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𝔼𝕡𝕚𝕤𝕠𝕕𝕖𝟛 竜と幻獣の宝玉
闇夜もんだ視点
「で······奏者っていったか。お前みたいな動き······今まで見た事も無いな···。本当、暗闇の中でびっくりしたよ。」
普通なら俺の能力である、数分間周りを暗黒にするこの能力を使われれば怯えて動けなくなる。
だが目の前に座るこの獣人は······少しも怯まずに、正確に俺の位置を当てた。
ランク|6《ルト》の俺でさえも敵わないなど······。
「失礼だとは思うが······お前ら、ランクはなんだ?」
「ランク?」
問いかけると、わんこと名乗る大型犬が首を傾げた。
「あぁ······この世界には1~10までのランクがあって、数字が大きい程強い力を持つんだ······。因みに俺は|6《ルト》」
まぁ、街に行けば強い連中もいっぱいいるし······|6《ルト》でもそれ程自慢出来る事では無いが。
わんこの首輪についたランクのバッチを見ると、そこには「|2《レクマ》」と記されていた。
この世界に転送されたばかりで、しかも戦闘経験が無いと考えるとこの低ランクでもしょうがない。
しかし、奏者の方は·········。
「済まない······ランクの開示がまだだったな。ここに書いてある。」
そう言って、三日月の髪飾りを外して見せる。
そこには最高ランクを示す|10《ポトレア》という模様が彫られていた。
「·········はぁ!?!?最高ランク!?」
信じられない······最高ランクの者なんて、これまでに見た事も聞いた事も無かった。
それだからてっきり、最高ランクは伝説なんじゃないかと思っていた。
「どうりで直ぐ負けるわけだ·········。」
最高ランクの保持者なら、街の方ででも活躍出来る場はあるというのに······何故彼女はこの隠れ里に居座っているのだろう······。
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奏者ボカロファン視点
驚くのも無理は無いだろう。
伝説かとも思われていた最高ランクの者が実際にいて、こんな場所に居続けているのだから。
私がここから出ようとしない理由はただ1つ······。
《《呪われた廃村に潜む私もまた、呪われているから》》。
明確にその呪いが発動したのは···ここが廃村になる瞬間1度きりだが、それでもこの呪いは恐ろしく強大で。
迂闊に街に出て、うっかり発動する···なんて事があれば、きっと私も魔物と同じ扱いを受けるから。
それのせいで、ここから出ようとは思わなかった。
今日が訪れるまでは。
「なぁ。お前ら···街の方に行ったとて、行く宛も無く彷徨うのも危険だろ?ましてやわんこはここに来たばかりだし······。」
一呼吸置き、もんだは続ける。
「もしよかったら、俺らがいる何でも屋に来ないか?きっと相方も納得するはずだし。」
それは、嬉しすぎるお誘いだった。
私とわんこがほぼ同時に声を発しようとした時、外から我々では形容し難い······神秘的な鳴き声が響いた。
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わんこ視点
唐突な鳴き声が、私達の話を遮った。
魔物でも出たのかと焦っていると、もんださんと奏者さんが立ち上がり、同時に私の方を向いた。
「お。この話もいつかしようと思っていたが······丁度いいな。わんこも見てみるか?」
「見るってなnうわぁ!?」
最後まで話しきらないうちに奏者さんに持ち上げられ、屋根に登る。
「あれを見るといい·········。」
奏者さんの指差す方向を見た瞬間、私は息を呑んだ。
浮島同士の間。落ちたら何があるかも分からない奈落の底から、1匹の大きな龍が天へと昇っていた。
その龍は六目で、所々に"闇"を纏っている。
不気味で恐ろしいはずなのに······その姿は、何故か美しかった。
「おぉ······ナイスタイミングだな···俺もここまで間近では見た事は無かった······。間近で見るとまたすげぇな······。」
後から来たもんださんも、その美しさに驚いている。
暫く龍を見ていると、首に何かがかかっている事に気づいた。
よくよく見てみると、それは宝玉の様な物が埋め込まれた首飾りだった。
埋め込める場所が10ヶ所あって、そのうちの3ヶ所が埋まっている。
奏者さんに聞いてみると、龍から目を離さずに言った。
「あぁ······聖竜サンクチュアリは、己の罪を償うべく、ああしているのさ······。」
何の事なのかさっぱり分からなかったが、奏者さんは、静かに······しかしはっきりと、1つの詩を語った。
--- "闇に呑まれし聖竜は ---
--- 己が犯した罪償うべく ---
--- 時超え界超え天を舞う ---
--- |十《とお》の宝玉集まりし時 ---
--- 罪は消え去り解放さるる" ---
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???視点
隣で一緒に空を舞う龍を見ていた光さんは、|徐《おもむろ》に詩を語った。
「その詩には······どの様な意味があるのでしょうか?」
問いかけると、彼女は微笑みながら説明した。
「これはね······簡単に言うと、あそこを飛んでる聖竜が闇に取り込まれちゃって······それで、闇から解放される為に10の宝玉を、時を、世界線を超えて探している······そんな詩なんだ。」
闇から、解放される為············。
説明を受けた後で龍を見ると、なんだか神秘さの他にも寂しさを感じた気がした。
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奏者ボカロファン視点
龍を見た後私達は部屋に戻り、身支度を始めた。
