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irxs医者パロ&障害パロ 後半
水さん目線
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注射が終わり、部屋のドアを引いた。
見慣れたベッドの上には、しょーちゃんと悠くんが座っていた。
珍しく、いふくん達がいないが、多分すぐに帰ってくるだろう、そう思いりうちゃんと一緒に部屋に入っていった。
「...まろちゃん達、遅いなぁ...」
あれから5分たち、しょーちゃんが不思議そうに言う。
「ね、どうしたんだろ....」
そんな事をしょーちゃんと話す。
悠くんの知的学的人格のゆうきくんが、りうちゃんの勉強を教えている。
ゆうきくんは世話好きで、みんなのお兄ちゃん的存在。
いつもニコニコと人当たりの良い笑顔を浮かべているが、その奥に少し闇を感じるのは気の所為だと思いたい。
りうちゃん達を見守りながらいふくん達を待つ。
あれからもう少し経って、初兎ちゃんの表情が曇り始めたくらいの頃。
勢いよくドアが開いた。
「ハァハァッ.....ッパクッ!!パクッ!!!」
肩で息をしながら必死になにかを伝えようとするないちゃん。目には涙が溜まっている。
「ないちゃん?!どうしたの!?」
それに驚き、すぐに近寄る。
「グイッ!........パクッ!!パク!!」
白衣の裾を思いっきり引っ張られる。そのまま、ないちゃんに引っ張られていった。
しばらく歩いていくと、人通りが少ない場所に連れてこられた。
少し見渡すと、遠くで人が倒れているような影が見える。
「いふくんッ?!」
すぐに駆け寄り、肩を揺する。力なく倒れている彼の顔は青白く、よく見なくても分かるくらい普段よりすごく隈が酷かった。
「ないちゃん、先生背負って病室行くから! ゆっくりでいいからついてきてね?
調子悪くなっちゃったらナースコールで呼んでね?」
頭を大きく上下に振ったと同時にないちゃんの大きな桃色の目から涙が溢れる。
ないちゃんの頭を撫で、いふくんを背負い、全速力で廊下を走った。
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白さん目線
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大きな音をならして先程よりドアが勢いよく開いた。
ドアが取れるかと思いながら唖然としていると、ぐったりとしているまろちゃんを背負っているいむくんが息を荒くして立っていた。
「ハァ...しょーちゃんッ!!ハァ...いふくんがッ!!」
「大丈夫。いむくん一旦落ち着き。
まろちゃんをベッドに寝かせて」
ベッドに仰向けの状態で寝かせる。
眼鏡や、白衣、ネクタイを取って、首元を緩める。
それを後ろで不安そうに見つめているりうちゃんと、状況が飲み込めなくて固まっている悠くんが視界の端で見えた。
「いむくん、2人を違う部屋、連れってって、ないちゃんも」
「ぅッ、うん!」
先生が顔面蒼白で倒れていると不安にもなるし、いむくんも相当テンパっている。
正直この3人をこの部屋にいさせるのは、良くない。
3人が出ていったのを確認し、倒れた時に頭などをぶつけたりしてないか確認する。
「怪我はあらへんね...」
その後、なぜ倒れたか、まろちゃんを隅々まで見た。
この道のプロではないが、程々に知識はある。
症状は呼吸が少し浅いのと冷や汗、顔面蒼白。あと、最近特に眠れないと言っていた。
この症状をもとに、虱潰しに探していく。
症状と検査を照らし合わせながら、考えるに、|血管迷走神経性失神《けっかんめいそうしんけいしっしん》だと思う。
大体、睡眠不足で血圧の低下で失神したんだろう。
倒れた時にクリティカルヒットしなければ命に関わるようなことはないし、一時的に意識がないだけで、ほっておけばすぐに起きる。
そこまで危険ではないので、一安心だ。
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青さん目線
