶりやん ! 元気?」
そう言いながら、右手に持ってるマグカップと一緒に薬を渡してくれる。
無言で貰うが、それよりもっと不思議なものを脇に挟んでいる。
「かづ、です。 しょー先生…それ何…?」
恐る恐る聞くと、ニコっとしながら答えてくれる。
「これ? これはなー! らびまるのでっかいぬいぐるみやで !!」
満面の笑みで見せてくるこのぬいぐるみはしょー先生が大好きな『らぶりぃらびっと』というアニメのキャラクターらしい。
「…それをどうするの…?」
だいたい予想はついているが一応聞いてみる。思い込みはよくない。
「これをなー! かづくんに貸したるわ !!」
「…。」
多分絶対にそう来ると思ったが…
まぁ、何もないよりかはいいか。
「ここにらびまる置いとくから、ほらっ!薬飲んでや!」
さっき渡してくれた錠剤を口に放り込み、お茶を含んでごくっと飲む。
目の端で、僕の隣に笑顔でぬいぐるみを置く、しょー先生が見える。
薬を飲み終わりじっと見ていると、しょー先生がフッと笑う。
「...w 僕の顔ばっかり見てないで早く寝ぇーや w」
所々ツボりながら、注意される。
「はぁーい」
肉体的にも精神的にも疲れていたのだろうか、そのまま2分もしないで、僕は眠りについた。
青さん目線
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いつもより軽い足取りで保護室に向かう。
しばらく、拘束したままだったが最近は落ち着いてきたので悠佑の拘束具を外しに行くのだ。
まぁ、もう少し保護室に入っててもらうが…
「あれ? まろちゃん! なんか、機嫌めちゃ良いけどなんかあったん?」
ちょうど廊下の角を曲がった時に、初兎と会う。
「悠佑の拘束具を外す許可が降りたから取りに行くんや!」
「おぉ〜 じゃあ早く行ってやり〜っ!」
また後で、と言い早足で悠佑のもとに向かう。
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ガチャ、と言う音を立ててドアを開ける。
「悠佑? 調子どう?」
この部屋にはいる時はいつもこの声をかける。
そうすると窓の方を見ていた悠佑はこちらに顔を向けて顰める。
「…最悪です。」
眉間にシワが寄っている。
「あららっ どこが痛いとかある?」
「…こんなところに閉じ込められて、心が痛いです。」
「うん! 大丈夫そうだね!」
真面目な顔で冗談を言うから、不意に笑ってしまう。
「で〜も! そんなにシワ寄せたら不細工になるで〜?」
そう言いながら人差し指を悠佑の眉間にトン、と当てる。
そうすると、驚いたように眉を上げる。
「で? もう健康診断は午前に終わったやろ? まろ先生は何しにきたんや」
むすぅっとしていてとても嫌そうな顔。
「先生そんな顔するような子に育てた覚えはないで? 先生悲しいなぁ〜」
「なんの要件ですか!」
この会話に飽きたのだろうか、少しキレ気味で話をもとに戻される。
「今日は! なんと!」
「はよ言え。」
溜めていたらズバッと正論をぶち込まれる。
「え〜、こういうの、溜めたいじゃん〜」
視線ではよ言えと言わんばかりに睨んでくる。
その視線が冷たくて悲しい。
「はぁ〜… しょうがないなぁ〜…」
「今日はねー、悠佑の拘束具を外す許可が出たから、外しにきたんよ!」
「え? ほんま?!」
急に目つきがキラキラとし始めた。
「ほんまほんま」
悠佑の腕や腰、足などに付いている拘束具に手をかけると、されるがままで、とてもおとなしい。
静かな部屋のカチャカチャと拘束具を外す音だけが聞こえる。
「はい! 取れた! もう少し落ち着いたらここから出れるからな!」
「ぅん。」
少しシュンとする悠佑にタレている耳が見える。
「じゃあ、またなにかあったら呼んでな!」
そう言い、クルッと身を翻し、部屋を出ていった。
おはようございます! こんにちは! こんばんは! 僕です!!!!!!!
ネタがないからこれ以上投稿するかわかんねぇ((
体育大会があって憂鬱←