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目次
神の子と村の子
とある村は神を求め、滅びた。そして、2人の神の子を除いた1人の村の子だけが残った。
「なんで、僕のことは殺さなかったの?」
「うーん、なんでだろうな?」
「俺たちが気に入ったからだろ。」
「そっか。」
---
「ようやく完成した...!」
「これで村は安泰だ!!」
「ようやくだわ...!ようやく...」
「ああ、神よ!感謝します!」
その日、とある村は禁忌を犯した。
人間に神を宿らせるという、禁忌を。
---
まだこの世界は、できたばかりであった。
この世界にはまだ名前もないが、小さな文明が少しずつ発展していった。
そんな中、とても文明が発展した村があった。
他の村を飲み込みながらその村はどんどん大きくなっていった。
その村の名前は
---
村長の家が一時騒然とした。
この村の信仰する二神を人に宿らせる、という話が出たからだ。
「何を言っているんだ!」
「だから、神を人間に宿らせれば、もっとこの村は大きくなる。もっと豊かになると言っているんだ!」
「だが、それは神への冒涜だぞ!」
「ふん、頭の固い奴だ。よく考えてみろ、これは普段からの神への感謝とも言えるのだ。このような文明を我々に授けてくださった2人の神へのな。」
「...そうか。神を、見る事ができるのか。」
「おい!お前までそんなことを言うのか!」
「でも、いい案だと思わない?」
「お前まで...まあ、いいか。わかった。だが、計画はしっかり立てるように。」
「「「はい。」」」
「では、これにて解散だ。」
ゾロゾロと村のみんな村長の家から出ていく。
「はぁ、今日はなんて日だ。神を人に宿らせるなんて案が出るとは。」
「大変だなぁ、村長っていうのも。」
「大変さそりゃあ。こんな大人数をまとめるんだから。」
「ま、頑張れよ!」
「ああ。」
---
「神を人に宿らせるこの計画を『宿り木計画』と呼ぶことにする。神を人に宿らせる、人が木のように神を受け入れるという意味だ。これから沢山の案を出してくれると助かる。」
「なんかそれっぽくなってきたなぁ!」
「神に謁見できるなんて夢みたいだ!」
「静かに!それでは具体的な計画を立てていくぞ。」
---
「神を受け入れる人間はどうする?」
「あいつらでいいんじゃないか?ほら、あの兄弟...」
「兄弟なのに反対のような鮮やかな赤と青の、あの兄弟か。」
「確かに、いいかもしれん。」
「あの兄弟、とても不気味だったから丁度いい!そうしよう!」
そうして呼ばれた赤色の髪と瞳を持つ兄と青色の髪と瞳を持つ弟は...
見つけてくれて、ありがとう。
神の子と村の子 2
とある村は神を求め、滅びた。そして、2人の神の子を除いた1人の村の子だけが残った。
「なんで俺らなんだ!」
「兄ちゃん...俺ら死んじゃうの?」
「大丈夫だ。お前は俺が守るからな!」
「お前たちは何を言っているんだ。神の為の宿り木となるのだぞ!喜び、神に感謝しろ!」
「はぁ?巫山戯んな!ならそっちで勝手にやってればいいだろ!」
「お前達でなければいけないんだよ。お前達は神に選ばれたのだから。」
そう言って、怪しい笑みを浮かべた村のもの達は2人の兄弟を拘束した。
---
薄暗い牢の中で、2人は互いに身を寄せあっていた。
「俺ら、これからどうなるんだろう?ほんとに死んじゃうの?」
「大丈夫、大丈夫だ。俺が守るから。」
この時、兄は12才、弟は9才であった。
それから少し経った頃、兄弟は呼び出され、彼らが見たことの無いような装置の中に押し込まれた。
「何すんだ!出せ!」
必死で抵抗する。
「嫌だよ、まだ死にたくない!」
必死に、必死に。
「お前達は神に選ばれたのだ、抵抗するな!」
どれだけ怒鳴られようと。
「助けて、兄ちゃん!」
互いに手を伸ばして。
果たして、彼らの、村の者達の選択は正しかったのか。
その日、一瞬にして、この世界で1番文明が発達していた村は滅びた。
見つけてくれて、ありがとう。
神の子と村の子 3
とある村は神を求め、滅びた。そして、2人の神の子を除いた1人の村の子だけが残った。
「逃げろ逃げろ!!」
「だから嫌だったのよ!こうなるから!!」
「今更何を!お前が言い出したんだろ!」
イヤア゛ァ゛ーー!!
