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終焉の魔導士と海神の残響
技名は毎小説ルビを使って読み方を書きます!
**終焉の魔導士と海神の残響**
海沿いの街、リーンベル。
潮風が吹き抜ける穏やかな港町だった。
本来なら。
「助けてくれ!」
「防壁が持たない!」
街は混乱に包まれていた。
港の沖合。
そこには巨大な影がいた。
海から現れた怪物。
全長三百メートルを超える巨体。
青い鱗。
黄金の瞳。
そして空へ届くほどの角。
その名は、
**海神竜レヴィアトール**
数百年前の文献にしか存在しないはずの魔物だった。
「上級魔法隊、前へ!」
魔法使いたちが一斉に魔法を放つ。
炎。
雷。
風。
無数の攻撃が海神竜へ降り注ぐ。
しかし。
傷一つ付かない。
巨大な尾が海面を叩いた。
瞬間。
高さ数十メートルの津波が発生した。
「まずい!!」
誰かが叫ぶ。
だが。
津波は突然止まった。
まるで透明な壁にぶつかったかのように。
港を覆う巨大な結界。
その中心には一人の男が立っていた。
黒いローブ。
キャラメルブラウンの髪。
はちみつ色の瞳。
「間に合ったか」
冒険者たちが振り向く。
「終焉の魔導士だ!」
「きなこさん!!」
安堵の声が広がる。
しかしきなこは海神竜から目を離さない。
「随分大きいな」
海神竜がこちらを見る。
黄金の瞳が光った。
次の瞬間。
海そのものが持ち上がった。
巨大な水柱。
いや。
もはや海の一部だった。
ドゴォォォォォン!!
結界が大きく揺れる。
街中に衝撃が走った。
きなこは静かに空を見上げた。
「面倒だな」
転移。
瞬間。
きなこの姿が海上へ移る。
同時に魔法陣展開。
数は十。
二十。
三十。
増え続ける。
**「|天裂《てんれつ》」**
真空の刃。
空を切り裂く風刃が海神竜へ襲いかかる。
巨大な鱗が砕け散る。
しかし。
海神竜は止まらない。
怒りの咆哮。
海面が爆発した。
無数の水槍が出現する。
一本一本が超級魔法級。
普通の冒険者なら即死だ。
だが。
**「|神雷《ケラウノス》」**
雷鳴。
黄金の閃光が空を覆う。
無数の水槍を撃ち落とした。
それだけではない。
神雷は海神竜の肩を貫く。
ギャアアアアア!!
初めて悲鳴が響く。
街から歓声が上がった。
「いける!」
「倒せる!」
だが。
きなこの表情は変わらない。
むしろ少しだけ険しかった。
「まだか」
海神竜の傷が再生していた。
みるみるうちに。
「再生持ちか」
嫌なタイプだった。
海神竜が空を見上げる。
同時に。
海が割れた。
ズズズズズズ……
現れたのは巨大な魔法陣。
海神竜の切り札。
周囲の魔力が吸い上げられていく。
「まずい……」
魔法使いの一人が青ざめる。
分かったのだ。
あれは超級ではない。
**禁呪級**
発動すれば街ごと消える。
きなこはため息を吐いた。
「仕方ないか」
右手を前へ。
魔力解放。
空中に巨大な光の輪が広がる。
「海よ」
風が止む。
「凍れ」
その瞬間。
超級魔法発動。
**「|氷華世界《フロスト・ガーデン》」**
世界が白く染まった。
海。
波。
空気。
全てが凍結する。
数キロに及ぶ海域が氷へ変わった。
海神竜の動きも止まる。
街中が静まり返った。
誰も理解できなかった。
海を。
凍らせた。
たった一人で。
だが。
パキッ
氷に亀裂が入る。
「は?」
冒険者が固まる。
海神竜が動いた。
氷を砕きながら。
「そう来るか」
きなこの口元がわずかに上がる。
久しぶりだった。
ここまで強い相手は。
「なら」
空を見上げる。
巨大な魔法陣。
全属性の光が集まる。
炎。
水。
風。
土。
雷。
光。
闇。
海神竜が警戒するように後退した。
「終わらせよう」
数秒。
沈黙。
そして。
**「|万象崩界《アルティメット・カタストロフ》」**
世界が発光した。
海が揺れる。
空が震える。
凄まじい魔力の奔流が海神竜へ降り注いだ。
轟音。
衝撃。
閃光。
全てが収まった時。
そこに海神竜の姿はなかった。
静寂。
やがて。
「勝った……?」
「勝ったんだ……!」
歓声が上がる。
誰もが喜んだ。
その中で。
きなこだけは空を見ていた。
「黒焔竜より強かったな」
誰にも聞こえない独り言。
そして次の瞬間。
転移魔法が発動する。
「あっ!」
誰かが声を上げた時には。
終焉の魔導士の姿は、もうどこにもなかった。
うちのきなこ最強!!!!!