源氏物語の世界で美しい民の天女が帝に容赦なく正論を送る!
登場人物
主人公 女五の宮
原作の輝く日の宮こと藤壺の宮の妹なので、超美女。家族のことと民のことしか頭にないのかもしれない。超才女で、誰に対しても正論しか言わない。
女四の宮(お姉さま)
彼女こそ原作の輝く日の宮こと藤壺の宮。当然発光していること思うほどに美しい。
兵部卿宮(お兄様)
原作の紫の上の父なだけあって美しい。シスコン。
母后(お母様)
上の三人の母なだけあって、美しい。年を取ってさらに美しさが洗練されたともいわれる。
桐壺帝
主人公にしばかれる光る君の父親
光る君
光り輝くように美しい。様々な事件ののち三条の宮に引き取られる。
命婦
実の子を亡くしているため主人公を実の子のように可愛がって?くれてる
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目次
プロローグ
初投稿の小説なのでヤバいところがないかチャッピーに見せまくったところ文章が固くなってしまいました。今では後悔してますが…直すのも面倒だし教訓として残しておこうかなーと思いそのままです。
「姫宮!宮!」
私は、お母様の緊迫した声で目を覚ました。見上げれば、いつも気品に満ち溢れているお母様が、今にも泣き出しそうな顔で私の方を揺り動かしている。
「宮…悲しい報せがございます。心してお聞きになって…」
お母様のあまりに深刻な表情に私の眠気は一瞬で吹き飛んだ。ふと傍らを見れば、お姉さまもお兄様もすでに沈痛な面持ちで座している。ただ事ではないのだと、幼心にも察せられた。
「主上が、昨夜…|崩御《ほうぎょ》なされました…」
「…!お父様が?本当に?」
信じられず問い返したが、お母様はただ涙を堪えて頷くだけだった。それが残酷な真実なのだと、嫌でも理解させられる。
「そんな…昨日お目にかかったときはあんなにお元気そうでしたのに。どうして…」
喉がひきつり、声がかすれていく。言葉にならなくなった息の代わりに、大粒の涙が溢れだした。張り詰めていた|御座所《おましどころ》の空気が破れ、私はお母様やお兄様、お姉さまと共に、ただ声をあげて泣き伏した。
この日から、私たちの運命は大きく回り始めたのだ。お父様という最大の後ろ盾を失った我が家に、やがてあの愚帝の魔の手が迫ろうとは、七歳の私はまだ知る由もなかった。
読んでくれてありがとうございました!
10話くらいまでは書かれてるのですが、これ以降はどうなるかわからない小説ですが、よろしくお願いします!
第一話
前話になるプロローグから、5年後の話になります!話の中にも書いてありますが…この小説は美しい人ばっかなので書く機会があれば不細工も書いてみたいなーと思ってます。
父帝が亡くなってから、5年の月日が流れた。私は十二になり、お姉さまは先日|裳着《もぎ》を済まされたばかりだ。
「宮様。また文が届いておりますよ」
|命婦《みょうぶ》が持ってきたのは、民からの感謝の文だった。私のしたことといえば、流行り病の折に薬を配ったくらいですのに。
『宮様はまるで慈悲深い天女のようでございます。私どものような卑しい農民にまでお気遣いくださって…』
民たちはいつも私を天女のようと称える。誇らしく思う反面、困ったこともあった。その評判を聞きつけた都の殿方たちが、「天女というからにはさぞやとても美しいのだろう」と勝手に盛り上がってているのだ。私はまだ裳着もしていない子だもだというのに、しつこく文を送ってくるのには、辞易してしまう。
「ねえ、五の宮。お母様が、なにやらお悩みのご様子なの。何事かしら…」
お姉さまにそう声をかけられ、私は胸騒ぎを覚えて、お母様の|御座所《おましどころ》に向かった。
御座所のなかでは、皇太后であられるお母様が熱心に文を見つめ、深くため息をついていらした。
「お母様、いかがなさいましたか」
「…ああ、五の宮ですか。実は|今上《きんじょう》の帝から『四の宮を|入内《じゅだい》させよ』と届いたのです。亡き更衣に似ていると聞いたから、と…話が娘を更衣の身代わりにせよなどと、なんとかしてお断り出来ないものでしょうか」
――なんですって!
私は心のなかで激昂した。お母様を悩ませるばかりか、気高き内親王であるお姉さまを一介の更衣の身代わりにせよというの!?これは我が家に対する明らかな侮辱だわ!
「お母様。もしよろしければ、このお断りの件、私に委ねてはいただけないでしょうか。お母様を困らせる不届きものはたとえ帝であっても許しませんわ。」
私は荒ぶる感情をぐっと抑え、あえて毅然と、冷静な声を装って申し出た。お母様は驚いたように目を見張ったが、やがて優しく微笑まれた。
「ありがとう。聡明なあなたならきっと帝に未練を残させぬよう、完璧なお断りの文を書いてくれると信じていますよ」
よし、お許しは得た。私の大好きなお母様とお姉さまを苦しめる者は、誰であれ容赦しないわ!
