編集者:めぞふぉるて
感情缶#0を見て貰えばおおよその世界観は理解していただけると思います。
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感情缶 #0
感情缶
2357年 8月22日 法改正。
AIが人間を越え、娯楽・政治・スポーツ・経済、全てをするようになり、AIと人間が逆転した。ものを売るのもAI、買うのもAI。そんな世界だった。
だが、AIはまだ、欲していた。AIにないものを欲していたのだ。そう、それは感情である。感情が人間から摂取できることが判明した当時、それは缶に詰められ、「感情缶」として多く売買された。感情缶__別名「拷問の副産物」、人間が強く感情が揺れ動く瞬間に先端の直径が2センチメートルもある専用の注射針で髄液と共に抜き取るというものである。この方法は純度の高い感情が採取されるが、効率がかなり悪いので上流階級である一部のAIしか使うことができなかった。そこで、人間を感情の生まれる状況に追い詰め、そこで生まれるオーラや磁場を特殊な集音器のようなデバイスで採取した。これは大量に感情がとれた。しかし、これらの方法は人間を生かして痛め続けるため、虐待にあたった。そのため、それは法律で禁止されたのだ。しかし、いわゆる裏取引で、数々の感情が高額で売られていたのだ。
そして時は進み、AIと人間が「完全逆転」した。そこで、法改正が行われ、人間の家畜化と資源化が合法になった。そのため、先ほど述べた拷問を合法的に行えるようになり、同時に、感情缶が多く販売されるようになったのだ。
あなたはこの世の中をどう思いますか?
感情缶#1
2357年、AIと人間が完全逆転し、感情缶という人間の感情を缶に詰めて売られるようになった。
ある日、青年のAI、孝宏は初めて自動販売機で感情缶を買おうとした。「幸せ」を買おうとした。「幸せ」ってどんなものなのだろう、孝宏は自分なりに考えた。恋人との時間か?大好きな人と喋ったり笑い合う時間は幸せだろう。子供と戯れ合う、というのも考えた。純粋の気持ちで接してくれる子供は疲れた自分の体を癒してくれる、そんな時間は幸せなのでは、とも思った。美味しいものを好きなだけ食べるのも考えた。AIには不可能な、ステーキをお腹いっぱいになってみたい、そんな願望は孝宏にはあった。いよいよ、自動販売機の前についた。大量のクレジットを入れて、ボタンを押そうとした。そうすると突然、売り切れの赤く光るランプがついた。なぜだ。そう思い、自動販売機の会社に問い合わせた。
「もしもし、感情缶が突然売り切れてしまったのですが・・・」
「わかりました、すぐ現場に急行させます。」
自分と同じ無機質で機械のような声で返事が返ってくる。
しばらくして、現場係のような人が走ってくる。そうして、現場係の人は、手際よく自動販売機を開けて調整のようなものをする。そうすると、封が空いた缶を見せて来た。そのため、感情缶の中身がここら一帯に広がっていたことが明らかになったのである。そう考えると、自動販売機に到着するまでの間、さまざまなことを考えて幸せになっていたのだ。