もんだ達何でも屋の拠点はここから数時間かかるらしいので、ある程度の食料と、道中で魔物に出会っても対処出来る様に薬草やらを準備する。
あとは···街の方で買い物が出来る様に、師匠が残しておいてくれていたお金。
「うわぁ···凄いお金······。」
「師匠が残しておくって言ってたけど···ここまでだったなんて······。」
師匠が、「もしこの村から出る事があったら、その時に使ってね」とは言っていたが······まさかこんな大金だとは思ってなかった。
「ざっと100万ルソないか·········???」
一体どうやってこんなにお金貯めてたんだろう·········。
ここまでの大金を、自分は一切使わずに私の為に取っておいてくれていたと思うと·········。
「······?どうした?」
「いや、なんでもない······。」
······もう、過ぎた事······。
《《あの時》》に潰えた魂は戻らない······先に、進んで行かなければ。
あの聖竜の様に······自分の使命を、果たす為に。
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レイト視点
大分奥地までやってきた様だ。
最近魔物が活発になりつつあるから、体力の消耗を抑える為にも慎重に進まなければならないのがかなり辛い。
おかげで普段の倍近くはかかっている。
「本当にこっちであってるよな···?」
後ろを歩いていたFlareがボソリと呟く。
地図の通りに歩いているし、ここいらはそこまで複雑な地形というわけでも無いからそんな事は無いと思うが······。
「にしても余計暗くなってきたな···モロトフ、いけるか?」
「あぁ···任せろ。······火炎弾!」
能力が発動されると、モロトフの銃口から炎が吹き上がり、辺りを照らした。
「モロトフの能力は便利でいいな···俺なんか持ち武器が炎属性になる程度だぜ?」
Flareがブツブツ言ってる。
いや、俺の能力よりもそっちの方が便利だと思うのだが。
隣の青芝生現象か何かか······。
「数分しかもたないから早く行くぞ。」
モロトフに言われ、俺達は再び動き出した。
暫く進むと、不意に何処からか猫の鳴き声が聞こえた。
人を騙すタイプの魔物もいるので、警戒して辺りを見回す。
すると、叢の影から一匹の黒猫が躍り出た。
その目は···血の様な、赫色だった。
唐突の出来事にたじろぐ。
猫は、もう一度「にゃあ」と鳴くと、モロトフが手にしていた銃を咥え、奥へと走っていった。
「あ、おい!?それ返せ!!」
慌ててモロトフが猫を追う。
黒猫は軽々と倒れた木々を飛び越え、浮島と浮島の間までも飛び越えた。
そこには橋は架かっていない。
しかし、飛び越えれない遠さでも無かった。
「しょうがねぇな······!」
スピードを落とさず、モロトフは浮島を飛び越えようと飛んだ。
その時······浮島の間から、絵から飛び出した様な質感の······見た事も無い怪物が、飛び跳ねてきた。
「モロトフ避けろ!!」
「······は」
咄嗟に叫ぶが、もう手遅れだった。
此方に手を伸ばしたモロトフの身体を、怪物が喰らった。
骨が砕け、肉が噛み千切られる音が響く。
そして、片腕だけが、血飛沫と共に俺達の目の前に落ちてきた。
「うわぁぁぁぁ!!モロトフっ···モロトフっ!!」
怪物は役目を終えたとでも言うかの様に、先端から薄くなり···消え去った。
怪物に隠れていて見えなかったが、浮島の向こうに誰かが立っている。
···さっきの黒猫を抱き、モロトフが持っていた銃を手にして。
「よしよし······よくやった、|氷透《ひすい》······。」
そう言いながら、黒猫の頭を撫でる。
「お前······モロトフを返せよ!!」
叫ぶが、興味が無さそうに此方を見つめているだけ。
痺れを切らしたFlareが口を開こうとした時、浮島の向こうの人物が言葉を発した。
「モロトフは······"知り過ぎた"。それだけの事だ。」
"知り過ぎた"······。
俺もその話は聞いた事がある。
この世界には暗黙のルールがある······それは、「知り過ぎた者は間引きされる」事。
世界の何処かに"知り過ぎた"人々を消す力を持つ······"死神"と呼ばれた高ランクの異能力者が数人いて、この世界の本当の姿を知られない様にしているのだと。
この話が法螺話で無ければ、今目の前にいるのは······。
「······アイツは、なんで"知り過ぎた"。何故禁忌を···知ってしまった。」
大切な仲間を失った悲しみを必死に抑え、震える声で問いかける。
そいつは、静かに言い放った。
「それを話せばお前達も死ぬ事になる···。」
初めて出会う上に、仲間を1人殺した相手だというのに···その言葉には、何故か納得出来た。
ソイツは持っていた銃を此方に投げ、黒猫を抱いて闇へと姿を消した。
辺りが静寂に包まれる。
俺はそっと、モロトフの手に触れる。
先程まで彼の炎の様に熱を持っていたその手は、今は氷の様に冷たかった。
「昨日······"死んだらすまない"って言ってたのは······それの事だったのか······?」
Flareがポツリと呟く。
その問いに答える事が出来なかった。
黙ったまま、傍に転がっていた銃に触れた。
その瞬間······俺の能力が発動した。
☾Loading······↻☽
1ルソ=100円。
つまり100万ルソ=1億()
本来はとふとふを殺すつもりは無かった。
ただ、昨日深夜テンションで書き進めてたらこうなった()
でも大丈夫。出落ちキャラは出さないから。
ですが······この世界線を見ている貴方達。
警告しておきましょう。
この世界線についての《《いきすぎた詮索》》は控えた方がいいかも知れません。
考察するのは自由ですが。
考察過程で"禁忌"には触れぬ様。
もし触れてしまったら············。
これ以上はやめておきましょう。
私もまだ、"死神"の世話にはなりたくないですから。