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気持ち悪い、頭が痛い、頭がふわふわする。
そんなことを思いながら重い瞼を開くと、そこには真っ白な天井が広がっていた。
見慣れないその光景に戸惑いながら、ゆっくりと起き上がりあたりを見渡す。
「まろちゃん、おはよぉ」
初兎が隣でパソコンを弄りながら、ゆっくりとしたテンポで話す。
「調子はどぉ?」
「ん…大丈夫…」
「嘘だね。はい、まろちゃん これ飲んで」
そう言いながら、ペットボトルに入ったスポーツドリンクを差し出される。
「ぁ、ありがと...」
それを受け取り、飲んでいると、今度は少し早口で話し始めた。
「...まろちゃんね、さっきないちゃんに注射打ち終わった後にぶっ倒れたみたいやで? 症状的には|血管迷走神経性失神《けっかんめいそうしんけいせいしっしん》やと思うから、塩分水分しっかり取って、できるだけでええから寝るようにしてな。それと、目眩とか吐き気とかが出たらすぐに言うてな? 俺らがいなかったらすぐに仮眠室で横になって安静に。」
「……はい…」
俺が返事をした後に少し間を開け、なにかを思い出したかのようにゆっくり話し始めた。
「あ、あと、ないちゃんが必死で呼びに来てくれてな〜 お礼言っておきなね?」
「ぇ、ぁ、ぅん…」
少し、間が開く。いわゆる|話すことがない《気まずい》ということだ
しばらくしてから初兎が話し始める。
「......倒れたのってこれが初めてやないやんな?」
その言葉に自分でも肩が跳ねたのがわかった。
「やっぱりな....」
心の声が漏れたような声で言う
「あんな? まろちゃん、俺より医師のキャリア長いんやから、わかるやろ?
まじで、このままなんの対策もしないと、本当にいつか死ぬよ? ただでさえ医者は激務なんだから。本当考えてや…。」
溜め息をつき、頭を抱えながら、ゆっくり話し始める。
「んで? 今日、症状は? いつから?」
呆れたような声で初兎に聞かれたので、ふわふわとする頭で必死に考える。
「えっと…朝起きた時からちょっと気怠い感じあって…朝食食べ終わったくらいから吐き気が来て、ないこの注射が終わって、病室に戻ろうとした時に急に目眩が来てフラっとして、そっから意識ない…。」
「そっか…吐き気は? 耳鳴りとかまだ続いてる?」
「ちょっと気持ち悪いのと、頭痛。」
「OK、 多分、頭働いてないし安静にしててな! 吐きそうになったらまた言うてな!!」
「ぅ、うん…」
急な変化に悪寒が走るが、気にせずにベッドに横になった。
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水目線
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PHSで連絡がくる。しょーちゃんからだ。
『あ、いむくん? まろちゃん起きたでー。 一応安静にさせるわー!』
「おけおけ! そっち行くねー! ちょい悠くんの情緒が不安定になっちゃって、今寝かせてる。他の子は大丈夫」
『りょー』
簡単な返事でPHSの電源を落とし、みんなで部屋に戻るよう促す。
「みんなー! 病室戻るよー! 片付けしよーね!!」
先程来たないくんとりうちゃんは勉強道具の片付けをし始め、僕はそれを手伝う。
片付けが終わり、寝ている悠くんを背負い部屋を出る。
「ほとけせんせー、あとで勉強教えてねー!」
「え〜? 僕よりいふくんに聞いた方がわかりやすいんじゃないかなー?」
「えー、じゃあまろ先生に聞こー」
そんなゆるい会話をしながら、病室に戻っていった。
青さん目線
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あれから1週間たった。
なかなか不眠症は改善しないが、体調は回復し初め、横になったりできるだけ寝るようにしている。
『まろちゃん!! 昼休憩中ゴメンな!ちょいこっちきてーな!!』
「ん? 了解」
急にPHSが鳴ったと思ったら少し焦ったような初兎の声がした。
