編集者:夜明 命音
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目次
林檎売りの泡沫少女っ!(1)
全3話ほどで完結させたいです!
遠い遠い時の果て。そこに住まう人は皆、永遠の命を持つ世界での話。
赤い実のなる木の下、生まれながらに死の呪いがかけられた少女がいた。赤い実を食べた人は、目が赤く染まる。目が赤色か赤色じゃないかで、死の呪いがかけられている人とそうじゃない人を見分けるのだ。
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賑やかな街のはずれ。青く光る湖畔の近くに、小さな店があった。赤い実を使って、お菓子を作っているお菓子屋だ。そのお菓子屋の店主は13歳くらいの少女。店主といっても他に従業員はいない。
「ちょっぴり寒くなってきたなぁ…」
雲一つない青空をみながら、その少女は呟く。
しかし、その表情は妙に誇らしげ。今日は街に自信作を売りに行くようだ。
赤い実のお菓子が沢山入った籠を持ちながら、少女は嬉しそうに、でも、どこか寂しそうに
「待ってて!今度こそ、美味しいんだから。」
そう言いながら、街に向かって歩き出した。
その街の、時計等のみえる市に着いた。
そしてあっと驚いた。
いつもは人が少ないのに、今日は珍しく賑やかだったのだ。
「ラッキー!」
街の隅で1人、
「赤い実のパイどうですか?自信作なの。」
と、お菓子を売り出す。
しかし、街の人は少女をチラリとみて、
「そんなの1つも売れないさ。」
少女の赤色の目の表面が大きく揺れる。
そう言って少女を蔑む。
いつものことだが、やはり悲しい。
いや、悲しいなんてものじゃない。
みんなと何も変わらないのに…
「美味しくできたのに…」
誰にも聞こえないくらいの声で言い、唇を噛む。
その声は、今にも泣きそうだった。
お菓子屋への帰り道、街の人のことを思い出しながら、少女は思う。
今日も声は届かないのね。
「まるで透明になったみたいだわ。」
少女にはお母さんやお父さんはいない。
6歳くらいの頃だろうか。普通ならみんな小学校へ入るのに、少女は入らせてもらえなかった。
それどころか、親に「気持ち悪い。」と冷たい声で言われ、街のはずれ、森の近くに捨てられた。
それから、誰も使っていない、小さな家をみつけてー…
空は少しずつ茜色に染まっていく。
まるで林檎のような色だった。
その帰る姿をみた、5、6歳くらいの男の子がお母さんらしき人に向かって言う。
「ねぇ。なんであのおねえちゃんはみんなにいじめられてるの?」
お母さんらしき人は答える。
「あの子は虐められてなんかいないわ。だって、あんな塩対応されて当たり前だもの。」
「どうして?」
「どうしてって、そんなの決まっているじゃない。」
何故なら。
何故なら少女は呪われているから。
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死んだ世界で唯1人生きていた少女の話。
林檎売りの泡沫少女っ!(2)
その日の夜、少女は夜なべでアレンジパイを作っていた。
「今度こそ、絶対、美味しいんだから…」
生地をこねながら呟く。
少女はまだ、諦めない。
次の日。
昨日は昼の4時頃に市へ行ったけど、今日は時計塔の針も空を指して、きっとみんなお腹が鳴る時間。
「赤い実のアレンジパイ、どうですか?」
街の人はまるで少女がそこに居ないのかのように無視をする。
今日も同じか…
そう思った瞬間、ふと後ろから人が少女を押す。
「キャッッ」
少女はバランスを崩して、前に倒れ込む。
甘い籠が落ち、お菓子が床に散乱する。
街の人達が、お菓子を踏んでいく。
その顔は、まるでそこに何もないのなと思うほど平気な顔をしていた。
少女は急いでお菓子を拾っていく。
惨めだ。
そう思っていると、もう1人の手が視界に入った。
「え?」
少女と同い年くらいの、青い目をした少年だった。
その少年は拾ったドロドロに溶けたパイを徐に口にする。そして言う。
「美味しいね。」
少女は目を見開いた。
その声で、心は溢れた。そして、その赤い目に涙が浮かぶ。
その少年の目は、元々の海のような青色から、鮮やかな赤に変わっていた。
そして彼は手を差し出した。
思わず、
「なんで?」
と言う。自分で売っといて言うのもおかしいが、そのパイを食べると呪われるのに、どうして…?
「なんでって…」
少年が言う。
何故なら。
何故なら少女に呪われているから。
「…名前は?」
先程の続きは言わず、小年は少女に言った。
「……リコ。あなたは?」
少年の手を受け取り、リコは言う。
「僕?僕はレン。」
2人は立ち上がり、リコの方は涙を流しながら、笑いあう。
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死んだ世界で唯2人生きていた遠い物語。
次回で完結となります!