助けてェ!助けてぇぇー!
「どうしてこうなったんだ!」
「知らねえよ!」
「皆、落ち着け!まだここは村から遠い!何とかなるはずだ!」
「落ち着けるわけないだろ!」
「そうだそうだー!!」
「静まれ!!」
辺りがシーンと静まり返る。
「どうすればいいか、みんなで考えれば何かいい案が思いつけるはずだ!みんなで考えよう!」
「お、おお!」
「たしかに!」
ようやく辺りに活気が蘇る。
その時、1人の声が妙に響き渡った。
「...なあ、贄を用意すればいいんじゃないか?」
「「「「「.................。」」」」」
「たしかに!!それなら、神も怒りを鎮めてくれるんじゃないか?!」
「いい案だ!そうしよう!」
「贄は誰にすればいいだろうか?」
「美しい子を連れてこよう!あの、緑色の髪と瞳を持つ...。」
「あの子か!いいな!」
「俺が連れてこよう!」
「ああ、頼む!」
---
そうして無理やり連れてこられた緑色の村の子は、無惨に崩れた実験室に押し込まれた。
「さあ、神よ!怒りを抑えたまえ!」
「.....え?」
いきなり放り出された緑色の村の子は困惑した。
何が起こっている?
なぜ僕はここに?
彼らは何を言っているんだ?
どうすればいい?
神とはどういうことだ?
その数多の疑問は、すぐに解決することになる。
見つけてくれて、ありがとう。
神の子と村の子 4
とある村は神を求め、滅びた。そして、2人の神の子を除いた1人の村の子だけが残った。
最早何の為の場所なのか分からない実験室で、3人は出会った。
「あ、あの...君たちはだれ?」
「「...........。」」
「神よ!贄を用意しました!これで怒りを鎮めてくだされ!」
「.......にえ?かみ?」
緑色の村の子は、何を言っているのか瞬時に理解出来なかった。
「可哀想に、村の者共に生贄にされたのだな。」
「そういうのはいらないんだよ!やっぱりこの村は滅ぼした方がいいんじゃないか?『兄さん』。」
「ああ、そうだな。」
「か、神よ!どうなされたのです!贄は用意したのに!」
「ああ、やはり、滅ぼした方が良さそうだ。」
...わからなくとも、彼らが何か恐ろしいことをしようとしていることぐらいには、幼い彼にも理解出来た。
---
もう、誰も起き上がらない。
何が起こったのか、彼の脳は理解出来なかった、いや、理解したくなかった。
灰だけが、この村に残った。
文明も、
人々も、
彼らの家も、
農作物も、
全てが、失われて、喪われて。
「.................。」
「ごめんな、お前の家族もいただろうに。」
「いいや、僕の家族はもういないよ。」
「そーなのか?」
「おい、ちょっとは場を弁えろ。」
「ううん、大丈夫だよ。」
「あ、ごめんな。でも、なんでだ?」
「この村、すごい大きかったでしょ?それは、いろんな村が1つになったからなんだ。でも...、そのとちゅうに戦争はかならず起こる。」
「...そういう事か。」
「うん。だから、大丈夫だよ!でもさ.......、」
「なんで、僕のことは殺さなかったの?」
「うーん、なんでだろうな?」
「俺たちが気に入ったからだろ。」
「そっか。」
見つけてくれて、ありがとう。
神の子と村の子 5
とある村は神を求め、滅びた。1人残った村の子と、2人の神の子の物語が、今、始まる。
「これから、どうしよう?というか、君たちの名前は何?」
「そういえば言ったことないな。だが、俺にはもう1つある。どちらを言えばいいか。」
「なら2つとも言えばいいんじゃないか?『兄さん』!」
「そうだな。」
「2つあるの?」
「ああ、この身体としての名、もう1つは神としての名だ。ちなみに俺は身体の方は『エルフィル』、神の方は『ブレゼルフォス』という名だ。」
「俺は身体の方が『コクィノ』で、神の方が『ルジュルフォス』だ!頑張って覚えてくれよ!身体の方なら『コクィ』って呼んでくれ!」
「う、うん。えっと、『エルフィル』が『ブレゼルフォス』で...、『コクィ』が『ルジュルフォス』...で、あってる?」
「おう!すごいな、すぐ覚えるなんて!」
