公開中
第3話 虹の夢
これはシリーズ「レコード・リライト!」の第3話です。今までの話を読んでからお読みください。
これは夢だって、なぜすぐにわかった。
あたしは、二人の子どもを見ていた。
周りを木や蔦に囲まれた、まるで秘密基地みたいな空間。
座り込んだ、まだ小さな少女は、ひとりの少年と向かい合っていた。
少年の顔は、彼がこちらに背中を向けているせいで見えない。
少年は、手にした何かを、少女の首にそっとかけた。
その、やはり小さな手は、わずかに震えている。
「これ、なに?」
不思議そうに尋ねた少女に、彼は言う。
「……お守りだよ」
その声はカサカサに掠れている。
「きれいだね……虹があるみたい」
その「何か」は、丸くて透明な、石だった。
透き通った、水槽のような中に、虹のような光が浮かんでいる。
「うん。そうだね。……お願いだから、これを大事にして」
少女は不安げな顔で彼を見上げる。
「わかった。……でも、ねぇ、今日なんか変じゃない? どうしたの?」
少年が息を詰まらせたような音がした。やがて彼はゆっくりと首を振る。
「なんでもないよ。……じゃあね」
彼は去っていく。その背中がどんどん遠くなる。少女は必死で手を伸ばす。
「待って! 待ってよ!」
それはあたしもだった。
行かないで! ……あたしを、置いてかないでよ!
それなのに、声が出ない。どこに手があるのかすら、よくわからない。
もどかしさに、胸がカッと熱くなる。
少年は、少しだけ振り向いた。
あたしは胸が跳ねる。どこかで、そんな顔を見たことがあるような気がしたから。
さっきの、感情のない笑顔とは違う。それは今にも泣き出しそうに歪んでいた。
少女は叫ぶ。
「……またね!」
無意味な幼い約束。
その途端、少年の瞳から涙が一粒、ポロッと溢れた。
あたしの胸は苦しくなる。
「……またな」
そして、少年はもう、振り返ることはなかった。
オパールです。