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分からない
※この話を読むにあたって
物書きがこんなことを言うのは恥じるべきなのかもしれませんが、この小説は何も考えずに作りました。なので読む時も何も考えずに読んでいただけると幸いです。
分からなかった。自分は何者で、何を持って生まれてきたのか。その生は、何か意味を孕んでいるのか。分からなかった。
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朝、目が覚める。憂鬱で、退屈で、億劫な、そんな朝。小さくあくびをしながら、身支度を整える。
両親は共働きで、朝早くから出かけている。だから朝食も自分で用意しなくてはならない。うっすらとした味のする朝食を口に運び、歯を磨く。ついでにと思い、手を洗おうとする。深くガタガタに揃った爪の間に水が入り、少し痛みを感じた。
準備が整えば、リュックを背負い、ぼんやりとした意識の中足を進める。目だけを動かし、ちらりと周りを一瞥する。友達だろうか。仲良さげに話しながら通学をしている学生がいた。恋人同士だろうか。お互いの距離が近く、照れくさそうに会話をしている学生がいた。足を踏み出すまでが、遅くなっていた。
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教室に着いて早々、2人が話しているのが目に入る。自分と、話をしている2人との3人グループ。自分が着くのがいつもより遅かったからなのか、2人だけで話しているようだ。心なしか、自分を含んで話している時よりも楽しそうに見えてしまった。ただの被害妄想だろうか。
リュックを机の横のフックにかけ、椅子に座る。その様子に気づいたのか、2人が話しかけてくる。
『おはよ〜』
『今日の授業めんどいやつ多くね?』
なぜか急に、頭が真っ白になった。いつもどういう風な返し方をしていたのか、分からなくなってしまった。心拍数が上がり、喉が閉まるのがわかる。震えそうになる声を抑え、短く答えた。
「……だな」
2人は少しきょとんとした顔をした後に続ける。
『やっぱ〜〜だと〜〜?』
『ははwーー、ーー!』
3人でいるはずなのに、なぜこうもひとりぼっちに思えるのだろう。少し、気分が悪くなった。
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授業を受けた後でも、気分が優れることはなかった。担任のところに向かい、話しかける。
「先生。ちょっと体調悪くて……早退してもいいですか?」
『分かりました。顧問の先生とかにも伝えておくから。お大事に』
ありがとうございます、と礼を告げリュックを背負い足早に教室を立ち去ろうとする。
『あれ、どしたの?』
朝らから声がした。2人だった。何もやましいことはないし、怯える必要はないのに、手が震えそうになった。
「体調が、よくなくてさ。帰るわ」
声を絞り出し、そう答える。
『そっ、か。お大事に。またな!』
その言葉に返すこともなく教室から立ち去る。
校門を出たところで、もう気持ち悪さは限界を迎えていた。息が荒くなる。足取りがおぼつかなくなる。しばらくしゃがみ込み、呼吸を整える。そこからはもう、無心でただ足を動かしていた。
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家に着いて早々、ソファに倒れ込む。止まっていた思考が、急に動き出す。2人は楽しそうだった、自分がいない方が楽しげだった。まだ授業があるのに帰ってきてしまった。朝から晩まで誰とも目を合わせられていない。会話すらまともにできない。できていたことができなくなった。誰も困らない、こんな自分がいなくとも。
自分が自分を責め続ける。言葉が脳に反射し続けて苦しい。自分が、自分だけがひとりだ。虚しい辛い悲しい。誰かがそばにいて欲しい。そんなことを思っていても、なぜかそれが本当ではないような気がする。自分が自分でないような、そんな気が。
分からない。誰かに必要とされているのか。分からない。自分はひとりのままでいいのか。分からない。分からなくちゃいけないのに、分からない。分かりたくもない。結局自分は何なのか、結論の出ない問いに向き合い続けるなんて、気が狂いそうだ。