読んでくれてありがとう!
第二話
この話は私の意見?が主な部分になります。私の意見(藤壺の宮推し桐壺帝大嫌い)を反映したようなものなので。ただ、私は学校のノート2ページを箇条書きで桐壺帝の悪口20数個で埋めるような人間なので、この程度ではないですけど。
さて、書くことを決めたはいいけれど、具体的に何をしたためようか。お父様が|崩御《ほうぎょ》なさってからの五年間、必死に勉学を励んできた。その成果を今こそ発揮するときだ。
責めるべき点は、大きく分けて二つある。
まず一つ目は、お姉さまを一介の更衣の身代わりにしようとしたことだ。これは私の私情ではない。|后腹《きさいばら》の内親王の方が遥かに身分が高いというのに、更衣の身代わりにせよなどとは、いくら帝とはいえおふざけが過ぎるというものだ。
そして二つ目は、桐壺の更衣を|寵愛《ちょうあい》するだけして、己が欲を満たしながらも、彼女を少しも守ろうとしなかったこと。後ろ盾のない更衣をあれほど過剰に寵愛すれば、 |弘徽殿《こきでん》の女御をはじめとする宮中の人々が貼ってい るはずがない。 それなのに具体的な策も講じず、 結局は守り抜けなかったというのに、高貴なお姉さまを預け て守りきれるわけがないではないか。
大きく言ってこの二つかしら。本当はまだまだ書きたいことが山ほどあるけれど、これくらいに留めておこう。 あの執念深い帝も、これを見ればさすがに諦めて自らの非を認めるに違いない。
「命婦、 どうかしら。 文が書けたのだけど」
「まあ。 宮様は相変わらずお見事な筆跡でいらっしゃいますわね」
「そういうことではなくて、 中身を見てちょうだい。読んでみて」
命婦は私の|乳母《めのと》でもある。 自らの子供を早くに亡くしているためか、私たちを他の乳母よりもさらに深く、実の娘のように愛してくれている。
「.........まあ! 宮様、何てことをお書きになって......。帝に対して、このような手厳しい物言いをなさって」
「そう言うと思っていたわ。でも、あの執念深いにはこれくらいガツンと言ってやるのがちょうどいいのよ」
私はふん、と胸を張った。 何枚も衣を重ねているから、外からは分からないでしょうが。
「それは、確かに仰る通りでございますね」
「ね? そうでしょう。お母様とお姉さまを苦しめる人は、一人として許さないのだから」
その後、私は、|内裏《だいり》へと文を送り届けさせた。
読んでくれてありがとう!
ルビがいるかわからないけどつけてます。こんなの読む人は歴史好きばっかだと思うから知ってると思うし…
第三話
数日後。 私は宮仕えもしている中将の君から、 内裏での帝の様子を聞き出した。 返ってきた報告は、呆れて言葉を失うほど 愚か極まりないものだった。
『帝は、女四の宮さまことはお諦めになったようでございます。 しかし、 身代わりが手に入らぬのならせめて形見を愛でよ うとでも思われたのか、亡き桐壺の更衣の形見である二の宮様・・・・・・巷で噂の光る君を、常に御身辺に置いて離そうとしない ご様子で・・・・・』
私はこの話を聞いて激昂した。
ーーもう一度、文を送ってやるわ・・・・・・! あの愚帝は一体何を考えているの!
