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嫌いではない 大好きだったんだ
私の名前は高橋野花 中学1年生
私は、おばあちゃんが苦手だった
会うたびに「勉強しなさい」「またゲーム?」
会うたびに注意ばっかり
だから私は、おばあちゃんの家に行くのが嫌だった
ある日 お母さんが言った
「今日はおばあちゃんの家に行くよ」
「えっ・・行きたくない」
「少しだけだから」
私は嫌々ついて行った
おばあちゃんは、いつものように笑っていた
「野花、大きくなったね」
「……うん。」
それだけしか話さなかった。
帰るとき、おばあちゃんが小さな袋を渡してきた
「帰ってから開けてね」
私は適当にバッグへ入れた
その三日後だった
学校にいると、お母さんから電話が来た
「野花・・・おばあちゃんが倒れた」
病院へ急いだ
でも、間に合わなかった
白いベッドの上で眠るおばあちゃんは もう返事をしてくれなかった
私は何も言えなかった
「ありがとう」も
「ごめんね」も
家に帰って、ふと思い出した
あの日の袋
中には、手編みのマフラーと 一通の手紙が入っていた
野花へ
最近はあまり話してくれないね
少し寂しかったけれど、元気ならそれでいいよ
勉強しなさいって言うのは、立派になってほしいから
挨拶しなさいって言うのは、優しい人になってほしいから
私は野花のことが、大好きです
寒くなるから、このマフラーを使ってね。
読み終わった瞬間
一滴 涙が落ちた
「違うよ・・・」
「私が悪かった」
「もっと話せばよかった」
「ありがとうって言えばよかった」
もう届かない
どれだけ泣いても
どれだけ叫んでも
私はマフラーを抱きしめた
その日から毎年冬になると そのマフラーを巻く
少しチクチクする
でも、不思議と温かい
まるで、おばあちゃんが隣で笑っているみたいだった
私は空を見上げる
「おばあちゃん」
「ありがとう」
「今ならちゃんと言えるよ」
風が少しだけ吹いた
その風は、昔みたいに優しかった