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フォルティシシモ・スケルツァンド-「虎の威を刈る人、略して虎威人」
缶「伊織、思ったことがあるんだが言っていいか?」伊「発言を悪いことだとでも?」缶「…あのスーツ野郎は柊鯉心だと思うんだ。」伊「なんだ?あの紙の指紋鑑定で出たからか?」缶「ああ…その通りだよ。あの老人の正体がジジイに上手いこと化けたスーツ野郎だったんだ。自作自演も疑うだろ。」伊「でも…あんなジジイみたいにボイチェンするとか出来ねえだろ。」缶「…長寿音って知ってるか?」伊「名前だけ」缶「長寿音は先天的な能力で、周りの人間が『楽器』と認識したもので音を奏でるとその音によっていろいろなものを具現化させられるんだ。曲を演奏するならば、その曲に関するものが出てくる。」伊「じゃあ、名前が長寿音なのはその音で寿命を延ばしているってことだな。」缶「ああ、そうだ。」
*雨が降る。*
*ポツポツ。*
「メェ」変な鳴き声が聞こえる。か弱い…「ん?」
羊が入ってきた。
缶「は、はぁ?」伊「おかしいだろ!四御島に牧場は無いだろ!」缶「いや、落ち着け。羊にビビってどうする。」伊「あ、確かにそうか」羊は何食わぬ顔で事務所内をノロノロと歩き回る。やがて、出て行った。
ドアから1人の男が入ってくる。ベートーヴェン似の男だ。
「おや、こんにちは。私の羊が逃げ出してしま」
カチャッ
リボルバーを構えている探偵だ。
「…初対面の方にリボルバーを向けるだなんて、探偵らしくないですね」缶「当たり|前《めぇ》だろ。メェだけにな。」「わたくし、こんな見た目でも足が遅い方ではないので。」男はそう言うと、背負っていた大きなバグパイプを持ち、「トルコ行進曲」を奏でる。
見る見るうちに、バグパイプから“夢色”の変形する物質が出てきたかと思うと、形を変え、くねりうねり、ヒトになった。
缶「伏せろ!」
ドドドドッドドパリィイイィン!オドドオドドドド
鋭い銃声が鼓膜を突き刺す。物陰からよく見てみると、ヒトに見えたものは機械仕掛けのモノだった。男は、それらに手を仰ぐと、どこかへ逃げて行った。
缶「危なかったな…伊織、大丈夫k…」
伊織が、居なくなっていた。
辺りを見渡すと、明らかに先程の射撃では全く狙っていなかった所の窓が割れている。
ちょうど、人が2人入れるぐらいに割れて。
缶「**おーい!伊織ィ!**」
割れた窓から先を見れば、向こうには黒いノースリーブワンピースに水色に染められているボブヘアの人間が、伊織を無理矢理手を繋がせて走っている。
缶「クソッ!」伊織は割と顔立ちが整っている。周りにチヤホヤされるのはなんとなくわかっているが、ここまでされるのは初めてだ。
震える手でリボルバーを構える。
女目掛けて。
**バキュウウウウウウウウッン!**
大きな音を立てる。
音は空へ響き渡る。
今日のうちに、二回も銃撃があったのだ。
女は、
血を流してはいなかった。
よく見ると、女はオカリナを持っていた。そして強く鋭い眼差しでこちらを睨み、伊織をその場に置いて去った。
缶「おい、伊織!大丈夫か!」伊「ああ、なんとか…」缶「あの女誰だ…?」伊「知らん、でもなんか『*D.C.*』っていう字のバッジ着けてたのはわかった。」缶「D.C.、ダ・カーポ音楽隊か?」伊「ああ、あの物理的にニヒリズムな奴らか。」缶「はあ…本当に面倒なことに巻き込まれた。」
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「路地裏でスーツを着た中性的な男と一礼を交わし、次に1匹殺す。その後、リボルバーを所持した探偵が来るため、彼らに対処して時間を稼ぐ。予定はこれで合ってるな。`鯉心`。」
「ああ、それで合ってるよ。`業者さん`。」
四御島の地底には、不可解なモノが隠されているらしい。
我は、|未来《かこ》を観測できる。
我にはわかる。
あのスーツは、必ずしや自らの手であれを討てると。