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終焉の魔導士と灼熱の魔神
**終焉の魔導士と灼熱の魔神**
砂漠だった。
見渡す限りの砂。
空は赤く染まっている。
最近になって現れた異変。
砂漠の中央に巨大な炎の柱が出現した。
近付いた冒険者は誰も戻らない。
騎士団も壊滅。
ついには王国から正式依頼が出された。
討伐対象。
灼熱魔神イフリート。
「魔神か」
きなこは砂丘の上で呟く。
その瞬間。
ドォォォォォォン!!
大地が爆発した。
砂が吹き飛ぶ。
現れたのは巨人。
二十メートルはある。
全身を炎で覆い、
その一歩だけで砂がガラスへ変わる。
「人間」
低い声が響く。
「貴様も我を滅ぼしに来たか」
「依頼だからな」
「そうか」
魔神は笑った。
「ならば死ね」
一瞬だった。
炎の拳。
巨大な拳が迫る。
だが。
当たらない。
きなこは既に空中へいた。
「速いな」
普通なら。
しかし。
イフリートも同じく空へ飛んだ。
「なにっ!?」
観戦していた騎士が叫ぶ。
巨体で空を飛ぶ。
あり得ない。
だが魔神は常識の外側にいた。
巨大な炎剣を作り出す。
空間を焼きながら振り下ろした。
きなこは右手を上げる。
**|蒼海の檻《アクア・プリズン》**
巨大な水流。
炎剣と激突。
凄まじい水蒸気が発生した。
しかし。
消えない。
逆に炎が水を押し返してくる。
「火力が高いな」
久しぶりだった。
属性相性を超えてくる相手は。
イフリートが笑う。
「その程度か」
煽られた。
少しだけ。
ほんの少しだけ。
きなこの眉が動く。
「そうか」
右手を前に出す。
雷鳴。
ではない。
地面が揺れた。
**|震界《クエイク・ドミネーション》**
砂漠が割れる。
巨大な亀裂。
数百メートル。
千メートル。
地震が魔神を襲う。
さすがのイフリートも体勢を崩した。
その隙。
**|風神の息吹《ウィンド・ドミニオン》**
暴風。
圧縮された風が魔神を吹き飛ばす。
大地が抉れた。
だが。
立ち上がる。
「愉快だ」
まだ笑っている。
強い。
間違いなく今までの敵でも上位だ。
イフリートは両手を広げる。
空が赤く染まる。
「燃えろ」
炎。
炎。
炎。
無数の火球が空を埋め尽くした。
流星群。
いや。
災厄だった。
王国一つ消し飛ばせる数。
「凄いな」
きなこが空を見上げる。
そして。
珍しく。
笑った。
「少し本気を出そう」
魔法陣展開。
紫。
青。
白。
三色。
空間魔法。
氷魔法。
結界魔法。
三重発動。
**|神聖領域《ホーリー・ドミニオン》**
黄金の結界が展開。
続けて。
**|氷華世界《フロスト・ガーデン》**
砂漠が凍る。
気温が急降下。
最後に。
**|断界《ディバイド・ワールド》**
空が割れた。
火球群が次々と亀裂へ吸い込まれる。
数万。
全て。
消滅。
沈黙。
イフリートが初めて驚いた。
「……ほう」
余裕が消えた。
「ようやく本気か」
「少しだけだ」
その返事が気に入らなかったらしい。
イフリートの魔力が膨れ上がる。
大気が燃える。
砂が溶ける。
空が揺れる。
魔神最大の奥義。
超巨大魔法陣。
「崩れろ」
太陽だった。
空にもう一つの太陽が出現する。
灼熱。
絶望。
王国の騎士たちは言葉を失った。
だが。
きなこは静かだった。
右手を掲げる。
巨大な魔法陣。
雪のような白銀。
「終わらせる」
静かな声。
**|白銀終雪《ラスト・スノウ》**
世界が白く染まった。
吹雪。
絶対零度。
偽りの太陽が凍る。
空が凍る。
炎が凍る。
魔神が凍る。
そして。
砕けた。
パリン。
氷像となったイフリートが崩れ落ちる。
静寂。
砂漠に雪が降っていた。
本来あり得ない光景。
きなこはその雪を見上げる。
少し満足そうだった。
「やっぱり雪はいいな」
王国を救った感想がそれだった。
遠くで騎士たちが頭を抱える。
「終焉の魔導士って何なんだ……」
誰も答えられなかった。