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第三話 月の宮の謎《中編》
「…なぜ私ではなければ行けなかったのです?」
綺沙は顔を歪め、凛希を睨む。
「おやあ、謎を解きたいと言ったのは綺沙でしょ?」
(こう言う時だけ名前を呼ぶのかよ)
激しく心の中で凛希を毒づく。
「あらまあ|翠希《すいき》様でないの」
「そ、その名前は…」
綺沙の視線に気づいた凛希は咳払いをし、
「…その名は昔の名です。私は、“瑞 凛希”なのですが?」
「あーらそう」
面白そうに月花は笑う。妃なのに、護衛となど話していいのだろうか。
(…まあ、翠華様は来ないのだろうし)
「で、この娘が“謎を解くべし者”です」
「ああ」
月花が綺沙を一瞥する。
「もうその必要は無いわ」
「「!?」」
…そんなの酷い!楽しみにしてたのに!
「何故?」
「…もう、謎の発端が亡くなったからよ」
…謎の発端?
「詳しく」
「…話しても、意味がないと思うわよ?」
「それでもいいです」
「…分かったわ」
月花の赤い唇が、静かに開き始めた。
ーー私の叔父・|暦《れき》の親戚が、次々に死んでいったのよ。この頃、医学も進歩した様で、流行病も滅多に無いようなのにね。それで叔父が怯えて言い出したの。
「次殺されるのは俺だ」
ってね。私も笑って流してたわよ、最初は。
でもね、母も、父も、ばたばたと死んでいった。
分かる?この恐怖。
いつ自分の命が奪われるか分からない。私も怯えていたその時だったわ。
うちの侍女の|春《シュン》が、変な紙を持ってきたのよ。
春は字が読めないから、私のところに持ってきて、読んでって。
そして、紙にはこう書いてあったわ。
**謎を解くべし者、後宮に居る。平民の謎解く者。その者が謎を解くであろう。**
なんだその厨二病臭い手紙は。
綺沙は心の中でツッコミを入れる。
必死で探したわ。十の頃から会ってなかった翠…凛希に探してもらうほどね。
だけど、その間に私と暦以外の人はばたばたと死んでいく。だけど今日…叔父が死んだ。