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15 魔王城の襲撃
翌日。
私が朝気づくと、アミュリはもう起きているようだった。
(じゃあ、今6時くらいね……)
いつも起きる時間よりも1時間ほど早い。
私は左手を天井にかざした。
薬指にはアーゼンからもらった指輪が光っている。
「ふふっ……」
私はぎゅっと手を握ると、寝返りを打った。
(来年、結婚だわっ!)
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「ルーフェリア様ぁ、おはようございます!」
「……んぅ~」
私がぎゅっと布団を抱きしめると怪力でひっ放された。
「ちえぇー」
「どうしたんですか、呻くしかできなくなりましたか?」
「違うわよ……」
私がむっくりと起き上がるとアミュリは「この指輪本当にかわいいですね~。アーゼン様ったらルーフェリア様のことが大好きなんだからぁ……」と左手を握ってきた。
「ちょっと、何言ってるのよ」
顔に熱が籠ったのが分かった。
「ルーフェリア様ったら、かわいいですね」
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私は着替え終わり、「朝食に行きましょう」と言うと、昨日のようにまたアミュリがそわそわし始めた。
「今日は何?」
「いえ、私、昨日ルーフェリア様に誕生日プレゼントを渡し損ねてしまったのですが……」
そうだった、誕生日朝食(?)が終わった後、アミュリは夕方まで寝ていたんだった。
「あら、ありが……」
私が言いかけると、アミュリは大きく口を開けた。
「あ!!! 待ってください、昨日魔王様に何をもらいましたか?」
「ハンカチと時計よ。ほら、これ」
私が手首を指すと、ほっと溜息をついた。
「あー、よかったです。まあ、男性が選ぶようなものではありませんけれど……、化粧水です」
「あら、ありがとう! アミュリ」
「欲しがってましたので」
よくわかってるじゃない。
私が化粧水をよしよしし終わると、「では、食堂に向かいましょうか」とアミュリがドアを開けた。
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「いただきます」
私が食べていると、不意に父様が私たちのほうを向いた。
「そういえば……、いや何でもない」
父様の方を眉をひそめて見ると、またいつもの貼り付け笑顔に戻っていた。
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デザートが出てきて、もう食事も終わりそうな頃。
「そういえば……、いや何でもない」
「……言いなさいよ」
「……」
無視された。
(ちぇっ、つまんない人)
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食後の紅茶が出てきて、食事ももう終盤だという頃。
「ああ、そういえば……、いや、なんでも……」
「さっきから言い過ぎよ」「何かあったんですか?」
私とアーゼンがかぶせて言った。
「……一昨日の夜、ルーフェリアの部屋にアーゼン、行っただろう」
父様はすっと目を細めた。
(((お、怒られる!)))
アミュリと私とアーゼン。
多分全員が固まった。
「……その時に魔石が壊れたと言っただろう。もう代わりは大丈夫なのか? 必要なら出すぜ」
三人同時に息をついた。
「……それなら大丈夫です。もう新しいものを渡したので」
「そうか」
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父様とジルフェート、それにセレナが退出し、三人になったとき。
「終わったかと思ったわ……」
「ですね……」
アーゼンなんか怖すぎたのか縮こまっている。
……ように見えた。
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私たち二人が部屋に戻り、息をついていた時。
**ドゴオオオォォォン!!!**
と、すごい爆発音がした。
私とアミュリが顔を見合わせる。
「何かしら!?」
その瞬間。
「襲撃だぁぁ!!」
という兵士たちの叫び声がこだました。
(父様はこれまでも何組か人間が来た、と言っていたはず……。今までよりももっとピンチってこと!?)
今までは下級層でほぼ全滅で、もし魔王城の最上階——いわゆるゲームでいう最終ステージ、父様が直々に手を下すホール——まで到達したとしても、父様一人で倒していた。
——それは、昔見たこともある。
部屋の中で固まっていた私たちの部屋のドアが開かれた。
「ルーフェリア様、アーゼン様と最上階で隠れていて下さい!」
顔をしかめたアーゼンが後ろにいて、ほっと溜息をつく。
すると、アーゼンが私をお姫様抱っこして、最上階へ続く階段を飛びながら登っていく。
(アーゼンって、こんなに強くなったのね……)
階段の上につくと、アーゼンは何やら唱え始めた。
すると、階段の上から壁と同じつくりのドアが下りてきて、ガタン、と閉まる。
それと同時に、奥の部屋の明かりがついた。
アーゼンに手を引かれ、その部屋の中に座らせられる。
「ルーフェリア、ここに隠れてるぞ。あいつらの標的はお前だ」
「え?」
私が驚く間もなく、アーゼンの翼に包み込まれる。
(ひえええぇぇ……)
私はこんな状況だというのに、耳まで真っ赤にしながらうずくまる。
「父様、大丈夫かしら……」
「……大丈夫だ、なんてったって魔王だぞ」
「……そうね」
私が眉を|顰《ひそ》めると、アーゼンはすっと丸い石を渡してきた。
「……これは何?」
「魔石だ。魔王様の近くの状況を把握できる」
「何で渡したの?」
「……」
アーゼンは私の問いには答えなかった。
「もし、魔王様が危なくなったらすぐに返せ。ここで泣かれても困るからな」
「な、なんてこと言うのよ。父様は死なないわ」
「……万が一の話だ。魔王様からはお前を何よりも優先しろと言われたんだ」
「うそっ……」
私は口を押えた。
父様は何を考えているのかわかりにくいけれど、きちんと私を大事に思ってくれていた。
「……泣くなよ」
「無理かもぉ……」
私はアーゼンから持たされた魔石を強く握った。
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まだ、父様のところには人間は来ていないようだった。
この魔石は父様の視覚と感覚を共有するものらしい。
私も十分強いけれど、やはり何百年も生きている父様の感覚はとても鋭かった。
周りの音にとても集中しているのに、それでいて自分の羽織っているローブのひしめく音は何も気にしない。
本当に、すごい人だ。