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劣等生シンドローム 2 ◇視線恐怖少女の過去2
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教室
「……」
教室に入ると、あたしに視線が一気に集まった。
きっと、さっきの出来事を見られていたのだろう。もしくは、見ていなかった人は、見ていた人に何が会ったのかを聞いたのか。
周りの視線が怖く、髪の毛で顔を隠した。
「……見ないでよ…」
――人の視線への恐怖。それは、この日から始まった。
ちらりと祭莉の方を見る。
すると、祭莉もこちらを見ていたようで、目が合ってしまった。
――その瞬間だった。《《あれ》》の始まりは。
「バチッ」
そんな音が聞こえた気がした。
「……っ」
その痛々しい音と共に、頭に激痛が走った。
「……ぇ…」
頭が痛い。
頭を手で押さえて、なんとか痛みをこらえようとする。
頭がズキズキと、私の全てを否定するように痛む。
…どうして?なんで、こんなに急に。
痛みは薄れてゆくが、こんなに急に激痛が走るものなのだろうか?
流石に痛すぎた。
なんなんだろう。
保健室に行く?でも、もう痛みは収まったし…。
「……」
きっと、偶然。
ただ、今日は身体の調子が悪かっただけで。
あたしは、そう思った。思うことにした。
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翌日
わいわいと賑わう休み時間の教室で、あたしはひとり、ぽつんと自分の席に座っていた。
「……」
あたしの胸が、きゅっと締まる。あるいは、締まる気がしたのか。
あたし、祭莉が居ないと何もできないんだなぁ…。
それにしても、暇……。ほんとにやることないなぁ。
「言葉さん。この資料、職員室に置いてきてくれる?」
あ、はい。わかりました。
担任の先生の声に反応して、顔をあげようと思ったら。
「バチンッ」
っ⁉
手がびりびりと痺れる。
な、何?それに、今の音、前も……。
「…言葉さん…?」
あ、先生が心配してる…。
痛いけど、痛みを伝えて余計に心配されるのも嫌だし。
ていうか、保健室なんて行ったこと無いから行きたくない…。
「す、すみません。大丈夫です」
しびれが収まってくることに安堵して、資料を受け取る。
あたしは、資料を受け取って、走って教室を出ていった。
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「はぁ…はぁ…」
職員室に資料を置いた後。
あたし、わかっちゃったよっ。
あの頭痛や手のしびれの原因っ。
《《あれ》》は……!
人と目が合う瞬間に、起きている!
「……なんで…」
目が合って、あの音がして、そして、体調が悪くなる。
職員室にはたくさんの先生がいた。
だから、職員室に入った瞬間、一斉に先生たちがこっちを向いた。5人くらいの先生と目が合った。
そして、ものすごい吐き気に襲われた。
どうやら、たくさんの人と同時に目が合うと、体調不良の大きさが大きくなるらしい。
「……なんでなの?」
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チャイムが鳴って仕方なく教室に戻る。
あたしは人と目が合わないように下を向いて教室に入る。
席につくと、ななめの席に座っていた祭莉と目が合った。
「バチバチ」
目の前が一瞬真っ暗になった。
やばい、くらくらする…。今度はめまいか…。
…祭莉……。
「……っ」
目も合わせられないなんて、ひどいよ。
本当になんなんだろう、これ……。
……ん?
何、これ。
私は、あることに気づいた。
――手の甲に、黄色いアザがある。
「……」
「……!」
"この病気を発症すると、体のどこかに黄色いアザが現れる"
…………
………
「……!」
"劣等生症候群"
あたしは、その症候群の名をノートに書いた。
あたし、劣等生症候群になったんだ……。
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それからあたしは、頻繁に保健室に通うようになった。
もちろん、祭莉とも話していない。
友達も作れていない。
中学生になったら作れるといいけど……。
っていうかっ、中学生になっても友達が作れる気がしませんっ。
――あれから、劣等生症候群はもちろん治っていない。
小説のサイトや愚痴垢でも頻繁に愚痴を吐いて、ストレスを解消しているけれど…、それだけじゃやっぱり治るわけじゃない。
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小学校卒業式。桜の咲く中、涙を流すみんなをあたしは見つめた。
「…」
みんなが涙を流す中、無表情でぽつんと立っているあたし。
…これって泣いたほうがいいのかな?
「はぁー…」
あーあ。楽しい学校生活だったのに、最後の最後にあんなことになるなんて、ほんっとサイアク。
ついてないなー…。
そんなことを考えていると、あの人の声が聞こえてきた。
「来楽」
「…!」
もしかして……
祭莉?
「…来楽」
ど、どうして…。
「あの…そ、その」
え…?
「ご、ごめん!やっぱなんでもないっ!」
ま、祭莉、ちょっといい?
「え、何?」
……目の色が、変わってるよ?
「…え」
「……っ!ご、ごめん!じゃあ私もう行くからっ!」
ま、待って⁉
い、行っちゃったよ…。
最後の、なんだったんだろう?
祭莉のいつもの吸い込まれそうな漆黒の色の瞳が、血みたいな赤色の瞳になってた…。
「…祭莉も、あたしと、同じなの…?」
あたしのそのつぶやきは、誰にも届くことはなかった。