ねぇ、知ってる?
『雨の日だけ現れる病院』。
歩く影は人なのにヒトじゃないみたいで。
翼が生えてたり、花が咲いてたり。
儚い雨に包まれて、奇病患者は目を覚ます。
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目次
「奇病は雨に包まれて」患者見本
作者 夕希
名前|月影 茜《ツキカゲ アカネ》
年齢 18
性別 女性
性格 無愛想 コミュ障 無口 毒舌 甘いものが嫌い 神出鬼没 ネガティブ 残酷 ツンデレ?
一人称 私
二人称 君
枠 奇病患者
ーーー
奇病名 |影欠症候群《カゲカケショウコウグン》
奇病内容 発症してから少しずつ自分の影が欠け、約3年で影が無くなる。影が無くなると死ぬ。治療法は見つかっているが、極めて困難。
ーーー
ここに来て何年目 2年目
患者に対するイメージ ガラス細工みたい
容姿
黒色のウルフカットに襟足が長い。サイドバングがあり、銀色のピンが2つ付いている。同じ銀製の丸眼鏡をかけていて、目は切れ長でハイライトが無い。泣き黒子がある。チョーカーを付け、患者服に薄い黒パーカーを羽織っている。首の横に「贄」の文字が焼き付けられており、それを隠す為に襟足を伸ばしている。
過去
産まれた村が「満月村」という村だった。そこは一年中満月だが、3年に一回生贄を捧げないと月が欠け、村に不幸が降り注ぐという言い伝えがあった。産まれた家は生贄を出す代わりに莫大な金を受け取る家系で、16の生贄にされる前の晩に逃げ出し、その途中ふらついて道端の池に落ち、影欠症候群を発症した。その後亡き院長と出会い、病院に入った。院長曰く、人目から隠れれる様にと雨の日だけ現れるようになっている。
症候群のことを本人は、村から逃げ出した祟りだと思っている。
サンプルボイス
「月影です。」
「…大丈夫?」
「…雨?…嫌いじゃ無いかな。」
「…馬鹿だなぁ」
「ドーセあと一年なんだ。こんなかだけでも好きに生きるよ。」
「祟りだ。私が逃げ出して無くなった村の。」
資料 この病院の最初の患者。今は亡き院長と仲が良かった。
雨は好き? 好き
死描写OK? はい
「奇病は雨に包まれて」職員見本
作者 夕希
名前 |榊 渚《さかき なぎさ》
年齢 27
性別 男
性格 使えるもんはバンバン使う 無慈悲 ぶっ飛んだことを言う 飄々としていて掴み所がない 亡き院長の弟子。 何故か冷たい態度をとられることにちょっと嬉しそう 茜曰く渚は「胡散臭いヤバいヤツ」らしい。 呑兵衛
一人称 僕
二人称 君
枠 職員
ここに来て何年目 12年
患者に対するイメージ 触ったら爆発する爆弾
容姿 明るい茶髪に長い髪を金具で一つに留めている 蒼い目に泣き黒子、八重歯。ワイシャツにネクタイをつけて、その上にパーカーを羽織っている。
過去 軍人の両親の間に生まれた。殆ど放置されていて、一人で自分の分の家事をすることも殆どだった。両親が訓練の事故で死んだ後は家を出て各地をほっつき歩いていた。すると亡き院長に出会い、その人柄に惹かれ弟子入り。その後職員と患者を増やして、安全に暮らせる場所にしてほしいという遺言をもとに生きている。これは渚しか知らない。
サンプルボイス
「榊渚です〜、よろしくね」
「えぇ〜、ひどーい笑」
「いやぁ…薬飲みたくないのはわかるけどさぁ…流石にここで飲まなくて死んで恨まれるのは御免だからさぁ…」
「雨ー…は院長との出会いだし、割と好きかなぁ」
資料
雨は好き? はい
死描写OK? はい
光が侵食する
視点:榊渚
ひたひたと雨脚が強くなる。小雨は豪雨に変わり、屋根でタップダンスをし窓をノックし続ける。
影が差す病院の廊下は無人で、壁が無機質に佇んでいた。
---
一つの病室から何かが散った。黒くすべてを飲み込む…影のような三角の物体。
僕は溜め息を一つ吐き捨ててからその病室の扉を開けた。
髪と影のように黒く、モノクロ写真のような人物。病院着を着た首元は襟足でほぼ隠れ、何かの漢字が見え隠れする。銀製の丸眼鏡の奥は髪と同じ影色の眼。
そして、最も目を引くのは首元など所々が欠けた彼女の影だ。その姿は触れただけで消えてしまうのではないか…と思わせる。
|月影茜《ツキカゲアカネ》、18歳。影欠症候群の患者。
「やぁ、茜ちゃん。元気?」
「…今まさに病気で苦しんでいる患者に元気と聞くのは野暮だと思うけど。」
冷めた目でこちらを見てくる茜。最近は軽蔑のこの目線に哀れみが入ってきた気がする。
「まぁ〜、それはそうだね。」
「…あなた以外の医者がいいと…頼んだ気がする。」
「しゃーないでしょ、万年人手不足なんだから。」
溜め息一つ。悲しい限りである。
しかし、万年人手不足なのは事実だ。患者11人に対し医者6人。あれそうでもない…?
