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終焉の魔導士と白銀の王
今回は最終的には倒す!っていう感じじゃない感じの感じの感じです(?)
**終焉の魔導士と白銀の王**
雪が降っていた。
白い世界。
静かな山脈。
きなこは雪を踏みしめながら歩く。
少し機嫌が良かった。
冬だからだ。
今回の依頼は単純だった。
「雪山に現れた白い竜を討伐してほしい」
報酬も高い。
危険度も高い。
だからこそ誰も成功していない。
「白い竜か」
その時だった。
ゴオオオオオオオオッ!!
山を揺るがす咆哮。
雪崩が起こる。
空気が震える。
きなこは上を見た。
巨大な影。
白銀の鱗。
蒼い瞳。
巨大な翼。
古代竜。
白銀竜フロストロード。
「人間」
空から声が降る。
「貴様が討伐依頼の冒険者か」
「そうだな」
「面白い」
竜は笑った。
「来い」
直後。
翼が動く。
吹雪。
いや。
違う。
氷の刃。
数千。
山一つ消し飛ばせるほどの氷刃が襲い掛かった。
「派手だな」
転移。
回避。
転移。
回避。
転移。
回避。
氷刃は山を切り裂く。
岩が砕ける。
雪が吹き飛ぶ。
フロストロードは驚いた。
「見切るか」
「遅いからな」
地味に煽られた。
フロストロードの額に青筋が浮かぶ。
「ならばこれはどうだ!」
大気中の水分が集まり始める。
超巨大氷槍。
城ほどの大きさ。
十本。
二十本。
五十本。
「なるほど」
きなこは右手を上げる。
**|紫電領域《サンダー・ドミニオン》**
雷鳴。
空が紫色へ染まる。
次の瞬間。
無数の雷撃が降り注いだ。
ゴォォォォォォォン!!
氷槍を撃ち砕く。
一本。
二本。
十本。
五十本。
全て消滅。
山全体が閃光に包まれた。
フロストロードが笑う。
「良い!」
その声と同時に急降下。
速い。
巨体とは思えない。
轟音と共に爪が迫る。
きなこも動いた。
転移しない。
その場で回避。
爪を躱す。
すれ違う。
右手を叩きつける。
**|雷帝槍《インドラ・ランス》**
零距離。
黄金の槍が炸裂した。
轟音。
フロストロードの身体が吹き飛ぶ。
山肌を削りながら滑っていく。
しかし。
倒れない。
「痛いな」
白銀竜は笑っていた。
強者だった。
久しぶりに。
きなこも少しだけ楽しくなっていた。
「次だ」
フロストロードの周囲に魔力が集まる。
空。
雲。
雪。
全てが凍る。
温度が急激に低下した。
そして。
「消えろ」
巨大な吹雪が生まれる。
雪山全体を飲み込む津波。
災害級。
街なら消える。
きなこは静かに前へ出た。
**|白銀終雪《ラスト・スノウ》**
吹雪。
吹雪同士が衝突する。
世界が白く染まった。
雪。
雪。
雪。
視界が消える。
数秒後。
吹雪が晴れる。
フロストロードが目を見開いた。
相殺。
完全に。
「貴様……」
「雪魔法も使える」
「何なんだ本当に」
正論だった。
しかし戦いは終わらない。
フロストロードは空高く飛び上がる。
そして。
周囲に魔法陣が展開された。
一つ。
二つ。
十。
百。
古代竜の最終奥義。
「凍てつけ」
空が割れる。
無数の氷山が降り始めた。
隕石のように。
山脈そのものが破壊される。
きなこは少しだけ息を吐いた。
「強いな」
本気ではない。
だが。
手加減だけで勝てる相手でもない。
右手を上げる。
紫色の魔法陣。
空間魔法。
「終わりだ」
静かな声。
**|境界崩壊《ワールド・ブレイク》**
パリン。
世界に亀裂が走った。
空。
吹雪。
氷山。
全てが砕ける。
空間ごと。
音もなく。
ただ消えた。
沈黙。
フロストロードは理解した。
勝てない。
この人間には。
しばらく空を見上げた後。
白銀竜は笑った。
「負けだ」
潔かった。
きなこも頷く。
「そうか」
それだけ。
戦いは終わった。
雪が降る。
静かな冬の日。
フロストロードは最後に言った。
「人間」
「なんだ」
「名を聞こう」
「きなこ」
白銀竜は目を閉じる。
「覚えておこう」
その言葉を最後に翼を広げる。
巨大な身体は吹雪の向こうへ消えていった。
残されたきなこは雪空を見上げる。
そして小さく呟く。
「悪くない戦いだったな」
雪だけが静かに降り続けていた。