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私の見る空は、いつだってずっと曇っていた。
てんぷれはネタバレ防止のためあとがきにあります。
さて、久しぶりの企画用小説(キャラ募集とか除いてね)だな。
頑張ろう。
追記:3000文字近い長編になったけど許して()
私の見る空は、いつだってずっと曇っていた。
私は俗にいう「雨女」らしい。
私が外に出ると、いつも空は曇り、雨が降る。
遠足の日も、友達と遊びに行く日も。
いつだって、曇っていた。
運動会の日だけ、やる気のない男子に感謝されたけど、それくらいだ。
外に出るだけで雨が降る。
なんて迷惑で、なんて意味のない存在なんだろう。
自分の名前が「|時雨《しぐれ》」なのも、何かの嫌がらせなのではと思えてくる。
なんて、運命は残酷なんだろう。
世の中にエンターテイナーとして出れば、ある程度は脚光を浴びれるのかもしれない。
でも、私は目立つのが苦手だし、それにずっと同じことしかしてなかったら、いつかは飽きられる。
それが、この世界の摂理なのだから。
いつもクラスメイトに煙たがられていたけど、それでも何とか小学校時代は学校に通った。
でも、私は中学校で不登校になった。
皆が楽しみにしてた学校祭を、私が出たことで大雨にしてしまったからだ。
それから、前から痛かった視線はさらに痛くなり、私は耐えられなくなってしまった。
でも、仕方ない。
全部、私が悪いんだから。
---
転機になったのは、中学三年生の、梅雨の時期だ。
そもそも雨に対してあまりいい意識を持っていないし、梅雨というのはとても憂鬱な時期だ。
これは私じゃなくても、普通の人でもそう思う人は多いのではないだろうか。
あれから私の不登校なのはさらに悪くなり、私は引きこもってしまっていた。
私が外に出る前から雨が降っていた時だけ、私は外出した。
自分のせいじゃない、そう言い聞かせることができたから。
あれから一度も学校には行っていなかった。
中三、受験もある学年で、必要最低限の勉強はしていたけれど、学校に行く気にはなれなかった。
私には、あそこに居場所はないから。
今日も憂鬱な一日が始まり、そして意味もなく終わっていくんだろうな、そう思っていた時だった。
ピンポーン、とチャイムが鳴った。
いつもはチャイムが鳴っても、出るのは親に任せている。
私が出たことで、雨にしてしまっては申し訳がないからだ。
でも、どうしてかその時だけは私が出なくちゃいけない気がして、私はドアを開けた。
「こんにちは、時雨さん。私は|佳雨《かう》だよ。今日は、君に会いに来たんだ」
そう言った少女は、私と同じくらいの年齢に見えた。
初めて会った相手。素性も知れない。
でもどうしてか、私は彼女のことを信じることにした。
「ねぇねぇ時雨ちゃん、あれ乗ってみようよ!あれ!」
そのまま誘われて、私は佳雨さんと近くの遊園地に来ていた。
呼び方が「さん」から「ちゃん」になっているし、どうして私はさっき会ったばかりの人と、それも平日の昼に遊園地に来ているのだろうか。
平日の昼なので、人はまばらだ。
でも、皆が私達に怪訝な視線を向ける。
まあ、絵面は平日の昼に遊園地で遊ぶ女子中学生二人組だから、仕方がないのかもしれないけれど。
一通り乗り物に乗った後、私は遊園地内の野原で、佳雨さんと寝ころんでいた。
「今日は楽しかったね。ありがとう、付き合ってくれて」
そう言いながら、佳雨さんはぐーん、と腕を伸ばした。
「いえ、大丈夫です。最近はあまり外出してなかったので、いい機会になりました。あ、それで、佳雨さんはどうして私のことを…」
そう、佳雨さんに聞こうと思った。
こんな雨女で引きこもりの私を、どうして気にかけてくれたのか。
でも、それは佳雨さん自身の声に遮られた。
「あ、ほら見て。眩しいね」
そう言って、佳雨さんは空を指さした。