しかし事務作業などもあるので一人2人は荷が重い。交代制であるものの。
まぁこの病院の人で事情などどうでも良かろう。
「じゃぁ、問診、診察やっていきますねー」
ものすごく嫌な顔をされたのはこの際見なかったことにすることにして、簡単な問診、診察をし、その結果をカルテに書き込んでいく。
「…そういえばさっきも、すこし影が欠けたなぁ」
自分の影を眺めながらそう呟いた茜に、僕は無言で頷くことしかできなかった。
「…うし、コレで問診診察は以上ですー、また夕飯の時。」
「…会いたくない」
「辛辣ぅ」
そんな軽口を叩いてから部屋を出る。こんな軽口を叩けるようになったのも最近だ。少しずつ心を開いて言ってもらってるのかただただ嫌われてるだけなのかは定かではないが、どっちにしろ仲良くなるならいいことだ。
そんなことを考えているうちに、職員棟に着いた。この病院は職員棟と患者棟に分かれている。日和見感染を防ぐためらしい。
職員室に入ると、三死が居た。なにやらニヤつきながらコーヒーを啜っている。
夜のような漆黒のセミロングはあっちこっちにはねている。四六時中笑みを絶やさない眼は光がなく全てを吸い込むようだ。
|三死無望《さりなむぼう》、36歳。病院職員。
「あぁ、三死さん。どうも。」
「…お前か。もう診察は終わったのか」
どうやら忘れられて今思い出されたようだ。頭の中でこっそり苦笑しながら頷くと、三死はへぇとだけ言ってパソコンとにらめっこし始めた。コレ以上お前と話す気はないということだろうか。
少しの間、気まずい沈黙が流れた。気まずいと思っていたのはこちらだけかもしれないが。
何年一緒に働いていてもどうにも打ち解けられる気がしない。何故だ、何故なんだ。
「コーヒー、無糖ですか。」
空気に耐えられずなんとなく聞いた問いだが、三死はこちらを睨んだ後、小さく頷いた。yesと捉えて話を続ける。
「僕、無糖飲めないんですよね。砂糖2本ぐらい入れてようやく飲めるぐらい。」
「ガキかよ」
その一言だけ帰ってきた。これでも27歳である。
その後話題が見つからずだんまりを決め込んでいると、すこしガタが効いた職員室の扉が開け放たれた。
「あっ、妖くん。やっほ」
黒いくせ毛の髪は腰まで長く、三つ編みでまとめられている。右目が髪で隠れており、そのすぐ横のもみあげも三つ編みにしている。細い糸目、眼は赤と紫のマーブル模様。髪と同じ色のタートルネックに白衣を羽織り、萌え袖のようだ。身長は低めで、男性の中でも低めの渚も見下ろすことができる。
一見女子に見えてしまうが、喉元を見ればしっかり喉仏がある。
|一ノ瀬妖《いちのせよう》、25歳。病院職員。
「こんにちは。お二人ともベテランなだけあって速いですね。」
そうにっこり微笑むと、妖は自分のデスクに腰掛けた。そして、すぐ事務作業に取り掛かり始める。
やる気が起きなかった僕は、二人に断ってすこし散歩に出かけた。出かけるって言ったって病院内の屋上だけど。