責めるべき点はまたしても二つ。
一つ目。 前途ある幼子を愛玩の身代わりにし、 まともな教育も受けさせずに手元に囲い込むとは如何なものでしょうか。
二つ目。己の私情に溺れて国の政を疎かにするとは、 国の長として如何なものでしょうか。
追伸。 光る君はこちらで責任を持って教育いたしますゆえ、 金切声で泣くほどに干渉なさらないでください。
よし、 できた。
「命婦、文ができたわ。 読んでみて」
「はいはい、分かりました」
また同じことを言われるかしら。 帝に対してこのような手厳しい物言いをするな、と。
「宮様、 また帝にこのような物言いをなさって・・・・・。 聡明でいらっしゃるのは素晴らしいことですが、 その知識は帝をお説 教するためにあるのではありませんわよ」
「だから言っているでしょう。 あの帝は本当に愚かなのよ!」
私の剣幕に、命婦は大きなため息をつきながらも、最後には納得したように深く頷いた。
「五の宮。 お前はまた帝に手厳しい文を送りつけるつもりなのかい?」
呆れたような、それでいて愛おしそうな表情で話しかけてきたのは、 最近声変わりをされたばかりの格好良いお兄様だっ た。
「ええ!だって帝があまりにも愚かでいらっしゃるのですもの」
「おいおい。それは事実だとしても、帝に向かって面と向かって言って良いことではないよ。 分かっているだろう? 聡明 なお前なら」
お兄様のあまりに真っ当な正論に、 私は返す言葉もなくて苦笑するしかなかった。
「では、お兄様。 この文、 内裏へ行かれる際についでに帝へ届けてくださいましね。 頼みましたわよ」
「やれやれ。 畏れ多いことこの上ないが、 可愛い妹の頼みとなれば断れないな。 喜んで引き受けよう」
さすがは私たち姉妹を溺愛してくださっているお兄様、頼りになるわ。
「ありがとうございます。 では、 お気をつけて行ってらっしゃいませ」
「ああ、行ってくるよ。 私の可愛い宮」
私たちののやり取りを見守っていた周りの女房たちは、その仲睦まじい様子にほっこりと顔を綻ばせていた。
読んでくれてありがとう!今回も私の個人の意見が入ってますね‥
第四話
日が暮れてきた。 そろそろお兄様がお帰りになる頃かしら。
「五の宮。 光る君をこちらでお育てするのでしょう? たくさんの書物を集めておきましたわ。 どれから学ばせるのが良いかしら ......」
悩ましそうな顔で話しかけてきたのは、お姉さまだ。 先日、裳着を済まされて以前にも増して美しくなられたお姉さまの もとには、毎日恋文の嵐が鳴り止まない。
「ううん、 帝がこれまでどの程度教育なさったのか分かりませんもの。 見当もつきま せんわ」
「そうよね。 …噂によると、 あちらでは普通の姫君が受けるような教養ばかり身につけさせられているそうなの。 和歌に琴、 和琴、琵琶、 それからお香の調合などね」
お姉さまからそんな驚きの事実を聞かされ、 私は呆れて頭が痛くなった。
「はあ。 流石に度が過ぎているわ......」
あまりの呆れ具合に、 いつもなら次々に出てくる小言が、この時ばかりはほとんど喉に詰まって出てこなかった。
「宮様、 宮様! 兵部卿の宮様が、 光る君を連れて牛車でお帰りになりましたわ! お二人が並ぶと、 それこそ輝かんばかりの美 しさでございますよ!」
命婦が息を切らせて知らせてくれた。私とお姉さまは御簾の隙間からそっと外を覗いてみた。......そこにいたのは、本当に言 葉を失うほど美しい少年だった。 お兄様と並んで見劣りしない男など、きっとこの世で光る君をおいて他にはいないわ。
「愛しい姫宮たち、 今帰ったよ。 こちらが光る君だ」
お兄様に促され、 小さな影が一歩前に出た。
「............お初にお目にかかります。 二の宮でございます。 これから、よろしくお願いいたします・・・・・・」
光る君の声は、かすかに震えていた。 緊張しているのか、あるいは怯えているのだろうか。 無理もないわ。 何せ私は、彼の父親 である帝に堂々と説教の文を叩きつけた、唯一の女なのだから。
「光る君。 そんなに怯えなくてもよろしいのですよ」
彼の不安をいち早く察して、 すぐに優しい声をかけたのはお姉さまだった。
「そうですわ。 私たちはあなたを救うために、当然なすべきことをしただけですもの」
お姉さまに続いて、私もそう言葉を重ねた。 すると、 光る君はその秀麗な顔を困惑に歪ませて問いかけてきた。
「私を......... 救う? 私は、 何かから苦しめられていたのですか?」
――まさかこの子は、父帝のなされていたことがすべて正しいと教え込まれてきたのかしら。 やはりあの帝は、この上ない愚 帝だわ。
「あなたはまだご存じなかったのかもしれないけれど、 あなたの父帝は、あなたに対して大きな罪を犯しておられたのですわ よ。 ・・・・・・でも、もう安心なさい。 あなたはこれから我が家で、たくさんのことを学ぶことになるわ。 本当のきょうだいのように 思って、 何でも頼ってくださると嬉しいわ」
私は、 自分にできる最大限に優しい微笑みを彼に向けた。 この子にもいつか、民のために必死になれる立派な人になってもら わなければ困るもの。 都一の教育を施して、 都一の天才に育て上げてみせるわ!
「・・・・・・ありがとうございます」
光る君の、最初は緊張で強張っていた顔が少しずつ綻び、 小さな笑顔がこぼれた。 その姿は、息をのむほどに美しかった。
読んでくれてありがとうございます!
第五話
遅くなりました!ごめんなさい!
あと少しで天女の万華鏡終わりそうになっちゃいましたわ!
