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【第二部】第三戦区「不穏な動き」
アースたちが楽しく話をしている一方で、聖十字騎士団─
「……妙だ……。」
アルヴァレックは拠点であるところで佇んだまま、一人、空を見上げながらポツリとそう呟く。
アースたちが違和感を感じているのと同じように、アルヴァレック自身も、違和感を覚えていた。
聖十字騎士団側は万全に備えてから襲撃の予定であるため、今すぐ他国に襲撃するということはない。
だが、ヴァルハイトやルミナスと違う、もう一つの大国「ガイア領獣王連合」がいまだに動きださないのが不思議だった。
二つの国が一時中止をしていると言う絶好のチャンスにもかかわらず、そういう報告が全くない。
「…いや、`気づいていないだけでもうすでに動いている`…?」
ガイア領獣王連合の中でも、【牙狼遊撃大隊】というのは、暗殺や隠密に特化している部隊だ。
もうすでに動き出しているとしてもおかしくない。ならば、奴らが動いて、殺そうとしている敵は?
「俺……か……?」
ガイア領獣王連合と1番距離が近いのはルミナス聖教皇国だ。そして、そのルミナスも今は襲撃をやめ、準備をしている。
その聖十字騎士団の指揮を全て行なっているのが、団長であるアルヴァレックだ。
その団長であるアルヴァレックを始末すれば、たちまち聖十字騎士団の連携は崩れ、崩壊する…と思っているのだろうか。
「そんなこと、させませ〜ん♪」
と、そう考えていると背後から声がする。その方へと顔を向けてみると、目元を包帯で隠した男がいた。
「セシルか……。」
「団長がいなくなっても、俺がみんなをまとめますよ〜、ま、隊長が死ぬはずないんですけどね♪」
セシルは片手にメスを持ち、クルクルと指先で弄びながらそう言った。
確かに、精鋭部隊である聖十字騎士団をまとめ、さらに団長という位についているのだからアルヴァレックも相当な実力を持つ者だ。そんな者が、あっさりと死ぬはずはないー
だが、副団長のセシル自体はリーダーシップはあるものの、素の身体能力が低い。アルヴァレックのように前線に立って敵を蹴散らしていくというよりかは、後方で指揮を取る指揮官のような行動をとっている。
というのもそれもそのはず、セシルは「`盲目で目が見えない`」からだ。包帯で目元を覆い隠しているのも理由の一つ。
「…お前の統率力は評価しているが…無理はするなよ。」
アルヴァレックはそう短く言葉を告げると、セシルの横を通り過ぎていった。
「…フフッ、言われなくても。目が見えないけれど、自分や人の体の状態は分かるから…。」
通り過ぎたあと、セシルは口元を歪めて笑い、誰にも聞こえない、小さな声で呟いた。
─その背後から、`聖十字騎士団ではない何者か`が、近づいているのに気づかぬまま。
(第三戦区:不穏な動き 終)
【今回の死亡者】
なし。
新キャラ名「セシル・マレフィコ」副団長
ー【次回予告】ー
第四戦区「ガイア領獣王連合」