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喫茶『レトロ』
都市伝説のような、小さなお噂をご存知でしょうか。
この街のどこか、ビルとビルの狭間にある、光も届かないような薄暗い裏路地。
そこに、心にちいさな「忘れ物」をした人にしか見つけられない、不思議な場所があるといいます。
名前は、喫茶『レトロ』。
古びた木製のドアを開けると、カランコロンと涼やかなカウベルの音が響き、どこか懐かしい珈琲の香りが鼻腔をくすぐります。
カウンターの奥で穏やかに微笑むのは、白いシャツに黒いエプロンを纏った、若き店主の蓮。
「いらっしゃいませ。――今日は、どんなお忘れ物をお探しですか?」
ここには、普通のメニューはありません。
並んでいるのは、あなたの記憶の引き出しをそっと開ける、特別な一杯だけ。
もしもあなたが、日々の忙しさに追われ、大切な何かをどこかに置き忘れてきてしまったのなら。
どうか足元に気をつけて、あの裏路地を探してみてください。
ほら、ランプの灯りに誘われて、今日も誰かの足音が近づいてきました。
――喫茶『レトロ』、まもなく開店の時間です。
というわけで小説初シリーズ 『裏路地の喫茶店『レトロ』〜あなたの”忘れ物”お淹れします〜』がスタートします!応援してくださると嬉しいです!