光る君が我が家へやってきてから、四日が経った。
最初にあれほど怯えていたのが嘘のように、 今や「お姉様!」 と私の傍へ寄ってくるほどに懐いている。
そして光る君がそうして甘えるたびに、周りの女房たちは 「なんて美しいのかしら......」と、うっとりしたため息 を漏らしていた。
「五の宮。 どうですか、 光る君の様子は」
お母様も悩みの種が消えたからか、 いつもの気品ある美しさを取り戻していらした。
「あの愚帝がまともな教育を受けていなかったせいで、無知なことも多々ありますが、 まるで乾いた土が水を吸い 上げるように、教えたことを次から次へと覚えていくのです。 さすがは 『光る君』と噂されるだけはありますわね」 「そうなのですね。 目の肥えたあなたがそこまで認めるということは、相当な才なのでしょう。 あなたがその子の 受けてこなかった数年分の教育を施すのでしょう? 本当に、体にだけは十分に気をつけなさいね」
「ありがとうございます、お母様。 明日からも気合を入れて頑張りますわ!」
お母様との話がひと段落したその 時、 ぱたぱたと廂を走る足音が響き、 光る君が元気よく入ってきた。
「お姉様! 命婦が唐菓子を持ってきてくれましたよ! 一緒に食べませんか?」
「まあ、光る君。一日で随分と明るくなられましたね。その美しさに年相応の幼い輝きが加わって、とても素敵で すよ」
お母様が優しく、 気品に満ちた声で光る君を褒めちぎった。
「そうでしょうか? ありがとうございます、お母様!」
嬉しそうに微笑む光る君は想像以上に可愛らしくて、 私も内心驚いてしまうほどだった。
「それで? 命婦が唐菓子を持ってきてくれたのだったかしら。 私も行くわ!ではお母様、失礼いたします」
「失礼いたします!」
私たちが御前を退いた直後、お母様の御座所の中から、
「若いというのは良いものですねえ。 本当に楽しそうで・・・・・・」
という、 小さくも温かい呟きが聞こえた気がした。
光る君の手を引いてお姉さまの御座所へ向かうと、甘葛の甘い匂いと、 お姉さまが愛用していらっしゃる百歩の香 の薫りがふわりと漂ってきた。
「五の宮、 待っていたわ。 出来立ての唐菓子よ。 さあ、みんなで頂きましょう」
三人で囲んで食べる甘い唐菓子は、格別に美味しかった。 光る君が
「内裏には、 こんなに美味しいものは元よりありませんでした」
と満足そうに零していたので、私は心の中で、あの愚帝にまた一つ打ち勝ったような気がして、 たまらなく嬉しく なった。
第六話
光る君を教育し始めて、 早くも半年が経った。
光る君は、ようやく数年分の遅れを取り戻し、 普通の九歳が持つべき知識をすべて手に入 れた。 あの愚帝が施していなかった教育の穴があまりに多すぎたため、今日までは本当に大変な道のりだった。 しかし、勝負はここからだ。 何せ私の目標は、 光る君を都一の天才に育て上げることなのだから。
「五の宮。 この恋文の山、 どう片付けるべきかしら。 燃やすにしても、 灰の始末だけで大変なことになってしまうじゃない?」
お姉さまが困り果てた顔で相談をもちかけてきた。 お姉さまの美しさは誰もが認める事実だけれど、これほど評判が立ってしまえば、 絶 え間なく押し寄せる男たちへの対応で苦労が絶えない。
さて、あの大量の文をどう処分するのが最も効率的かしら......
紙はよく燃える。 そういえば最近、 薪が手に入らなくて炊事の燃料に困っている民たちがいたわね。 あの者たちの燃料として活用させれば・・・・
「五の宮? ずいぶんと小さな声でぶつぶつ言っているから聞こえないけれど、色々と考えてくれているのね?」
「えっ!? あ、思考が口から漏れてしまっていたなんて・・・・・・。 今、 思いついたのです。 薪を買えずに燃料に困っている民たちへ、 この文 を配るというのはいかがでしょうか。 紙ならよく燃えますでしょう?」
お姉さまは、およそ高貴な姫君からは出てこないであろう私の突飛な提案に、驚きを隠せない様子で目を丸くした。
「・・・・・・素晴らしいわ、 五の宮。 ただの塵にしてしまうより、お米を炊くための炎となり、 誰かのお腹を満たしてから塵になったほうが、 文 を贈った者たちにとっても遥かに本望というものね」
お姉さまがすぐに深く賛同してくれたので、 私はほっと胸をなでおろし、 心の中で小さくため息をついた。
「五の宮・・・・・・ 頼みがあるのだが・・・・・・」
「お兄様!? まあ、一体どうされたのですか、 そんなにおやつれになって・・・・・・!」
私はお兄様の顔を見て驚愕した。 いつもの美貌が台無しになるほどげっそりとやつれ、全身から疲労が滲み出ている。
