編集者:Teru
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目次
吾輩の友達は猫である
吾輩の友達は猫である。名前は三毛田シュンという。
猫と言っても種族は人間である。猫というのは、例えというかあだ名というか。とにかく猫なのである。読者の皆さんも、一度こやつに会えば、一目で嗚呼、猫だと感じるはずだ。
三毛田という人間は、授業中にも関わらず教師の目の前で爆睡できるメンタルの持ち主である。最近では、教師も三毛田を起こすのを諦めたそうだ。無理もない。起こしたところで、授業など少しも聞かず、彼のノートは白紙のまま。これなら、起こす方が時間と労力の無駄である。
他にも、弁当に必ず焼き魚が入っていたり、三毛田という三毛猫を連想する苗字であったり、身体能力だったりと、まあ色々なところが猫に似ているためか、彼のクラスでのあだ名はミケである。
と、まあ、前置きが長くなってしまったが、そんな三毛田(以下、ミケと略す)は俺の幼馴染兼良き友人である。ちなみに、テスト前、全く授業を聞いていないミケに主に勉強を教えているのは俺だ。
昔からどこか猫に似ていると感じていたが、まさかあだ名がミケになるほど猫化するとは思ってもいなかった。今では、前世が猫どころか実は化け猫だったと言われても違和感を感じないほど猫化している。
「おいミケ、もう下校時間だぞ。起きろー」
そんなミケは、現在爆睡している。下校時間3分前にも関わらず、だ。こいつは部活に入っていない帰宅部のくせに、なぜか教室に居座り、放課後のほとんどを睡眠時間に充てている。朝っぱらから寝ているくせに、まだ睡眠欲があるとは、もはや尊敬できる。憧れはしないが。
呼びかけても起きるそぶりも見せないので、仕方なく頬をぺちぺちと叩いて優しく起こしてやる。
「……あと5分」
「5分経ったら下校時間すぎるだろ。つべこべ言わずさっさと起きろ」
「めんどくさぁ……」
そう言うと、欠伸をしてからやっとこちらを向く。寝起きなのに無駄に整っている顔が恨めしい。
ちなみに此奴、なぜか女子には人気である。だが、恋愛対象というよりかは愛玩対象として見られているようで、餌付けされている様子がよく教室で見られる。巷では猫系男子なるものが女子に人気だそうだが、そこらの男子が猫系男子なら、ミケは猫男子といったところだろう。そこらの猫系男子とは違うのである。
「ほら、早く帰るぞ。もう下校時間だし」
「はいはい、わかったってば」
俺はミケの手を引いて、教室の扉へと向う。
これは、そんな俺とミケ(人間)の、日常の話である。
授業中の猫
家だろうが学校だろうが、休み時間だろうが授業中だろうが、ミケは猫らしい人間である。授業内容をノートを写さないどころか鉛筆すら握らず、開かれていない教科書を机に置いて爆睡する姿など、もう見慣れたものだ。
先日、教師のほとんどが授業中爆睡するミケを起こすのを諦めたと話したが、一部例外がいる。そう、例えば、ミケをいくら起こしても無駄だと言うことを知らず、やる気に満ち溢れている教育実習生などは、何度もミケを起こそうとする。
「三毛田君、授業中ですよ、起きてください。三毛田君?」
現在も、やる気に満ち溢れた教育実習生である花畑先生が、ミケを起こそうと奮闘している最中だ。ちなみに、ミケは花畑先生の言葉など少しも聞こえていないようで、机に突っ伏して熟睡している。もはや才能の域だと感じるのは、俺だけではないであろう。
花畑先生が3回ほど同じような言葉をミケに呼びかけたところで、ミケはやっと意識が浮上したようだ。だが、意識は完全に覚醒しておらず、表情はぼんやりしている。
「三毛田君、授業、ちゃんと聞いていましたか? 今、何を教えてたかわかりますか?」
「……三角形の面積の方式?」
その答えに、クラスメイトの何人かが吹き出した。
ミケよ、今は数学ではなく国語の授業中だし、三角形の面積の方式は小学生で習う範囲だ。授業を全く聞いていないのなら、せめて黒板に書かれてる内容を見て答えてほしい。
「……聞いていなかったんですね。……次からは、ちゃんと聞いていてくださいね」
花畑先生に諦めの表情が浮かぶ。花畑先生の授業が面白くないせいでミケが寝たわけではないと、声を大にして言いたい気分である。ミケは、誰の授業だろうがあの態度なのだ。いや、それも問題か……。
だが、決して授業が面白くないからと言う理由で寝たわけではない。ミケはどんな授業だろうが作業だろうがほとんど興味を示さないだけで……。
……あれ、どんなに説明してもフォローになっていないような気がするが、気のせいだろうか。
と、そんなことを悶々と考えている間にも、またミケがこくりこくりと船を漕ぎ始める。
ミケは自身の眠気に耐えきれなかっただけで、決してわざとではないのだろうが、説教されて5分もたたず寝るのは、これからは控えた方がいいであろう。反省していないと思われないためにも、教育実習生に自分の授業が面白くないせいだと落ち込ませないためにも。(いや、反省はしていないかもしれない……)