一体何時から此処にいたのだろう
一体何時から世界は変わったのだろう
そもそも私は誰なのだろうか
何の為に、此処にいるのだろう
何故この世界は存在するのだろう······
囚われの身となった今では、知る由も無い
嗚呼どうか、せめて最後の希望として
月に吠え、夜を奏でてはくれないか
何故君達が此処に来たのか
何故こうなってしまったのか
闇に隠された真実を
世界で騙る夢物語を
夜に染まった黙示録を
今は亡き、師匠の為に
どうか、紡いではくれないか
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目次
𝕻𝕽𝕺𝕷𝕺𝕲𝖀𝕰 前日譚
事の発端は至極単純な出来事でした
🌙視点???
こんな夢を見た
深い様で浅い
浅い様で深い
そんな夢
|水面《みなも》で揺蕩う様なその感覚は
何時まで経っても消える事は無かった
ふわりふわりと漂ううちに
コツン、と何かが身体に触れた
夢の割には現実味を帯びた感覚がした
少しだけ目を開けると
遠そうで近い
近そうで遠い所に
一筋の光が差し込んでいた
目一杯手を伸ばしても
届きそうで、届かない
そもそも手なんて伸ばしていないのかも知れない
そうしてるうちに
光の筋は段々と形を変えていった
終いには1つの発光する球体になり
あっという間に砕け散った
光の欠片は身体を包み
そうしてまた
深い様で浅い
浅い様で深い
そんな夢へと|誘《いざな》い出した
夢の方舟に身を委ね
視界は闇へと消えていった
𝔼𝕡𝕚𝕤𝕠𝕕𝕖 𝟙 新参者
☾奏者ボカロファン視点☽
不可思議な感覚と共に、私は目を覚ました。
夢の名残なのか、まだ微かに浮遊感がする。
······この世界に堕ちてきた時の様な、浮遊感。
なんでこの世界にいきなり堕ちたのか分からないし、そもそも《《この世界に来る前の記憶が綺麗さっぱり抜けていて、自分の元々の名前すらも思い出せない》》。
当初はこの浮島の世界に、住んでいる人々に、自分の姿に驚いたが······何年も暮らしていたせいか、もう慣れた。
気分を少し晴らそうとカーテンを開けると、これまで静寂の闇地帯だった部屋に、淡い月光が差し込んで照らした。
空には美しい上弦の月が浮かんでいる。
そういえば、この世界に来た日は三日月だったなぁ······なんて、昔の事をまた思い出していると、外が少し騒がしくなった気がして窓も開けた。
「·········懲りない奴ら。」
外には、この村の呪詛に祟られ生きる屍と化した······嘗ての村人達が、動き始めていた。
何度倒しても蘇る怪物。
今日はそこまで多くないから、放って置いてもいいんだけどな······。
どうしようかと悩んでいると、小さな音まで捕えられる私の狼の耳が、微かに助けの声を聞き取った。
---
☾???視点☽
目を開けると、そこは見知らぬ浮島世界だった。
大小様々な浮島同士が橋で繋がれている。
さっきまで自分は何をしていたのか、何処にいたのか、さっぱり思い出せない。
これは······夢か何かだろうか。夢にしてはリアル過ぎる気もする···。
にしても、やけに目線が低い気がする。これは四つん這いになってるから?でも何故?
ふと、近くにあった水溜りを覗いてみた。
······そこにあったのは、茶色の······どちらかというと、若干狼にも近い様な······大型犬の姿。
「え!?これ私!?!?」
驚きの声を上げると、|水面《みなも》に映る大型犬も同じく口を動かした。
一体自分に何が起こっているのだろう。そしてこの世界は······?