「聞いてくれるかい? 内裏を歩けば男たちが 『妹君に渡してくれ!』 と恋文を押しつけてくるし、女房たちの局の前を通りかかれば、 寄 ってたかって私の衣を引っ張って中に引きずり込もうとしては、 これまた恋文を渡してくるのだ・・・・・・」
まあ、なんという酷い話かしら。 いくらお兄様の顔立ちが良く、お姉さまが美しいからといって、宮中の者たちは少しは羞恥心を持ちなさ い! 私は心の中で怒りの炎を燃やし、 どうにか感情を鎮めようと深呼吸した。
「まあまあ、 お兄様。 ・・・・・・ですが、 お兄様がそろそろ北の方をお迎えになれば、そうした騒ぎも収まるのではないかしら」
お姉さまの言葉は、 まさに正論だった。 確かに、 可愛い妹たちが二人もいるからと、これまですべての縁談を蹴って独り身を貫いてきた お兄様側にも、少しは原因があるかもしれない。
「無理だ・・・・・・。 女子という生き物は、つくづく恐ろしい・・・・・・」
お兄様の目は完全に濁っている。 あーあ、 すっかり重度の女性不信に陥ってしまっているわ。
「「ではお兄様! 私たちが心優しい姫君を探してきて差し上げますわ!」」
お姉さまと口裏を合わせたわけではないのに、 見事なまでに声が揃った。 お兄様を怖がらせる女ばかりではなく、中にはきっと、奥ゆかし く優しい人だっているはずだ。
「ありがとう、我が宮たち。 しかし、そんな都合の良い姫君がいるものかね。 我が家の北の方となれば、大臣の姫君か、さもなくば内親王 や女王といった高貴な身分でなくては釣り合わないが・・・・・・」
「う......。では、我が家の女房たちに広く噂を探らせますわ。それか、光る君なら何か知っているかもしれません。 内裏には、数多の 女御や更衣がいたのでしょう? あの帝が、 光る君を無理やり女たちの御簾の中に引き入れていたという噂ですし・・・・・・」
ここへきてもなお、あの愚帝の仕業が関わってくるとは、本当に不愉快極まりないわね。 結局、 何が起きてもあ奴の悪影響が絡んでくる のが本当に許せない。
読んでくれてありがと!
第七話
今日から、私はお兄様の北の方となるにふさわしい、高貴で心優しい姫君を探すことにした。
まずは、 我が家で預かっている光る君に話を聞いてみよう。
「光る君。 あなたがいた内裏に、心優しい姫君はいらっしゃったかしら?」
「はい、お姉様! 内裏の姫君方は気のきつい方が多かったですが、 麗景殿の女御とその妹君はとてもお優しくて、私とも仲良くしてくださいましたよ!」
おや、いきなり有力な情報を手に入れてしまったわ。けれど、麗景殿の女御は父親である大臣がすでに亡くなっており、強力な後ろ盾がないはずだ。 お兄様の正式な北 の方とするには少し身分が足りないけれど、お兄様の女性不信を優しく癒やしてもらう御方としては、これ以上ないほどぴったりかもしれないわね。
次は、 我が家の女房たちに広く噂を聞いてみましょうか。 まずは手近なところで、 命婦かしら。
「命婦!どこかに、 心優しくて高貴な姫君の噂を知らない?」
「さあて、 どうでしょう。 私はずうっとこの三条の宮にお仕えしているのですよ! 外の姫君のことなど、知るわけがないではございませんか!」
残念、知らなかったか。 ずっと我が家に仕えてくれているのは分かっているけれど、他所の女房仲間から何か聞き齧ったりしていないかと思ったのだけど。
「悪かったわね。 じゃあ、 中将の君を呼んできてちょうだい」
「はーい。でも、中将の君は今、四の宮さまとお話しされていたので、すぐには難しいかもしれませんよ」
・・・・・・困ったわね、 不運が重なってしまったわ。
「じゃあ、 少納言の君はどうかしら? あの子はあの愚帝の妹である、 女五の宮様のところに少し前まで仕えていたでしょう?」
「宮様、 また今上の帝を愚帝などと仰って・・・・・・。 少納言の君なら、 今は局で休んでおりますから大丈夫ですよ」
「だったら話が早いわ、 すぐに連れてきなさいな」
少納言の君とはそれほど親しいわけではないけれど、 情報を聞き出すことくらいは私にだってできるはずだ。
「・・・・・・あの・・・・・・少納言と申します......」
部屋に入ってきた彼女は、あからさまに身を縮めて怯えていた。 私は一体、周囲からどんな恐ろしい存在だと思われているのだろう。ここは精一杯、優しく声をかけるとし よう。
「そんなに怯えないでちょうだい。 自己紹介は省いて、 すぐに本題に入るわ。 あなたはどこかに、 高貴で心優しい姫君をご存知ないかしら?」