そこには、澄み渡るような青空が広がっていた。
「え…?なんで…?」
これまで、青空なんて見たことがなかったのに。
なんで、晴れたんだろう。
「せっかくの遊園地だったし、いい天気でよかったね!」
そう言って笑う佳雨さんの笑顔は、ずっと曇っていた私の心を明るく照らす太陽みたいだった。
遊園地に行ってから、私は佳雨さん…佳雨ちゃんとよく出かけるようになった。
最近開店した流行りのカフェに行ってみたり、デパートで買い物をしたり。
彼女と出かけた日は、何故か、快晴になるのだった。
私は思った。
佳雨ちゃんは、晴れ女なのだと。
天気も、私の心も晴らしてくれる。
そんな、眩しくて、暖かくて、優しい、私の親友なのだと。
佳雨ちゃんと過ごすようになってから、私の生活は変わり始めていた。
新しいことにチャレンジしたりと、今までの私では絶対にやらなかったようなことをするようになったし、親にも「最近明るくなったね」と言われた。
それで、私は決心をした。
「佳雨ちゃん、私学校に行くことにしたんだ」
開口一番、私は佳雨ちゃんにそう切り出した。
それを聞いた彼女の顔は、いつも通りの眩しい笑顔…ではなく、何かを決心したような顔だった。
数秒、沈黙が続いた。
そして、佳雨ちゃんは口を開いた。
「あのね、私、雨女なんだ」
その言葉に、私は驚きを隠せなかった。
佳雨ちゃんが、雨女?
いつも、佳雨ちゃんと出かけたときは、晴れていたのに?
「私は、中学三年生の春、時雨ちゃんの通ってる中学に転校してきたんだ。それで、不登校の女子がいることを知って…その子が不登校になったのが、『雨女』だったからだって、クラスメイトに聞いて。それで、居ても立っても居られなくなって、時雨ちゃんの家に行ったの」
あぁ、だから佳雨ちゃんは私の家に来たのか。
「自分と同じ苦しみを抱えている時雨ちゃんの苦しみを、少しでも軽くしてあげたくて…それで遊園地に誘ったんだけど、まさか晴れるなんて思わなかった」
そう言って笑う佳雨ちゃんの顔は、まさにいつもの、眩しい笑顔だった。
「でも、本当になんでなのかな。私も、時雨ちゃんも雨女なんだから、晴れるわけがないのにね。神様も、少しは粋なことをしてくれたのかな」
そう言う佳雨ちゃんに、私は言った。
「それは、違うよ」
いつもの私からは考えられないほどの、自分で言うのもなんだけど真剣な声だったと思う。
佳雨ちゃんも驚いていたけど、私は続けた。
「マイナスにマイナスを掛けたら、プラスになるよね。私達は二人とも雨女だから、雨と雨が掛け合わさって、晴れになったんだよ」
それを聞いた佳雨ちゃんの顔は、一瞬ぽかんと間の抜けた顔になって…
笑った。
今まで見た中で、一番眩しい笑顔だった。
「え?笑わないでよ!真剣に言ってるのに!」
そう反論したが、しばらくしてから自分のトンデモ理論に気づき、顔が真っ赤になった。
やっと笑いが収まったらしい佳雨ちゃんが、言った。
「いや、まさかそんな理論があるなんて…ふふっ、時雨ちゃんはすごいね」
…タイミングはともあれ、褒められたのなんて久しぶりだ。
「生まれて初めて、雨女でよかったと思えたよ」
佳雨ちゃんはそう言った。
私も、満面の笑みを浮かべて―――
「うんっ!」
佳雨ちゃんと、笑いあった。
ああ、雨女に生まれてきてよかった。
だって、佳雨ちゃんに出会えたんだから。
心の底から、そう思えた。
てんぷれ
なぜそのタイトルにしたか:「曇っていた」という過去形を使い、今まではこうだったけど、それが変わるってのを書きたかったです。語彙力無くてごめん。
こだわったポイントは何か:「転機になった」と「天気になった」みたいな、天気、というか空に関連する同音異義語を混ぜ込んでいます。ほかにもいろいろと。
ジャンルは:わかんない…これはなんなんだろう。えー、友情?とか?
よろしくお願いします。
まさかこんなに長くなるとは。