編集者:まりん華音
アルプスの少女ハイジが大好きな川奈病院の娘のくらら。白血病の男の子に出会って励まそうとするも、口が滑って彼女になる、と言ってしまい…!?
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病院の少女くらら!一話
私はハイジに救われたよ!アルプスの少女ハイジ…、ハイジがクララを応援しているのを見ると、私まで応援された気になっちゃうんだもん。……いつか…、私もこんなふうに、なりたいな!
「ってことで小児科病棟の見回り、よろしくな」「げっ」
な、なんで~っ!?思わずそう叫んじゃった。私ーーー、川奈くららは川奈病院の娘!よく子供っぽいって言われるけど、これでも高校一年生…!
ってそれはともかく、パパ…院長から特別任務として小児科病棟の見回りを強要じゃなかった、頼まれちゃったんだよ~!「くらら、行かないのか?」「っはい、行くよ行くよ…いや、行きます!」さっそく小児科病棟に入って一番初めに見えるの『501号室』の扉についている、丸いガラス窓をのぞいてみる。そこにはタブレットをいじっている小学生くらいの男の子が。お~、なんか真剣な表情でかわいい…。
「入るよ~…」慎重に扉を開けて入ると、男の子は、明らかに嫌そーにして「や、やめてよっ入るな、入らないでください!」わ~、慌ててる!かわいい~!
……じゃなくて!
「私の名前は川奈くらら!よろしくねっ!」「二度と会いません」「そんなこと言わずにさ~」「やめろ…やめてください!」
あなたの名前は……って聞く間もなく、一瞬でシャットアウトされたっ!?
そこでタブレットの画面が見えた。「それって年下男子と年上女子の恋愛マンガの電子書籍だよね!?最近流行ってるよねそれ!」
男の子は「は!?なんなんですかあなた!出ていけ…出て行ってください!」
そして私は勢いに押されて渋々部屋から出ちゃった。
「びっくりした~…」思わずそんな声が出ちゃった。でもほんとにびっくりしたのはあの子なんだよね…。
名前も聞けなかったよっ…!
結局私、嫌な思いさせただけじゃん。
「そんなことでハイジはへこたれないもん、また明日、絶対、行く!」
『絶対来るな』って言われそうだけど、少しでも心の支えになりたいよ!私の中のハイジみたいにっ!
次回は7月6日に公開予定です。ファンレター頂けるととても創作の励みになります!
病院の少女くらら!二話
「ねえ!あなたのお名前は~!?」「……」
シーン…。あ、あっけない無視!私は昨日の男の子の部屋、501号室に来ています!
嫌がられたかなぁ…。私もハイジみたいにみんなを楽しませたいのにっ!男の子はボソッと答えた。「…小5の、山梨碧…」なるほど、アオくんね!
「碧君!碧君は何が好き!?」「入ってこないでくださいっ…」なんか敬語なのに敬意が0!口だけでやってるというかっ!私は碧君のベッドの上に無造作に置いてあるswitchを見つめる。「ゲーム好きなの?」「…マイクラです」「今度一緒にやろう~!じゃあ好きな色は?」「黒とか…」「黒か!かっこいいよね~……!」
よし、嫌がられなくなったかな、す、少しはっ!
「好きなアニメは?」「仮面ライダー…」「昔弟がよく見てたな~!好きなマンガは?」「この…」と、昨日のタブレットを指さした。あ、「前見てたやつが好きなんだね!?恋愛もの!」
碧君は少し恥ずかしそうにこくりと頷く。「恋愛ってあこがれるよね~!」「…ひ、人に好きになってもらうってあこがれるなって…思いまして…」「それなら私が!碧君の彼女になって愛をささげるよ!」
すると碧君は真っ赤になって「え、それって、そういう…」とブツブツ言っている。あれ?私なんか変なこと言ったっけ?私は必死に自分の台詞を脳内で一つずつ再生してみる。
私アウトなこと言った覚え……『それなら私が!碧君の彼女になって愛をささげるよ!』
…めっちゃアウトなこと言っちゃってる私!