「そ、それでしたら・・・・・・ 女五の宮様のところに、 式部卿の宮様がよくお見えになっていたのです。 その際、 時折お連れになっていた姫君がいらっしゃいまして...。 式部卿の宮様の姫君は 私のような一介の女房にも本当に優しく接してくださいましたわ…」
うわあ、ぴったりじゃない! 式部卿の宮の姫君なら、 身分は申し分の ない女王だ。 最高すぎる情報を手に入れてしまったわ。 中将の君が取り込み中だったのは、むしろ怪我の功名だったかもしれない。 お兄様が我が家へ帰っていらしたら、 すぐにでも知らせて差し上げましょう。
「ありがとう、少納言の君! 助かったわ!」
少納言の君は、まさかここまで大喜びされるとは思っていなかったのか、一瞬きょとんとした表情を浮かべていた。 私はすぐに席を立ち、お姉さまの御座所へと急いだ。
「お姉さま! お兄様の北の方にこれ以上ないほど相応しい御方を見つけましたわ!」
「まあ! 本当? どなたの噂かしら」
「少納言の君から聞いたのです。 式部卿の宮様の姫君ですわ!」
お姉さまの顔がみるみるうちに笑顔になり、 それこそ光り輝くように美しくなった。
「その御方なら女王の身分ですもの、 お兄様とも本当にお似合いね。 善は急げ、 さっそく文を送ってみましょうか」
それから、私とお姉さまは二人で熱心に知恵を絞り、 式部卿の宮の姫君へ向けた最初のご挨拶の文を書き上げ、 すぐに使者を走らせたのだった。
「五の宮、 四の宮。 今帰ったよ」
待ちわびていたお兄様が、ようやく内裏から帰っていらしたわ! よし、さっそくあの素敵な姫君のことをお知らせしましょう。
「お兄様!少納言の君が、 心優しくて高貴な姫君のことを教えてくれたのです。 式部卿の宮様の姫君ですって!」
「本当に? その方は本当に、心優しい御方なのか い?」
お兄様はまだ少し女性不信が抜けないのか、 縋るような目をしている。
「ええ。ですので、 今度我が家へ遊びにいらしてくださらないかというお誘いの文を、 すでにお送りいたしましたの。 今度お兄様がご自身の目で、 そのお人柄を確かめて みてくださいね」
その目で確かめるとは言っても、どうせ御簾を隔てて対面することになるのでしょうけれどね。
「う、うん。分かった、 頑張ってみるよ」
作戦は大成功! お兄様も前向きになってくれたわ。あとは、私とお姉さまが心を込めて書いた文へのお返しを、楽しみに待つだけだわ。
読んでくれてありがとね。
第八話
朝、 あまりの眠さに今にも目が閉じてしまいそうな中、 私はゆったりとの空を眺めていた。 そんな頃合いに、少納言の君が息を切らせて私の前へ とやってきた。 その手には一つの文が握られている。 おそらくは······ 式部卿の宮様の姫君のことだろう。
「どうしたの、 少納言。 もしかしなくても、式部卿の宮様の姫君からのこと?」
「はい! 式部卿の宮様の姫君から、 御文が届きました!」
思ったよりも返事が早いわね。さすがはお兄様の北の方候補、 礼儀がしっかりしていらっしゃるわ。
中を確認してみれば…よし、 明日我が家へ来てくださるそうだ。 今のところは前向きに考えてくれているようで安心したわ。
「少納言、下がって良いわ。 代わりに命婦を呼んできてくれる? ちょっと話があるから」
「はい、分かりました。 五の宮様」
少納言の君がすぐに下がってくれたので、 私は命婦がやってくるまでの間、あの姫君のことを考えることにした。 そういえば、 我が家の庭に咲く朝顔が美しかった からと、 朝顔を添えて和歌を贈ったところ、 彼女はそれは素晴らしい和歌を返してくれたのだ。 だから、これからは仮に 「朝顔の君」とでも呼んでおこうかしら。 毎回、 式部卿の宮様の姫君、 と呼ぶのはあまりに長くて面倒だもの。
「宮様。 お呼びでございますか、 どうなさいました」
そこへ命婦が入ってきた。
「ん......。 まずは朝餉を持ってきてちょうだい。 話はそれからよ」
私の言葉に、命婦が一瞬、あからさまに呆れたような顔をした気がする。 話があると言って呼び出しておきながら、開口一番に「ご飯を持ってこい」と言われた ら、さすがに落胆するかもしれないとは思うけれど。
やがて、部屋の中に朝餉のあたたかい湯気がふわりと漂ってきた。
「あ・・・・・・ 命婦、ありがとう。 では、ここからが本題よ」
「はあ......」
命婦が私たちと親しい間柄なのは分かっているけれど、仮にも女房なのだから、 私の面と向かってあからさまにため息をつくのはやめて欲しいものだわ。