今は交代で昼休憩だったので、仮眠を取っていたところだった。
身だしなみを整えながら病室に向かう。
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病室のドアを引きながら、俺を呼び出した初兎を呼ぶ。
「しょおー? なんかあったん?」
「あ、いふくん!」
俺の声に反応したのは、ほとけだ。
部屋を見渡しても初兎の姿が見当たらない。
「あれ? 初兎おらんの?」
「しょーちゃん悠くんと一緒に保護室にいるよー」
「あーおけおけ」
ほとけが、珍しくしょぼんとしている。
やはり、保護室には行きたくも行かせたくもないのだろう。
そんなほとけに近づき、ぽんと頭に手を乗せ、保護室に向かった。
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「しょぉー? 入るでー?」
ネーム裏のカードキーをリーダーに翳し、保護室の無駄に重いドアを押し開ける。
「あ、まろちゃん、急に呼び出してごめんな〜、」
ベッドの横に置いてある椅子に腰掛けている初兎がこちらを申し訳なさそうに見上げ話し始める。
「かまへんよ、悠佑は?」
よっぽどのことがない限り保護室に入ることはない。
本当に人生で1回入るか入らないかくらい。
「悠くん安定剤打って寝かせたんよー... さっき、フラッシュバックやと思うけど、パニックになって攻撃的になっちゃったんよね…俺の声が届かないくらい、で…」
そう言いながらベッドに寝ている悠佑の頭を撫でる。
その初兎の目は本当に悲しそうだった。
「せやな... 初兎、俺おるから、りうらとかの方行ってあげーや」
「え、ええの? じゃあお願いするわ」
そう言って初兎は部屋を出ていく。
悠佑との付き合いはそこら辺のカップルより長く、悠佑からの信頼も厚い。
そこら辺のカップルより。
それに、俺の近くにいると、精神が安定しやすいらしい。
初兎が座っていた椅子に腰掛け、悠佑の頭を撫でる。
目元にはキラキラと涙が浮かんでいて、頬には涙の跡がある。
指で、涙を拭う。
しばらくすると、悠佑が目を覚ました。
「……いふ先生…? ここどこ…?」
防御人格のかづ、だ。
とにかく慎重な性格で、悠佑を守るように行動する子。
あまり多くは出てこない人格だから、よくわかっていないことが多い。
「病院やで〜? 今は俺以外誰もいないから安心してな?」
安心させるようにゆっくりと話しかける。
「落ち着いて、深呼吸しよーな、先生に合わせて...吸って、吐いて、」
わざとらしく大きく息を吸う真似をするとそれに合わせて肩を上下させる。
「そうそう、上手上手」
ずっと怯えているように、体を縮こませていたが、深呼吸をやり少し落ち着いたようだ。
「ちょっとは落ち着いた?」
「…ん…」
力なく頷いたのを確認し、話を進める。
「じゃあ、ゆっくりでええから何があったか先生に教えてもらえるかな?
ちょうど先生いなかったからなんもわからへんのよ…?」
目を見ると、不安が伝わってくる。
そして、少し間を開け、慎重に話し始めてくれた。
「じッ、人格のみんなが…ぱって、消えて…悠くんも、どこにいるか、わかんなくなって…母さんが…現実逃避するなって…」
深呼吸をする前より体を縮こませ、目に涙を浮かべる。
この子達は自分の中に人格のみんながいるのが日常なのに、急に消えるのは、すごく恐ろしいことだろうと簡単に予想できた。
人格が急に消え、人格のみんなもパニックになって、トラウマが襲ってきたら、ああもなるだろう。
「せやんなぁ〜…辛かったな〜 ここに母さんいないからな! 先生は悠佑と人格のみんなの味方やで」
そう言い、悠佑を撫でる。
そうすると、悠佑の体がビクッと跳ねた。
こんな部屋、嫌でしかない。狭い部屋にベッドが一つ置いてあるだけの小さな部屋。外に出たくても出れなくて、誰もこないし、なにもできない、そんな辛い部屋。
可哀想だが、自傷他傷の危険があればここに入れなければならない。
「...せんせ...」
少し間を開けて話し出す。
「ん?」
「.....ぎゅってして」
少し、顔をそらしながら言う。 顔は髪で隠れて見えないが、耳が赤くなっている。