なんとなく空を見上げてぼーっとしていると、きぃと音がして屋上の扉が開いた。
出演者:榊渚、月影茜、三死無望、一ノ瀬妖
雨に溶けて
視点:前部→榊渚
後部→内田和樹
「あぁ、君か。…風邪ひきますよ。」
屋上の扉をギィと開けて出てきた人物に向かって理解の言葉、ついでに気遣いの言葉をかけておく。
その人物は人が居ると思っていなかったのか、ビクンと肩を揺らしてから恐る恐るといった感じでその姿の全体図を表した。
少女は色素が薄い髪はセミロングで内側にハネていて、緩い笑みを浮かべながら歩いてくる。手にはなにかの小説を持っている。
|情ノ陽璃淡《ジョウノヨウリオ》、14歳。感情痛症候群の患者。
「渚さん、こんにちは。…雨ですね。」
璃淡は雨雲を見上げて目を細めると、空に向かって手を伸ばした。
その仕草は儚くて、霧雨に溶けて消えてしまいそうだった。
そして、雨で濡れたからか、物思いが終わったのか璃淡はくるりとこちらを向き直って笑みを向けた。
「…そうだ、今日の夢なんですけど、めっちゃ気持ちよく寝る夢で、またその中で寝てて、でまたその中で…」
「無限ループだ。なんかそんな絵本病院のどっかに有ったよな。どこで見たかな…」
ふたりとも暫く考えていたが、璃淡が思い至ったように顔を上げた。
「…その本、私の部屋に有ったかも。絵本とかもよく読むから」
「じゃ僕は診察行った時に見たのか。君が見たのはその絵本の夢か?」
璃淡は肩をすくめてさあ?というジェスチャーをすると、雨に当たらないベンチまで行き、小説を読み始めた。
渚もまた呆けるのを始めた。
---
「……今日は点滴の日ですか。最悪です。」
和樹はトイレの中で嫌なことを思い出し、ため息を吐き捨てた。
灰色の短髪に黒い丸メガネ、眼は眼鏡と同じ色の漆黒。183cmの高めの身長に患者服。目元には大きな隈が鎮座している。そして頭に悪魔のような角が生えている。
内田和樹、35歳。頭蓋角化異常症の患者。
因みに現在はトイレに篭って煙草を吸っている。これでも生粋のヘビースモーカーである。
点滴は嫌だ。まず先端恐怖症で刺すとこの先が嫌だ。そしてシンプル邪魔だし痛い。
もういっそ逃げてやろうか。早死にはするだろう。いつか頭に生えた角にメモ皮膚も破られるのだ。
考えただけで痛い。
諦めてげんなりしながら自分の病室へ戻ると、藤咲創也がせっせと点滴の準備をしていた。
無造作にハーフアップにされた髪はアッシュグレー、焦茶色の眼。自分よりも慎重が下の為見下ろす形になる。白衣を羽織り、「THE・医者」みたいな格好である。
藤咲創也、24歳。病院職員。
「あ!戻ってきましたか。じゃ、点滴するのでベットに戻ってじっとしててくださいねー!」
頭の中で悪態を垂れながら創也の横を通り過ぎる。その途端、創也が勢い良く振り向いてきた。
「おわ!?な、なんですか…寿命縮みますよ…」
「内田さん、煙草吸ってきましたね?」
なんでバレてんだ。匂いか?
