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成仏できますか
「まあ折角家にいるのでね、貴方の力になりましょう」
「いいんですか!」
このまま東雲さんをこの世でうろうろさせるのも後味が悪い。
「では、成仏してもらって」
「えっ僕成仏できるんですか」
「まぁ、ゴリッゴリのゴリに未練が残ってる訳じゃないならそれなりに」
「すごい・・・草薙さんって霊感あるんですか?」
「全くないですよ。祖父ちゃんの遺した塩とお札でなんとかやってみます」
一人暮らししてからずっと仕舞われていた、除霊セットを取り出す。
死んだ祖父ちゃんが私にくれたものだ。丁寧なことに、説明書付きだ。
「えーと、部屋の四隅に盛り塩したので、真ん中に立ってください」
「こうですか」
「それから・・・相手の頭と私の左手首に札?配置気持ち悪・・・」
東雲さんのおでこにペタっと貼り付けてみる。キョンシーみたい。
「舌に塩を敷いて、小指の血を手首の札に。それから呪文と相手の同意」
じゃあいきますよ、と呪文を唱え始める。
『汝 うつし世を彷徨いし者よ 灯火を持たぬ者よ 汝の安らぎは此処にはあらぬ
我 汝を送る者なり 今 此処に汝の道が開けり 未練の残すことなからば』
「我 未練の残るものなき者なり」
『急々如律令!!』
呪文は言い切ったはずなのだが、いつまで経っても発動しない。
おかしいと思って説明書を見直そうとして顔を上げてみると、
東雲さんの額の札が真っ黒になっていた。赤い字で何か書いてある・・・?
『此の者 未練の残りたる 道は開かぬ その刻まで』
仰々しく書いてあるが、つまるところ、「未練残っとるやないかい」という訳だ。
東雲さん、全然未練ある感じしないけどなぁ・・・聞くのが早いか。
「東雲さん、未練残ってたりしませんか?」
「そんなはずはないと思うんですけど・・・」
二人でうーんと頭を抱えても思い当たる節はない。仕方がない。
「東雲さん、明日は陰陽師さん呼びましょうか」