「悠佑は可愛いなぁ〜!」
ぎゅーっと強めに抱きしめながら、髪を掻き乱すように撫でる。
「んッ 悠佑じゃない」
むすっと拗ねるように言う。
「wかづやったな?」
自然に口角が上がっていき、またぎゅーっと強めに抱きしめる。
「ん…」
安心したのだろうか、力が弱まり、眠りに落ちていった。
そのままベッドに寝かせ、俺は静かに部屋を出た。
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ほとけに保護室の監視をお願いしようと思い、病室に戻り呼ぼうと思った時。
いつもの病室から慌ただしい音と声が聞こえた。
大きい音が苦手な子達だからすごく珍しい。
早めに病室の前まで行き、ドアを開ける。
「ん゙ぅッッ!! や゙ッ!!!」
「りうちゃん?叩いたら痛いやろ〜? まろちゃんちょい手伝え」
「了解」
ドアを開けるとりうらがパニックを起こしていた。
りうらのポンパはぐちゃぐちゃに乱れていて、初兎が落ち着かせている。
「安定剤持ってきたよ ! 」
ほとけが安定剤を俺に手渡す。 お前のほうが慣れてるくせに。
そう皮肉に思いながらも、せっせと準備をする。
「初兎、抑えとってな」
「おけ」
「ッッや゙ァッ!!!」
アルコール綿で拭いて、点滴を打つ。
「い゙ッッ!!」
「ごめんなぁ」
りうらが声を上げた瞬間りうらの力がどんどんゆるくなっていった。
完全にリラックス状態に入る。
「りうら〜? 大丈夫〜?」
「…ん……」
ぼーっとし始めて、うとうとと目を細める。
そのまま眠気に負け、眠ってしまった。
ベッドに寝かせると、後ろから声が聞こえた。
「り゛、ら、だいじょぉ゙、ぶ…?」
振り向くと、案外近い場所にないこがいて、驚く。
俺が驚いたのに驚いたのか、二人でびっくりすると、ないこの後ろあたりで、ブフッと吹くような笑い声が聞こえる。
「大丈夫やで〜」
笑顔で頭を撫でてやると、嬉しそうに口角を上げた。
「んで、いふくん僕のこと読んだよね?どーしたのー?」
また、後ろから話しかけられる。
ほとけだ。
「あー、保護室の監視とカルテまとめておいて」
「はーい」
黒さん目線
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保護室に入れられて、5日たった。
外には出してもらえないし、何もすることもないし、誰もいないし、同じ景色で
飽き飽きする。
ふと足音が聞こえてきて、ドアの方を見る。
「悠佑? 調子どうかな?」
ひょこっと部屋に顔をだしてきたまろ先生と目が合う。
ここに閉じ込められたような怒りと、不安から冷たい視線を送ってしまう。
「…まろ先生」
「ん? どうしたん?」
俺が不機嫌な態度をとっても、いつも通りの朗らかなまろ先生。
「…いつここから出してくれるん…」
「ん〜…先生にもわかんないんだよね〜…」
とぼけるような声を出すのに呆れて、そう、とそっけない返事を返し、そのまま先生から目を離し、ぼーっとなにもないところを眺める。
そんなときもまろ先生も何も言わないで、ただ一緒に眺めてるような、そんな感じ。
いつもなら安心できるその空間も、今の…ギリギリな精神状態の俺にとっては居心地は悪くて。
ネガティブな言葉が頭によぎった。
(…嫌だ。無理。疲れた。終えたい。消えたい。生きたくない。いなくなりたい。)
「…死にたい」
不意に出てしまったその言葉の持っている意味を数秒かけて理解した。
良くない言葉。 そんなことはわかりきってること。頭ではしっかりわかってる。
それなのに、今、この場で発したこの言葉は、その意味を持っていて、持っていない言葉。そんな矛盾だらけの、形だけ整った、俺の言葉だった。
でも、俺がこんな言い訳のようなことをしていても、まろ先生にはわかっていない。
意味を説明するにも、喋る気力が、人に伝わるように話せる気力が、もう残っていない。
(…おれ、なにしてるんやろ…)
自然と、頬に伝う涙の感触が気持ち悪い。
涙の感触の後、何が起きたかもなにも覚えていない。
気がつくと、そこはベッドの上だった。
ぼやける視界で、辺りを見渡そうと体を起こそうとする。
