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感傷そして慰め
劣っている、何もかも。最近、前よりもその差を感じる。煩わしくて悔しくて心底自分が惨めでならない、なのに幾度も思い知らされる。やはり決定的に違うのだと。それはきっと目標の地として目指す場所すらも。ダメだ。これ以上はあの子の事を忘れないと、見てはいけない。
傷つく。折れてしまう、心が
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それは、繊細とか脆いとかそういう儚いモノとして形容するにはあまりにも、見窄らしくて、恥ずべきものだった。
「ふーっ」
「おわらせたい、ぜんぶぜんぶ………」
死んで、死んで逃げてしまおうかな
そうすれば、もうアンタに会うこともないのかな。
死んじまえよ、なんもかんも。
もう消えて、
ああ。そうだ、もう終わっちゃったんだ___
そう言葉にしてはいけない本音をはっきりと言葉として脳内変換されてしまった所で、己の中ですでに大きく膨れあがった嫉妬心の行き場もなく、罪悪感も迷子になった。
伸ばしっぱなしの痛みきった明るい髪を適当に縛る。今はどうやら早朝らしい、窓を見ずとも、家具に反射して明るい日差しが差していた。辺りを見れば、我が家でない事に気づく。「…ふ、はぁあ」自然に欠伸が漏れた。
そういえば、葬式も行けなくて、"悪夢"を見てプラプラ、飲み歩いたんだ。そうして、このモノトーン調の家具に揃えられた見知らぬ部屋に泊まったといういきさつ______だろうな。
起き抜けになっても、ネガティヴ思考の働きを怠らない脳で記憶を辿るが、わかったのはそこまでで、いまいち泊まらせてくれた家主の顔を思い出せない。無能。部屋の様子をパッと見て、知り合いでない事はわかるのに。もしかすると、、いや考えたくない。考えてはダメだ。でも、確かにこの所それどころじゃなかったし、
「だからといってそこまで男に困っている訳でも、」……ああ煙草、たばこ、吸いたい。
節操なし。一言で、今の私をいうならばそうなるだろう。未遂におわったか、どうかさえも記憶にない。でも、今までこうして寝ていたベッドにはその跡もなさそうだ。風呂にも入ったのだろうか。ああ、よく見ればあそこのソファに大きめのブランケットや枕がある。人が寝ていた形跡だ。ほっとして、また欠伸をしてしまった。些か、心地よい眠気に反する、状況の変化はあれど、家主の顔が全く思い出せない現実に焦り始めた時だった。
よく通る声で名前を背後から呼ばれた。思いの外、高く澄んだ声だった。まさか、血迷って、女と。でも、そんな跡は………浴室か?!ああきっと、夢に引きずられたんだ。我ながら、最低。そう自責の念に駆られていても、お構いなしに声の主は、より声をはって私の名前を呼んでいる。
ああ怖い。目があえば、きっと思い出してしまう!!過ぎ去れと絶対に叶わないそれを切に願った。それでも当然に叶わない。
返事もないので不審に思ったのか、裸足の足音が遠いフローリングから段々と近づいてきた。
ただ、予想外にゴチンッと頭上に突発的な痛みと音が降ってきた。
「ぃっ!?」
「おい!何度も呼んだのに!…まだ、酔いが覚めてないのか?」
その透明度の高い声の割には、口調が荒く、手も出るような女の顔をそっと涙目になった顔を庇いながら、見上げると長い前髪を殴らなかった方の手でかきあげ、眉を挟ませ、迷惑そうな表情をしていた。ここで、はっきりとただ悪酔いした所を親切にも介抱してもらい、泊まらせてもらった"立場"に自分はあるのだと自覚した。と同時にしくじった、と心底思った。
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<しくじった 前日譚>
「死ぬはおわりって事なんだよ」
酔っ払いが言った。今まで見た、酔っ払いの中でも酷いほうだった。ただ、彼女の話を聞いてしまえば、そうなるのも無理はないと同情した。
彼女の親友は死んだらしい。そしてその葬儀にも彼女は参列できなかったそうだ。親族の葬儀と被ってしまったとか。彼女の話す"親友"の話はとても面白い。豪快で根は明るいが性格が拗れているので、変な所で気をつかってパンクする不器用な人だった、らしい。
久しぶりに会って、呑んで過ごした一週間後に亡くなったそうだ。
「わるいねー!はは!こんなくらぁい話きかして」
「気になりませんよ?」
これは本当の言葉だった。酒の席で確かなのは、酔いが覚めれば日常があるという現実だけだから。
「……ふぅん?、___」
「あ、寝ちゃダメですよ〜お姉さん!飲みすぎちゃったら帰れませんよ?」
「終電まだでも!駅からここ遠いんですよー?」
反応が薄い。まずいぞ、このまま介抱するにしても、今日会ったばかりの赤の他人だ。どうしろと?放置するにしても、、
そうぐるぐると疲労困憊の中、唸るほど考えていた時に、
「ぅーん、、にぁ……死ぬってのは死んだらおわるから願ってんじゃない?救いがないから死ぬんじゃない?それをさ、おわらせないで生き地獄の中突き落とし続けてるのも大変だねぇ?社会ってのはぁああ〜」
「……………」
気づけば、既に終電はすぎていてもう今日は、タクシーをつかまえて連れて帰るしかない。と選択の余地もなかったのに、どうしてか心地よかった彼女のその柔らかいのに冷たい雰囲気の隙に一瞬、心の底から寂しいと言わんばかりの表情がみえた事に免じて介抱してやる事にした。
代金もまだ頂いてないことだし。
今は、とりあえず店じまいの支度をはやく済ませよう。と外にあった「すみれ」と大きく書かれた看板のあかりを落として、暖簾を下げた。
『___ってさ!どっかで本音言うたび思ってた。だから思っても言えなくなった。あんたのせいかもね、死にたくても死ねないの、あははは!こうなりゃ、このまま世紀末まで生きてやる!』
もう、思い出になるのか。
過去が続くんだ、きっとずっと。