命婦への用件を話し終えると、私はすぐに彼女を下がらせた。 あらかじめ、 誰にも会話を聞かれないように周囲の者たちもすべて下がらせておいたのだ。命婦は話を 聞いている間、あからさまに 「またですか」といった顔をしていたけれど、 そうなのだ、 またなのだ。 私はあの今上の愚帝の動向を探るよう、 命婦に命じたのであ る。 幸いなことに、命婦の妹はあの愚帝の寵愛を受けている女房の一人だった。 そこを足がかりにして内裏の情報を探らせているのだ。 風の噂では、その妹君も 愚帝のことは心の底から嫌っているらしいのだが、 表向きは従順な振りを装って、 上手いこと情報を集めてくれているらしい。
「五の宮。 少しよろしいですか」
人払いを終えた部屋の御簾をくぐって入っていらしたのは、お母様だった。
「お母様。 いかがなさいましたか」
「・・・・・・民からの貢物が届いたのです。 それ自体はよくあることなのですが、その中に、見事な瑠璃の器が混ざっておりましてね。一介の民がこれほど高貴なものを持 っているはずがないと不審に思いつつも、気になったので下男に命じて持ってこさせたのです。......そうしたところ、器に毒でも塗られていたのでしょうか。 その下 男が器を持ち上げてしばらくした途端、 急に倒れてしまったそうなのです。 その後、不用意にその器に触れてしまった者たちも、次々に倒れてゆき・・・・・・。 民の衣をま とった刺客が、 私たちの周囲にまだ潜んでいるやもしれません。 あなたもくれぐれも気をつけてくださいね」
「そんな、嘘 倒れたという方々は、無事なのですか? もう回復なさったのですか?」
「ええ・・・・・。 なんとか一命は取り留めたのだけれど、まともに体が動かなくなってしまい、もう働くことは難しいかもしれないということで、 皆、暇を出して家に 帰っていきましたわ」
一刺客、 ねえ。 一体どこの誰が、 我が家にそれほどの敵意を向けているのかしら。 随分と命知らずな奴がいたものだわ。 私の大切な家族の命を脅かそうとす る不届き者は、それが誰であれ、本気で生かしておくつもりはないからね、 私は。
「五の宮? そんなに怖い顔をしないでちょうだい。 その貢物を持ってきた刺客なら、すでに捕まえて検非違使に渡しましたから、もう安心なさいませ」
お母様 は何でもないことのように微笑んだ。 ひとまず実行犯が片付いたのは良かったけれど、これで終わりとは限らないわ。 背後にいる黒幕が誰であれ、この後も第二、 第三の刺客を放ってくるかもしれない。 我が家の防衛のためにも、ここからは本気で警護を固めさせなくてはね。
「それで、 兵部卿の宮のお相手となる姫君は、無事に決まったのですか?」
お母様が思い出したように尋ねてこられた。
「ええ。 昨日、式部卿の宮様の姫君に私とお姉さまで文をお送りいたしましたの。 そうしたところ、 今朝早くに大変素晴らしいお返事が届きまし我が家へお越 しくださることを快諾してくださいましたわ。 あとは明日、 お兄様がご自身の目でそのお人柄を確かめ、お気に召すかどうかですわね」
「まあ、それは良うございました。 式部卿の宮様の姫君なら、 身分も教養も申し分ありませんものね」
お母様もようやく心からの笑顔になり、 我が家の素晴らしい未来を予感して、とても嬉しそうに目を細めていらした。
読んでくれてありがとね!
第七話
やっとフロリア様の部屋の前に着いたー。つーかーれーたー。だって階段が山にある神社みたいにながーくて、しかも廊下も長い!エレベーターが恋しい‥
「失礼します…オレンジです」
「…」
返事がない。ふつう返事するでしょうに。さっきの2人だけじゃないよね。
中にいたのは髪をボサボサにして、服は豪華なんだけど、変えて無さそうだけど顔はそれなりに美しい子だった。
「これからよろしくお願いします。オレンジです」
「…」
返事して!困る!とりあえず風呂に入れたいなー。綺麗になった姿が見たいっていうのもあるけど。
「ではお風呂に行きましょうか。」
そういうと相変わらず無言だが、めっちゃ抵抗し始めた。私の方が強いから無理やり抱き上げて部屋を出て、長い階段を降りて、廊下を歩いて風呂についた。普通に行くだけでも疲れるのに人を持って歩くんだからさらに辛かった。
「じゃあ、フロリア様。お風呂に入りましょうか(圧)」
「…」
相変わらず無言だなー。それは「はい」というか返事と受け取るからね。勝手に。風呂の扉を開けると、そこは普通のスーパー銭湯とは比べ物にならないくらい大きい。はっ、いかん。仕事中なんだ。集中しないと。
「フロリア様。まず洗いますね。」
ちゃんとシャンプーもリンスもあるしね。うん、というか人を洗ったことないな。一人っ子だし、子供もいないし。ここは…勘だ!