しかし、体が思うように動かなかった。
体を引っ張られるような感覚に、体を見下ろすと、ベッドから白い紐みたいなのが俺の体に巻き付けられている。
寝ぼけた頭で、必死に考える。 なんで。
動揺で頭が動かない。 なにこれ。
とにかく、これを外そうと、力を込める。
そうすると、紐みたいなのが食い込み、ズキズキと痛む。
今までも精神的にも追い込まれていたのに、こんなことされて、変になりそう。
こんなになるのは、まろ先生が拾ってくれたときから初めてだ。
俺が5日間もいた誰もいない真っ白な保護室。
ベッドが置いてあるだけで、本当になにもない部屋。
床は赤ちゃんが転んでも痛くないような柔らかい素材。
角などの尖ってるものはなく、中からは出られない、完璧な監視監禁部屋。
窓が付いているので、外は結構見えるが、鍵もないし、割れそうもない。
白い紐は、両手首足首と、腰、肋骨辺りに大の字で固定されており、腕は少し緩く、ギリギリ首を触れるか触れないかくらいだ。
一人で、ベッドに拘束されて、拘束されてるところは地味に痛むし、おまけに頭はふわふわと働かない状態なのに頭痛が酷い。
「…最悪、やな…。」
そこから、俺の意識はまたなくなった。
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黒さん(かづ [防御人格] )視点
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悠くんからのSOSで僕が変わって、5分もしないうちに、まろ先生が診察に来た。
1日に1回以上先生が様子を見に来てくれる。入っててもそこまで嫌じゃないが、好んで入りたいとも思わない。
それに加えて固定されてるなんて論外だ。今すぐにでも外してほしいが、大好きなりうらやないこ、先生達を傷つけてしまったり、悠くんの命が危険にさられるなら僕は一生このままでも良いと思う。
「おはような、調子はどーや?」
いつもより声のトーンを抑えてくれているのか、いつもより落ち着いている感じがした。
「頭、ふあふあして…いたい。」
「そっか〜 じゃあ、頭痛薬持ってくるな」
そう言って、にこっと人当たりのいい笑顔を浮かべると同時に、振り向いて、俺に聞いてくる。
「お腹空いてたりする?」
「…空いてないけど…喉かわいた。」
「OK、あとで頭痛薬と一緒に飲もうな」
そのまま、まろ先生が鍵をかけて出ていく音が耳に入る。
どんどん遠くなっていく足音に虚しさを感じながら、悠くんの体から込み上げてくる涙を必死に堪えた。
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「はいるで〜」
5分くらいして、まろ先生が帰ってくる。
「持ってきたで!」
マグカップを首の位置まで上げてにっと笑いながら、顔を覗かせるまろ先生。
もう片方の手には、いつも俺が飲んでいる錠剤と頭痛薬を持っていた。
すぐ隣の椅子に座って、マグカップを手渡してくれる。
中を覗くと麦茶が入っていて、それを一気に飲む。
「一気飲みはあかんで?」
「ん……」
ごくごくと一気に飲んでいく。
僕の両手で囲えるくらいの大きさなのに、気づくと マグカップの中身はなくなっていてた。
「...w もう全部飲んだん? 一気すなや〜…もっかい持ってくるから待とってな!」
「…うん」
僕が持ってたマグカップをひょいと取って、すぐに部屋を出ていく。
ひらひらと手を振りまた鍵をかけて部屋を出ていくので、閉じ込められたような気がしてちょっとさみしい。
さっきより、待ち時間が少し長かった。
窓の外には中庭があり、そこで入院着を着ている小学校くらいの子供が走り回って、それを木陰のベンチに親御さんと看護師さんが座って眺めている。
その、あるあるな風景をぼけーっと、見つめていると、足音が廊下側から聞こえてきた。
ここは本当に看護師さんも少ないし、保護室は端の辺りにあるから、ほとんど誰もこない。
(まろ先生、来たのかな...。)
そう期待をかけて、ドアの方をジッと見つめた。
「悠くーん?」
