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死んだ理由
「ということで無事式が終わった訳なんですけど」
「何も無かった訳ではないですよね・・・すみません」
東雲さんは申し訳なさそうに俯いている。
遺影からは黒髪好青年、という印象を受けたが、目の前にいると存在感がすごい。
何故なら彼の身長が、クソデカだからだ。本人に聞いたところ、180㎝前後らしい。
私は150前後なので死ぬ程羨ましいが、黙っておいた。
私が彼について全く知らなかったこともあり、お互いに改めて自己紹介をしあった。
『草薙栞です。さっきは貴方の葬儀中に取り乱してすみませんでした』
『東雲柊といいます。驚かせてしまい申し訳ありませんでした』
そして移動した公園のベンチで、改めて東雲さんについて話し合うことになった。
葬式の時同様、私は東雲さんの目を見ずに、画面はOFFでスマホを見て話している。
口もなるべく開けずに話している。空気中に向かって話しているのは流石にマズい。
そう、東雲さんと色々試したところ、彼が幽霊であることがほぼ確定した。
子供に勝手に混ざってサッカーボールを蹴ると、子供たちが不思議そうな顔をした。
透けている部分の足に私が触れると、手が完全に貫通した。他は触れた。
お婆さんに声をかけたが、全然反応しない。
つまり東雲さんは、姿と声は他の人に見えず、物理では干渉できるということだ。
いや最後の婆さんに関しては耳が悪いだけの可能性もあるが、
葬式中の様子からするとやっぱり声も届かないのだろう。
それって・・・・
「最強の透明人間じゃないですかっ」
「えっ」
「だってだって、見えないのに干渉したい時だけできるんですよ!強いでしょ!」
「僕はそんな悪用するつもりはないですよっ!」
私だったら絶対悪用する。つまみ食いとかする。東雲さん偉いなぁ。
冗談はさておき、私は気になっていることの一つを聞いた。
「で、聞いていいか分かりませんけど、なんで死んだんですか?」
「あー・・・とても恥ずかしい理由なのですが・・・聞きます?」
「聞いていいならば、聞きますけど」
なんだか照れて勿体ぶっている。そんなにしょうもない理由なのか?酒とかか?
「飲み会で・・・同僚に思ったより飲まされてしまいまして、」
「アルコールですか」
「はは、僕かなりお酒弱くて、いつもは飲み会控えてたんですけどね。
その日は確か、同僚の空きを埋めるために行ったはずで」
ああ・・・今日の私とどこか似ている。
「帰り道に、何があったかは覚えてないんですけど、死んだんだと思います」
「それは・・・・なんというか、可哀想としか」
私はお酒耐性普通オブ普通なので普段は飲まない。弱い人は大変だよなぁ。
不憫だな、この人。少し胸が痛んだ。
「スーツだったのもそういうことだったのかぁ・・・」
「ああ、それで参列者だと思われたんですね」
どっちからは分からないが、二人ともクスリと笑い出した。
この人の人生、果たして幾つの幸せがあったのだろうか。