うん、なんとかなった。というか、洗ったら他の家族の皆さんに並んで美人じゃないですか。もったいないなー。
「お風呂入られます?」
フロリア様は小さく首を縦に振った。おー。ついに返事したっ!心の中で大拍手!というか私も入りたいなー。入ってもいいのかな?メイドだけど。いいなら今夜はいろーっと。
「あつっ…」
っっっ!声出せるんだ!えっ。かなり可愛い声してるじゃないか。
「もう…出る…タオル…」
可愛い!喋れないのか、声を出すのが恥ずかしいのか。わかんないけど可愛い。
そのあと、お嬢様に服を着せて、髪も整えてみたらすごい可愛くなった。うん、クラリス様に見せに行こうかな。
「フロリア様。いきますよ。」
「どこに…?」
「クラリス様…お嬢様のお母様のところですわ。」
よかった。フロリア様とクラリス様の間に確執はないようね。よかった。
「クラリス様。オレンジです。失礼します」
「あら?こんな時になんのようかしら?って、もしかしてフロリィ!?すごく綺麗になったわ!ありがとう、オレンジ」
美しい人間が2人並ぶと発光しているように感じる。うわぁー。
「オレンジ。ありがとう。この子も綺麗になって自分に自信が持てただろうから、なんとかなりそうだから次の仕事を頼むわね。」
「はい。何なりとお申し付けください。」
「それはね‥」
読んでくれてありがとう!最近やっと筆が乗ってきたよ!出来ればリクエスト箱作ったから入れてくれると嬉しいな♪
第九話
久々の投稿になりました!昨日はね、久々にバレエのレッスンがあったからテンションガムザッティやばくって、完全に忘れてました。ごめんなさい。
いつもは朝が苦手な私だけれど、今日ばかりは少しも眠気を感じない。それもそのはず、あの朝顔の君がお見えになるのだから!
「お兄様、準備はよろしいですか? 式部卿の宮の姫君がお見えになるのは、辰四刻ですのよ」
「なんと! あと少しではないか。まだ心の準備が……」
慌てるお兄様の様子がおかしくて、私は思わず笑ってしまう。
「私は、式部卿の宮さまの姫君がいらしたらすぐに民たちのところへ参りますね。お邪魔虫は退散いたします」
だってお兄様は、私たちが側にいたら、絶対に「我が妹宮に敵う者などいない」と言い出すに決まっているのだ。
「そんな殺生な、私の可愛い宮……」
嘆くお兄様を横目に、私は遠くに朝顔の君の乗っているであろう糸毛の車を見つけた。簀子へと降り、外へ出ようとしたものの、差し込む日差しが強い。いつもの羽衣と市女笠を身につけねば。
「命婦、いつものを持ってきてちょうだい」
「はいはい。今からお出かけですか? 兵部卿の宮さまはよろしいのですか?」
「わかるでしょう? お兄様は私たちがいたら……」
命婦も納得したようで、御座所から羽衣と市女笠を運んできてくれた。
「ありがとう、行ってまいります」
私は静かに牛車に乗り込み、民たちの待つ場所へと向かった。牛車から降りた私に気づくと、民たちはぱっと顔を輝かせて駆け寄ってきた。
「おお、天女さまがおいでくださったぞ!」
「天女さま!」
すぐに私の周りに人だかりができる。
「まあまあ、落ち着いて。今日はこれらを差し上げますね……おや、そこのあなた。瘧を患っていますね? このお薬を使えば良くなりますよ。私が薬草から作ったものですから。」
私が優しく微笑みながら手渡すと、民たちは涙を流して手を合わせるのだった。
「お姉様ー! どうして私を置いていってしまわれたのですか!」
息を切らしてこちらへ走ってきたのは、光る君だ。いつも民のところへ一緒に行くから、置いていかれたのが寂しかったのだろう。
「まあ……そんなに泥だらけになって。後できちんと洗ってくださいね」
私が精一杯の優しい笑みを向けると、光る君は見惚れたように一瞬、呆然と固まってしまった。
「……はっ。あ、あの、お兄様と式部卿の宮の姫君のことなのですが……」
「光る君、そのお話は牛車の中で伺いましょう。ひとまず、早く帰りましょう」
私は彼の話を遮り、邸へ戻るよう促した。光る君は一瞬だけ寂しそうな顔をしたが、すぐに納得したようで、先に牛車へと駆けていった。
「では皆様、失礼いたしますね」
私がそう言って牛車に乗り込むと、民たちは私たちの車に向かって涙を流しながら手を合わせていた。もし、都の殿方たちが私に送ってくる文を、私が民たちの煮炊きの燃料にしていると知ったら、一体どんな顔をするだろう。あの少し風変わりな殿方たちのことだ。「なんと慈悲深いお心遣いだ……」などと、かえって感動してしまうかもしれない。邸に戻ると、すでに朝顔の君は帰られた後だった。そこには、魂が抜けたようにぼんやりと座り込んでいるお兄様の姿がある。
「お兄様! いかがでしたか? 式部卿の宮の姫君は」
「う、うむ。悪くなかったよ……。宮中の喧しい女たちとは違ってね」
よし! 私は心の中ですごく喜んだ。お兄様がいつもの調子を取り戻してくれたことを想像し、自然と笑みがこぼれるのだった。
読んでくれてありがとう。
十話があるんだけど、そっちはカクヨムではまだ出してないです!ついにこっちの方が先になる日がきた…まあ、こっちは十一話の最初で止まってるけど…