ひょこっと顔を出したのは、まろ先生より低身長で、短い白髪にぴょこっと頭の両端のアホ毛が特徴的な、しょー先生。
「悠くん久しぶりやん ! 元気?」
そう言いながら、右手に持ってるマグカップと一緒に薬を渡してくれる。
無言で貰うが、それよりもっと不思議なものを脇に挟んでいる。
「かづ、です。 しょー先生…それ何…?」
恐る恐る聞くと、ニコっとしながら答えてくれる。
「これ? これはなー! らびまるのでっかいぬいぐるみやで !!」
満面の笑みで見せてくるこのぬいぐるみはしょー先生が大好きな『らぶりぃらびっと』というアニメのキャラクターらしい。
「…それをどうするの…?」
だいたい予想はついているが一応聞いてみる。思い込みはよくない。
「これをなー! かづくんに貸したるわ !!」
「…。」
多分絶対にそう来ると思ったが…
まぁ、何もないよりかはいいか。
「ここにらびまる置いとくから、ほらっ!薬飲んでや!」
さっき渡してくれた錠剤を口に放り込み、お茶を含んでごくっと飲む。
目の端で、僕の隣に笑顔でぬいぐるみを置く、しょー先生が見える。
薬を飲み終わりじっと見ていると、しょー先生がフッと笑う。
「...w 僕の顔ばっかり見てないで早く寝ぇーや w」
所々ツボりながら、注意される。
「はぁーい」
肉体的にも精神的にも疲れていたのだろうか、そのまま2分もしないで、僕は眠りについた。
青さん目線
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いつもより軽い足取りで保護室に向かう。
しばらく、拘束したままだったが最近は落ち着いてきたので悠佑の拘束具を外しに行くのだ。
まぁ、もう少し保護室に入っててもらうが…
「あれ? まろちゃん! なんか、機嫌めちゃ良いけどなんかあったん?」
ちょうど廊下の角を曲がった時に、初兎と会う。
「悠佑の拘束具を外す許可が降りたから取りに行くんや!」
「おぉ〜 じゃあ早く行ってやり〜っ!」
また後で、と言い早足で悠佑のもとに向かう。
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ガチャ、と言う音を立ててドアを開ける。
「悠佑? 調子どう?」
この部屋にはいる時はいつもこの声をかける。
そうすると窓の方を見ていた悠佑はこちらに顔を向けて顰める。
「…最悪です。」
眉間にシワが寄っている。
「あららっ どこが痛いとかある?」
「…こんなところに閉じ込められて、心が痛いです。」
「うん! 大丈夫そうだね!」
真面目な顔で冗談を言うから、不意に笑ってしまう。
「で〜も! そんなにシワ寄せたら不細工になるで〜?」
そう言いながら人差し指を悠佑の眉間にトン、と当てる。
そうすると、驚いたように眉を上げる。
「で? もう健康診断は午前に終わったやろ? まろ先生は何しにきたんや」
むすぅっとしていてとても嫌そうな顔。
「先生そんな顔するような子に育てた覚えはないで? 先生悲しいなぁ〜」
「なんの要件ですか!」
この会話に飽きたのだろうか、少しキレ気味で話をもとに戻される。
「今日は! なんと!」
「はよ言え。」
溜めていたらズバッと正論をぶち込まれる。
「え〜、こういうの、溜めたいじゃん〜」
視線ではよ言えと言わんばかりに睨んでくる。
その視線が冷たくて悲しい。
「はぁ〜… しょうがないなぁ〜…」
「今日はねー、悠佑の拘束具を外す許可が出たから、外しにきたんよ!」
「え? ほんま?!」
急に目つきがキラキラとし始めた。
「ほんまほんま」
悠佑の腕や腰、足などに付いている拘束具に手をかけると、されるがままで、とてもおとなしい。
静かな部屋のカチャカチャと拘束具を外す音だけが聞こえる。
「はい! 取れた! もう少し落ち着いたらここから出れるからな!」
「ぅん。」
少しシュンとする悠佑にタレている耳が見える。
「じゃあ、またなにかあったら呼んでな!」
そう言い、クルッと身を翻し、部屋を出ていった。
おはようございます! こんにちは! こんばんは! 僕です!!!!!!!
ネタがないからこれ以上投稿するかわかんねぇ((
体育大会があって憂鬱←