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目次
夏休み近くの海月達
「もうすぐ夏休みなのだ! 三風ちゃんは何か予定あるのか?」
小学校最後の夏休みを前に、海月(みづき)はすっかり浮き足立っていた。
隣の席の海塩三風(うみしおふみ)に身を乗り出して話しかける。
「うーん……。塾の宿題に、勉強に、勉強に、勉強に……」
指を折りながらため息をつく三風に、海月は顔をしかめた。
「大変なのだ……」
「みづきちゃんは元気だよね」
「海月族の海月にとっては、プールや海はご褒美なのだ!」
胸を張る海月を見て、三風は少し羨ましそうに微笑む。彼女は真面目で、子供っぽすぎず、かといって大人びているわけでもない、等身大の女の子だ。
(もちろん、海月はおとな……)
そんな心の声に、どこからともなく『いや、ロリでしょ』とリスナーたちのツッコミが聞こえた気がしたが、海月はあえて無視した。
「いいなぁ。あ! でも私ね、夏休みは毎朝5時に起きてお散歩に行こうかなって思ってるんだ」
「健康的なのだ……」
感心する海月に、三風は少し寂しそうな視線を向けた。
「でも、みづきちゃんと遊べなくなるのは悲しいな……」
「海月も、三風ちゃんと遊べなくなるの悲しい……」
二人が互いの名残惜しさを確かめ合っていると、前方の教壇から鋭い声が響いた
「よし、授業始めるぞー」
「はーい」
クラス全体の返事に合わせ、海月も教科書を開く。
ふと窓の外に目をやると、太陽の光を浴びた海がキラキラと揺らめいていた。遠くからは、今年初めて聞くような蝉の声が微かに響いてくる。
あぁ、もうすぐ大好きな夏がやってくるんだ。
海月はノートの端に小さく海の絵を描きながら、胸をときめかせるのだった。
初めての小説なのだ
ロリはリスナーが勝手に言ったからなんだぞ!勘違いしないでなのだ!
通学路無視は楽しい
「ねえ、三風ちゃん。ちょっと寄り道していかないのだ?」
校門を出てすぐ、海月(みづき)は三風の制服の袖をきゅっと引っ張った。
いつもなら、先生や親に言われた通りの「正しい通学路」をまっすぐ帰る。でも、もうすぐ夏休み。クラスメイトたちの浮き足立った空気に当てられたせいか、海月はなんだか、いつもと違う冒険がしてみたくなったのだ。
「えっ、でも……通学路以外の道は通っちゃダメって言われてるよ?」
三風は困ったように眉を八の字にした。真面目な彼女らしい反応だ。
「大丈夫なのだ! 海月族の勘が、こっちの道に『何か面白いものがある』って言ってるのだ!」
海月は胸を張り、いつもの大通りではなく、鬱蒼とした木々が影を落とす細い脇道を指差した。坂道を下った先、きらきらと光る海がいつもより近くに見えるルートだ。
「う、うん……。みづきちゃんがそこまで言うなら……」
少しだけ辺りを気にするようにキョロキョロと見回しながらも、三風は海月の後ろを小さな歩幅でついてきてくれた。
アスファルトから土の道へと変わり、踏み締めるたびにカサカサと乾いた音が響く。
頭上を覆う青葉の隙間から、夏の強い日差しが木漏れ日となって二人の肩を斑に照らした。ジリジリと鳴く蝉の声が、大通りにいる時よりもずっと近く、大きく聞こえる。
「わあ……。なんだか、トトロに出てくる道みたい」
緊張していた三風の表情が、いつの間にか小さなときめきに変わっていた。
「そうなのだ! こっちの方が涼しくて気持ちいいのだ」
「本当だね。いつも通る道なのに、一本ズレるだけで全然違う場所みたい……あ、見てみづきちゃん!」
三風が指差した先には、古い石垣の隙間から溢れんばかりに咲き誇る、鮮やかな青いアジサイの花があった。
「綺麗なのだ……!」
「うん。学校の帰り道に、こんな場所があったなんて知らなかったな」
二人は足を止め、静かな木陰でその花を見上げた。
頬を撫でる風には、ほんのりと潮の香りが混ざっている。誰もいない秘密の道。二人だけの特別な空間。
(海月はお姉さんだから、三風ちゃんに良いところを見せられたのだ!)
心の中でドヤ顔を決める海月。そんな彼女の横顔を見て、三風はふっと優しく微笑んだ。
「みづきちゃん。私、夏休みのお散歩、この道に来てみようかな」
「いいアイデアなのだ! その時は海月も……」
――ガサッ。
その時、近くの草むらが大きく揺れた。
「ひゃうっ!?」
「な、何なのだ!?」
二人は思わず抱き合う。
びくびくしながら様子を伺うと、草むらからぬっと現れたのは、一匹の大きな三毛猫だった。猫は「にゃあ」と気だるげに鳴くと、二人に興味なさそうに、そのままトコトコと去っていく。
「……猫さんだ」
「びっくりしたのだ……。海月、心臓が止まるかと思ったのだ……」
顔を見合わせ、どちらからともなく、ぷっと吹き出した。
静かな小道に、二人の高い笑い声がこだまする。
「あはは! みづきちゃん、海月族なのに猫が怖いの?」
「違うのだ! 不意打ちだったからなのだ!」
手を繋ぎ直した二人は、またゆっくりと歩き出す。
通学路を無視したちょっぴりいけない冒険は、二人の距離をまた少し、近づけてくれたようだった
配信でも言ってたのだ!
リアルには近づけてないのだ
またリクエストあったらファンレターっていうもので教えてなのだね~~