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Ⅳ〈宝石竜を追う者たち〉
「そしたら私も連れて行ってくれませんか!」
突然の立候補に、全員の視線が集まる。彼女は胸の前で両手をぎゅっと握り締め、一気に捲し立てた。
「私はエルスタル・ドロー、職業は画家です! あのダイヤモンドの鱗を身にまとった宝石竜の美しさを、自分の目で見て、私の絵で後世まで残したいの!」
エルスタルさんの熱のこもった宣言に、周囲がわずかに静まり返る。私はスッと表情を引き締め、商人の顔──いや、紳士の笑みを貼り付けて一歩前に出た。
「おや、面白い。そこまで仰るなら、私も乗りましたよ」
突然の私の発言に、魔女とクートワリアさんがパチパチとまばたきをする。エルスタルさんも「えっ?」と目を丸くした。
「なんだ、あんたも来るの?」
魔女は面白がるように唇を歪める。私は懐からいつもの上品な小箱を取り出し、軽快に指先で弾いてみせた。
「当然ですとも。私は旅人であり、商人であり、狩人ですからね。美を愛する画家殿が命を懸けるほどの一級品を、このラム・クライメットが見逃すわけにはいきません。それに、あの危険な道中、有能な物資の調達役や交渉人がいたほうが心強いでしょう?」
もっともらしい理屈を並べ立てるが、腹のうちは別のところにある。〈竜の鉱脈〉までの道中、安全に同行しつつ、最恐の魔法を我が物とする──これほど旨味のあるビジネスプランが他にあるでしょうか。
「あの、やっぱり僕も同行して良いですか!」
クートワリアさんは三人の間へ割って入り、はっきりとそう言い切った。
「いつか全ての宝石竜の生態を余すところなく調査して、一冊の本にまとめること……それが僕の目標なんです!」
明るく笑っているが、そこには研究家としての確かな執念と覚悟の響きがあった。
「それと魔女さんの弱点とか色々伺いたいですね、爆破されたくはないですが……」
「だから、人にまで攻撃しないって」
魔女は軽やかに笑う。
「……そうそう、肝心な自己紹介がまだだったね。私はナギ。今日からよろしくね」
こうして、爆破狂の魔女ナギに、研究家クートワリア、画家エルスタル、そして商人ラムという、どう転んでもろくな化学反応が起きそうにない素敵な面々が揃い踏みした。