公開中
プロローグ
魔王の君臨、それは人類にとって寝耳に水だった。
醜い容姿だが、高い身体能力と魔力を有する魔人は、人類に文字通り「飼われて」いた。
それはもう、何千年と奴隷として。
しかし、その魔人族の中で立ち上がったのは後に【不滅の魔王】と呼ばれる不死身の魔人だった。
魔人たちは、人類よりも優れた能力で奴隷と侮っていた人類を蹂躙していった。
魔人たちが人類を次々に滅ぼし、ついに人類が危機に瀕した時、一人の勇者が立ち上がった。
勇者は次々に魔人を討伐し、そしてついに魔王の下へとたどり着いた―――。
+++
玉座にふんぞり返る魔王。
真っ直ぐと勇者を射抜くその目はとても人間とは思えぬ猫のような瞳孔をしており緋色に輝いている。
そして頭には漆黒の角が生えている。
(⋯でも。それ以外は人間の青年と大差ない)
勇者は、目の前にいる魔王の圧に気圧されながら。
―――あぁ、なんて美しいんだろう。そう思っていた。
けれど、勇者も人類だ。放っておけばいずれは己も死んでしまうかもしれない。
それに、美しいとはいえこの魔王は人間を大勢殺しているのだ。情状酌量の余地などない。
勇者は剣を構える。これまで何人もの罪なき魔人を葬ってきたのだ。今更、引けない。
「私は勇者。【不滅の魔王】あなたを討伐⋯いや。殺しにきた者だ。」
「⋯ほう?人間様より能力が遥かに上の僕を?それに僕は老死以外で死ぬことはできない。不可能だ」
地を這うような低い声が響き渡る。
その言葉を開戦の合図とし、戦いが始まった。
勇者は三日三晩の戦いの末に魔王を滅ぼした。
―――そう、されている。