慌てて訂正しようと口をパクパクさせるが、もう遅い。
碧君は顔を赤くしながら「…彼氏になってやっても、いい…かも…で、です」
ここで断ると嫌な思いさせちゃうよね絶対っ~…!
私はただ「う、うん!」ということしかできなかった。
「ああ、山梨碧君?白血病の」
「え、白血病だったの⁉」
その日の夜、私は告白の件を伏せてお母さんに聞いてみた。
お母さんはあきれたようにため息をついて「だから見てわかんないの~?病院娘歴15年じゃないの…」わかんないよっ!とは言わないで置いた。
「あ、あと今日からあげだから。碧君礼儀正しいわよね、いつも敬語でニコニコしてて」「ニコニコ!?むしろツンツンしてるよ!たまにタメ口になるし!」ねえ、これって!
「心を許されてるってことだよね~~~!?」「くららが子供っぽいだけじゃないの?」
そんなことないもん~!
よし、明日から彼女…として、頑張っていきましょっかっ(!?)
次回は7月8日投稿です!ファンレター頂けると創作の励みになります!
病院の少女くらら!三話
私立神野学園の図書室。私は貸出カウンターに前のめりになりながら話し出した。「でさでさ、大橋先輩なんかある!?」「そうです、ね…」大橋先輩……、三年生の大橋星来先輩。図書委員長を務める、スーパー美人スタイル良しメガネっ子!大橋先輩は困ったように答えた。
「…いつものハイジさんを語るかと思ったらいきなり『カップルは何をしますか』と言われましてもっ…」「え、えへへ…」一旦ラブレターらしきものを書いてみたけど、なんか違うなって思って…。いつもお話に付き合ってもらってるもんね!じゃなくて~!
「なんかないですか!?」「図書室に少女漫画はないですよ……。う~ん、手をつなぐとか、そういうボディタッチじゃないですかね?」「ふむふむ!」
流石、鋭いっ!「そうすればいいのか…!さっすが大橋先輩ですね!ありがとうございました~!」私は図書室の扉を開けて猛ダッシュ!こんなに走ってるところ先生に見られたら大変だ~!
「ちょっと待ってください!お手紙落としましたよ~!」
川奈病院にて。「ただいま!お父さん小児科病棟行ってきま~す!」「今日はずいぶんとやる気だな!」お父さんが感心している間もなく、私は501号室……、碧君の部屋に向かった。
「碧君!」碧君は一瞬ビクッと震えたけど「何ですか」…なんかいつにもましてそっけなくない?
昨日のはどこに行ってしまったのさ~!?「ねえねえ昨日の碧君に戻ってよ」「なんのことですか…」
私は明るくふるまってみる。「碧君はかわい…ももももちろんかっこいいよねっ!」途中で碧君にぎろりと睨まれちゃった!こわいっ!他の人にはニコニコしてるって言ってたけど、本当に私だけ何なのさっ~!ツンデレ!?私にだけ!?碧君の頭をなでて、
「いい子だねいい子だね~!なんでお父さ…、院長にはニコニコしてるのに私には笑ってくれないの?笑ってほしいな~!だってこんなに可愛いんだもん!」
碧君の目が一瞬曇った。それに不覚にもドキッとしちゃう。
碧君はすぐにいつもの調子で「やめてください出てけ…出てってください!」
そうして私は追い出されちゃった。「他の小児科の子のところ回るかぁ」カップルて難しい!…元気にさせたいのに人を傷つけちゃだめじゃん!
でも私には明るさしか関わる方法がないんだもん、それすら嫌がられちゃったら、「どうすればいいの…」
そのあとも『四季かのんちゃん!』『河野そうたくんっ!』とみんなのところを一通り回って引き返す途中、私は窓に貼ってある台紙を見つめた。
これは前見学に来てくれた青柳小学校の子たちのお礼状…お手紙だね。
かわいかったな~…碧君並に!
あれ?私なんか忘れてない?でもなんだっけ、なんか黒歴史並みに恥ずかしいことだったような気がする…
「…お礼状…お手紙…ラブレター…あ!」
碧君へのラブレター、図書室に忘れた~っ!?
次回は7月10日投稿です。ファンレター頂けると創作の励みになります!