唐突なことにピクリと肩を震わせると、創也は深々とため息を吐きやれやれと行った様子で続けた。
「好きなことやりたいのはわかるんですけど、煙草は辞めて下さい。」
「…はいはい。わかりましたよ。」
聞こえないように舌打ちを一つ。幸いそれは聞こえなかったようだ。ベットに乗り点滴の先から顔を逸らす。
「僕は優秀なので安心して大丈夫ですよー!」
「…そういうことじゃないです」
近づいてくる先端に、和樹は顔をしかめながら再び悪態を吐いた。
出演:榊渚、情ノ陽璃淡、内田和樹、藤咲創也
朝の霧
視点:白雪鶴
眼の前の女性がこちらをちらちらと見て、たまにこちらに質問を投げかける。それに答えると、手慣れた様子でカルテに情報を書き込んでいく。
黒い髪に茶のアッシュ、黒い眼。黒いワイシャツに薄汚れた白衣を着て、赤いネクタイをつけている。
雨宮深雪、28歳。病院職員。
「じゃあ、この前も痛みがあって、家族の好きなものを忘れてしまったと。」
「あ、えっと、そうです。昨日はちゃんと覚えてたんですけど…いまはもうなんだかさっぱりで。」
質問された声にしっかり答えたつもりだったが、声はやけに弱々しかった。
雪のように白い髪は姫カットにされ、眼の色が薄い水色と黒と左右で違う。大きめの温かそうなニットカーディガンを羽織っていて、『冬』って感じの見た目だ。
白雪鶴、14歳。忘雪華病の患者。
「なるほどね。わかったよ。」
深雪がカルテに書き込んで頷くと、こちらに向き直る。
「じゃあ頑張ったご褒美にわたしがいいことを教えてあげよう。」
いたずらっ子のような笑みで微笑みながら発された言葉に興味がないわけではない。そのまま次の言葉を待っていると、深雪はこちらに顔を近づけて鶴の耳に手を当てた。
「晴人いるじゃん、日野晴人。」
日野晴人というと病室が隣なので割と話す患者だ。物腰が柔らかく、誰にでも優しそうだ。という印象がある。そういえば知り合いだったか…と思い当たる。
「あいつ、実はカッコつけて一人称俺にしてるんだよ、知ってた?」
「えぇ、そうなんですか?」
「そうそう。さらに…」
「俺の一人称が何です?」
話に夢中になっていて気づかなかったが、病室の入口に茶髪に黒い眼、片足が義足の人物が立っている。
日野晴人、19歳。霧散病の患者。
当の本人は一見笑顔だが、雰囲気が尋常じゃない。まるで微笑む般若である。
「あぁ〜、晴人サン。これは、その白雪と晴人の友好を深めるために…ね?」
深雪が必死の言い訳をした後こちらにね?と無言の圧をかけてきた。
いや、ね?って言われてもなぁ…
これ以上なにか言うと面倒なことになりそうなので急いで首を縦に振る。晴人はイマイチ納得していないようだが、それでも雰囲気を和らげた。
「僕…いや俺は深雪さんに余計な情報を言われにここにいるわけじゃないですよ?」
溜め息を一つ吐いてから晴人はこちらに向き直ると、口元に自身の指を持っていき、しーっのポーズを取った。
「ということで、白雪さん。このことは口外厳禁でお願いしますね。」
それに肩をすくめて答えると、鶴は自分のベットを見回して言った。
「誰かに言おうともわたし、ほぼこのベットの上にいるので言う人殆どいませんよ?」
「それもそうか。よろしくね、白雪さん。」
そう言ってにっこり微笑む晴人に笑みを返すと、晴人の体がぐらん、と傾いた。というか、落ちたという方が正しい。
「ちょ、!晴人!?」
晴人は目を覚まさない。よく見ると、義足じゃない方の足が霧のようにふわりと漂って消えた。
「白雪!ナースコール職員室につながってるから押して!それと電気とかなるべく明るくして!」
突然のことに頭が真っ白になったが、震える足に鞭を打ってベットから飛び降り、電気関係の方に駆け寄る。電気のスイッチをすべて押しナースコールボタンを押す。
「はい、どうしましたか?」
出たのは深雪と同期の白鷹美羽だった。患者と基本的に仲が良く、鶴とも割と仲がいい。
「えと、あ、日野さんが、足、あし…無くな…!」
「日野晴人さんですね。近くに医者は居ますか?」
「は、、あまみ、やさん、います!」
「わかりました。すぐに向かいます。」
そういうと少しの雑音の後、無線が切れた。すぐに美羽と数人来るだろう。
鶴は冷や汗の中で、晴人のなくなった足だけを見つめていた。
出演:雨宮深雪、白雪鶴、日野晴人、白鷹美羽