「ふふっ、僕、記憶力はいい方なんだ!」
「ようやく笑ったな。」
「え?」
「お前、意識して明るい声出してたのかもしれねぇけど、ずーっと怖い顔してたんだぞ!」
「そうだったんだ...。」
「こちらからも聞いていいか、お前の名はなんだ?」
「...うん!僕の名前はね、『ペディル』だよ!」
「『ペディル』...『ペディル』か。いい名だ。」
「おう!かっこいいな!」
「そう?ありがとう、2人とも!」
「さて、これからどうするか...。」
「そうだね、僕たちが生活できる場所をまずは確保しないと。」
「たしかにな、俺らが全部ぶっ壊しちまったし...。」
「死体は燃やしてもいいか?」
「うん、いいよ。その方が、彼らにとってもいいと思うから。」
「...そうか。ありがとう。」
「おーい、2人とも見ろよこれ!」
元気よく、コクィノが2人を呼ぶ。
「途中から居なくなったと思ったら、何をしているんだお前は。」
呆れたようにエルフィルが答える。
「...ふふ。」
何も心配要らなかった、この2人となら、大丈夫。何も恐れなくていい。
村の人たちは優しかったけど、この人たちが自分の両親を殺したのだと考えると怖くて、自分も殺されるかもって思ってた。実際、贄にされたし。
でもこの2人は、気に入ったからなんて理由で僕を生かしてくれた、僕を笑わせようとしてくれた。ついさっき出会ったばかりだけれど、なんだか大丈夫って思ってしまう。
「お前も来いよ!『ペディル』!/見てみろ『ペディル』。こいつ、マジでくだらないことで呼び出しやがった。」
「くだらないとはなんだ!全然くだらなくねーし!」
「...っ、あははははは!」
「「??」」
「どうした?『ペディル』?」
「大丈夫かー?」
「うんっ!もう大丈夫!どうしたの?2人とも!」
僕は2人に向かって歩き出した。
見つけてくれて、ありがとう。
神の子と村の子 6
とある村は神を求め、滅びた。1人残った村の子と2人の神の子の物語が、今、始まる。
「見ろよ、これ!」
「どれどれ...、え?」
「な?くだらないだろ?」
「.....嗚呼…うん、そ、そうだね...。うーん。」
「え〜?ペディルまでそういうのか?」
「いや、でもこれは...。」
「おい、ペディルを困らせるな。」
「へーい。」
彼らが見ているもの、それは、
たまたま村の外に投げ捨てられていたボロボロの本であった。本とは言っても、描き殴られたほとんどメモのような、本と言えるのか、というものであったが。この本は村の外に投げ捨ててあったため2人の神の子の被害に会わなかったのだ。
「はぁ、まぁーたお前は。」
「なんだよー!」
「まあまあ2人とも、落ち着いて!とにかく見てみよう?」
「...そうだな。」
「よーし、じゃあ俺が読む!」
「ん、任せたよ。」
「えぇーと?この世界は『デウスホルトゥス』。神が人を導き...、人が神を信仰する。...そうすることで、5人の神はこの世界を存続させることができる。...だってさ!読みずれーこの本。字が汚ねえな。」
「ちょ、それは失礼!……じゃあ、君たち2人も...?」
「まぁ、そうだな。」
「だなー!」
「...なんか聞いちゃダメかもしれないけど、君たちってどんな神様なの?」
「俺は『知恵と時の神』、『ルジュルフォル』...あー、コクィは『力と空間の神』だな。」
「そーなんだ、それってどんな神なの?」
「んーと、『兄さん』は時を操るのと、この世界の知恵を司ってるな!で、俺が、まぁ力って言っても色々あるけど...と、空間そのもの?を司ってるんだ!」
「へぇ、なら他の神は?」
「はは、お前本当に好奇心旺盛だな!」
「お、『兄さん』が笑った!珍しー!ペディル、すげーな!」
「おい、コクィ!」
「ごめんってー!」
コクィがケラケラと笑う。エルフィルも怒ってはいないのか、声は怒っている雰囲気を出そうとしているものの顔が笑いを抑えきれていない。
…ふふ、出会ったのが彼らで良かった。
じゃなきゃ、こんなにも不思議で、楽しい体験は出来なかった。
ありがとう、2人とも。
見つけてくれて、ありがとう。