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林檎売りの泡沫少女っ!(2)
夜明 命音
その日の夜、少女は夜なべでアレンジパイを作っていた。
「今度こそ、絶対、美味しいんだから…」
生地をこねながら呟く。
少女はまだ、諦めない。
次の日。
昨日は昼の4時頃に市へ行ったけど、今日は時計塔の針も空を指して、きっとみんなお腹が鳴る時間。
「赤い実のアレンジパイ、どうですか?」
街の人はまるで少女がそこに居ないのかのように無視をする。
今日も同じか…
そう思った瞬間、ふと後ろから人が少女を押す。
「キャッッ」
少女はバランスを崩して、前に倒れ込む。
甘い籠が落ち、お菓子が床に散乱する。
街の人達が、お菓子を踏んでいく。
その顔は、まるでそこに何もないのなと思うほど平気な顔をしていた。
少女は急いでお菓子を拾っていく。
惨めだ。
そう思っていると、もう1人の手が視界に入った。
「え?」
少女と同い年くらいの、青い目をした少年だった。
その少年は拾ったドロドロに溶けたパイを徐に口にする。そして言う。
「美味しいね。」
少女は目を見開いた。
その声で、心は溢れた。そして、その赤い目に涙が浮かぶ。
その少年の目は、元々の海のような青色から、鮮やかな赤に変わっていた。
そして彼は手を差し出した。
思わず、
「なんで?」
と言う。自分で売っといて言うのもおかしいが、そのパイを食べると呪われるのに、どうして…?
「なんでって…」
少年が言う。
何故なら。
何故なら少女に呪われているから。
「…名前は?」
先程の続きは言わず、小年は少女に言った。
「……リコ。あなたは?」
少年の手を受け取り、リコは言う。
「僕?僕はレン。」
2人は立ち上がり、リコの方は涙を流しながら、笑いあう。
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死んだ世界で唯2人生きていた遠い物語。
次回で完結となります!