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霞む記憶を慈しむ
親友へ
今でも時々、思い出す。あんたの事は特に
数年前のあの日、悪酔いして介抱された時に出会った|菫《すみれ》さんとは今でもよく会って、酒を呑む。
最初のうちはあんたの事しか、話せなかった。
あんたはいつも、ヘラヘラしてどこか冷めてて、わたし、あん時あんたの気持ちが本当の意味でわかる日なんて一生こないって思ったんだ。
でもさ、それがわかってもわたしはあんたから離れたくなかったよ。あんたもそうだったといいな
あたしはもう、あんたの事思い出してあげる事しかできない。どこにも連れてやってやれないし、あんたの話を聞いてもやれない。
あたし、あんたと友達になれてよかった
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頭の中で、あの子に送る手紙を書く。いつも違う内容になる。伝えたい言葉も伝わりたくない本音も、何から何まで違う。
もう、あたしはあの子と同じ場所にはいない
ライターも紙煙草も、もう持ち歩かなくなった。
今では1人で毎日、毎日、仕事に明け暮れてる。
学生の時は、自分がまさかこんなに立派に社会人として生きてるなんて思わなかった。
「はぁあああああ〜〜〜………」
カチッカチャカチャ
電子タバコの電源を入れて、口に咥える。
「すうぅ」
鼻で思い切り、酸素をとりこんで吐き出す。
「すぅぅうう、ふぅ」
タバコは今じゃ、前よりあまり吸わなくなった。
おかげで、財布が潤ってるよ。
「………過去が続いていくことはなかったよ」
「あんたがどんどん、遠のいてくのは日に日に理解ってたけど、ね」
タバコを機械から抜いて、灰皿へ放り込む。
「あたしも、そろそろ進んでいいでしょ?」
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追伸
ごめんね
こんな弔い方になって
クローゼットの奥にある、随分前にクリーニングに出した喪服はきっと今頃埃を被っているのかも、