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1-6 ルパの街の宿屋
今回も詰め込んだせいで文章がおかしくなりました!
上達するまでお待ちください
アクアはベッドに転がったまま、天井を眺める。
疲れた。
今になって走り疲れた足が悲鳴を上げて、ぎんぎんと痛む。ベッドは信じられないほど硬くて、布の中に藁でも詰めたのだろうか、土台の木の硬さがまったく和らいでいない。
大銀貨6枚と小銀貨3枚をもらって、今日は大銅貨7枚を使った。長旅をすることを考えれば、もう少し節約した方が良いかもしれない。まだよく分かっていないが、恐らく大金貨、小金貨、大銀貨、小銀貨、大銅貨、小銅貨の6つがあるのだろう。
(食事も美味しくなかったし、快適とは程遠いけれど......初日にしては、頑張った方よね)
色々なことがあったけれど、なんとか乗り切れた。
アクアはリングを撫でる。
ルーナのことだから、神殿であれこれ時間稼ぎをしているのだろう。噂が広まらないように気をつけたり、王都や中央神殿に連絡が行くのを遅くしたり。
何の効力もなかったとしても、このリングがあるだけで、アクアは頑張れる気がした。
ルーナの努力を無駄にしないために、絶対に諦めないと思えた。
そう考えたとき、ふっと睡魔が襲ってきて、アクアは抗わず目を閉じた。
「う......」
カーテンを閉めずに寝ていたせいで、部屋が明るい。夏の終わりの日はまだ長くて、少し早起きしてしまったみたいだ。
アクアはのそのそと起き上がった。背中が痛い。よくこんな硬いベッドで寝れるなと思う。
アクアは鞄を開けた。昨日の朝着替えた神殿の服がそのまま入っている。上質な生地でできたそのワンピースは皺だらけだった。仕方がない、と呟いて、麻袋の中に無理矢理服を押し込む。
大したものは入っていなかった。軽く整理してからアクアが鞄を置くと、鳥がチチチと鳴いた。髪が脂っぽい感じがして、アクアは顔をしかめる。
「湯あみが、したい......」
お風呂に入りたい。そう思ったとき、はっとする。全然気づいていなかったけれど、今は干ばつなのだ。
変なことを言ってはいけない。気を引き締めて、そっとドアを開けた。
人の少ないロビーには、座り心地の悪いソファーがいくつか置いてあった。アクアは何も考えずにソファーに座ってぼーっとする。
「おやおや、早いじゃないか」
奥の扉から女将がやってきたので、アクアは無言で頭を下げる。アリシアだっけ? と笑顔で言う女将の顔をじっと見つめた。昨日の言動からしていい人そうだけれど、何を考えているのか分からない。
「朝食はどうする? 食べに行くのかい?」
「はい。今から行っても大丈夫ですか?」
「いつでもいっておいで。好きなときに出かけていいからね」
「ありがとうございます」
アクアは鞄をとって、そそくさと宿を出た。街を歩きながら、考える。
(今日は何を食べようかしら)
ポタージュのパンは硬かったので、あれだけは食べたくない。パンを買うならばもっと柔らかくないと、アクアの顎が外れてしまう。
昨日のパンは黒色だった。アクアが普段食べていたのは白色だったから、多少高くてもそっちに近い方を選ぶべきではないだろうか。
アクアは散々悩んだ末に、肉の様子がわかる串焼きと、ベリー系のジャムがのったパンを買った。肉は昨日より臭みが少なかったし、ハーブも少なくて美味しかった。パンも昨日より柔らかく、ジャムは野苺の味がした。
街の人の話は、水不足のことばかりだった。
「アリシア。おかえり」
「ただいま......です」
ただいま戻りました、と言いかけて慌てて口をつぐむ。ですを付けて適当に誤魔化した。声が小さくて聞こえていなかったのか、女将は気にする様子がない。今度から声を大きくするように気をつけなければ、と思った。
「どう? 美味しかった?」
神殿の食事に比べたら美味しくはない。けれど、昨日よりは良かった。アクアは笑顔を浮かべて「美味しかった」と言った。何を食べたか聞かれたので、肉の串焼きとジャムパンだと答えておく。
「お金は持ってるの?」
「はい。宝石を売った時のお金だけですけど」
深刻な顔で頷く女将に、アクアは首を傾げた。何か考えているのだろうか。
「それは大変だねぇ。とりあえず、部屋に荷物を置いてきな。そしたら、少し話したいことがあるからまた戻ってきてちょうだい」
アクアはよく分からないまま、部屋とロビーを往復した。
「さて......アリシア。余計なお世話かもしれないけど、このままだと、アリシアのお金は底を尽きるだろう」
そう言う女将に、アクアはこくんと頷く。その通りだ。高そうな宝石は持ってきたつもりだが、限界はある。長いこと働かずに暮らすことはできない。
「だから、しばらくここで働いたらいい」
え、とアクアは目を瞬いた。
(働く......?)
アクアにとっての「働く」は、ルーナに仕えて食事と部屋をもらうことだ。ルーナ以外の誰かのために働くなんて、想像がつかない。
「まぁ、うちとしても人手が増えたらありがたくてね。お金はやれないけれど、住むところと食事だけは保障できるよ。どうかい?」
アクアは女将を見た。
(もしかして......これ、とても良い提案なのではないかしら)
アクアは日中暇だ。その時間をこの宿屋の手伝いに使うだけで、食事代と宿泊代が浮く。すごく魅力的ではないだろうか。
決めた。
アクアが「ぜひ、お願いします」と言うと、女将は嬉しそうに笑顔を浮かべた。
「よかった。ただ、部屋はうちで雇ってる子達と相部屋になっちゃうけど、いいかい?」
「大丈夫です」
荷物を見られたりしなければ問題ない。そんなマナーのない人は恐らくいないと思うが、念のため気をつけておこう、とアクアは思った。
「じゃあ、ついておいで」
アクアは立ち上がった。女将のあとに続く足音は、不思議と前日より軽やかだった。
読んでくれてありがとうございました!
更新遅れて申し訳ありません。