家々は壊れかけているし、何か嫌な空気が漂ってるし、中央広場らしき所には絞首台みたいなのに吊るされた死体······?があるし······凄く不気味だ。
怖くて離れようとしたその時、目の前の地面から朽ちかけた死体が出てきて私を見据えた。
危険を感じて近くの家まで走る。すると、その家の中からも似たような怪物が数体現れ、私に襲いかかってきた。
「う、うわぁぁぁ!?!?」
これは悪夢だと自分に言い聞かせながら全力で逃げ惑うが、一向に夢から覚める気配が無い。
いつの間にか怪物に囲まれ、逃げ道は一切無くなっていた。
「た······助けて······っ!!」
咄嗟に助けを求める。が、誰がこんな所に来てくれるというのだろう。
その間にも怪物達は少しずつ、距離を縮めていく。
もう駄目だ、そう思い目を瞑る。その時だった。
ワオォォォン··················
そう遠くない場所から、狼の遠吠えが聞こえた。
怪物達は動きを止め、私も反射的に遠吠えのする方向を見る。
「あ、あれは······?」
数メートル先にあった、比較的綺麗に形を保っている家の屋根。
その上に、死神が持っている様な大きな鎌を携えた誰かが、月明かりに照らされ優雅に佇んでいた。
その姿を視認出来たのも束の間、瞬きをして目を開けた時には、既に人は消えていた。
あまりの速さに驚く。
次の瞬間、私を囲っていた怪物達は全員残らず首を刎ねられ粒となって消えていき、目の前に、先程まで屋根の上にいたはずの人物が降り立った。
---
☾奏者ボカロファン視点☽
危機一髪だった。あと少し遅ければ、私の足元で怯えるこの大型犬は、奴らの仲間入りしていただろう。
「あ、あの······!」
大型犬(おそらくメス)が口を開く。
······人の言葉を話せる犬か···。この世界にはもっとクレイジーな生き物もいるから、この程度では驚かなくなってしまった。
「助けてくれてありがとうございます······!」
大型犬は礼儀正しくお礼を言った。
そこで私はようやく口を開き、質問をした。
「君······どこから来たの。名前は。」
すると、「ええと······」と、戸惑う様な表情をして言った。
「それが、気がついたらここにいて···それに、ここに来る前まで何してたのか、自分の名前は何か······全く思い出せないんです······。」
私と似た様な人(犬)······。
もしかしたら私達以外にも、同じ人がいるのかも知れない······。
「···そっか。私も同じだから···そう焦らなくていい。名前がなければ新しく考えればいいし···この世界も案外悪くないから。下手すりゃ死ぬけど。」
「え。」
笑えない冗談に戸惑っている。
この空間から出た事は1度も無いから分からないが、外にも様々な魔物が潜むと聞く。
きっと私だけでは手に負えないのだっているはず······。
だけど、この出来事を気に村を······呪われた廃村を出て、嘗て師匠がしていた様に世界を旅するのもありなのかも知れない。
「ねぇ。えっと······わんこ。」
「わ、わんこ???」
「ごめん、直ぐにいい名前思いつかなくて。」
犬にわんこ、なんて当たり前な······っていうか、ちょっと変な気もするが······今はそんな事言ってる場合じゃない。
「この世界は夢じゃない。紛れもない現実。······それなら、貴方にもこの世界を知る権利はあるはず。」
私は少しの間の|後《のち》、わんこに問うた。
「貴方も私も同じ境遇なら、きっとこの世界に何かがある。来てそうそうで申し訳ないけど、この世界の真実を探る旅に協力してくれないかな?」
静寂。
恐らく数秒程だったと思うが、私にはこの静けさが永遠の様にも感じられた。
そして、わんこによってこの静寂は破られた。
「······はい。えぇと······。」
「······奏者。······奏者ボカロファン。好きに呼んで。」
自分でも、この名前を口に出すのは久しぶりな気がする。
思えばここ数年で出会ったのはこの廃村の屍以外誰もいなかった。
久々に名前を呼んでくれる人がいる。
そう思うと、少し嬉しい様な気持ちになった。
ふと、空を見上げる。
夜以外が訪れぬ永夜の世界。
星々が、月が、美しく輝いている。
夜が明ける気配は無い。
空が陰り、不穏となる気配も、まだ無かった。
―私達が、真実を知るまでは。
☾Loading······↻☽
だいたいの月下メンツ出したいなぁ······。
まぁこんな話は置いといて(後で無くすオチ)。
ようやく感が凄い。
ここからは小話なのですが、普通の大地にすると月下パロや壊れた世界の救い方と似通ってしまうなぁ、と考えた為、地面をぶち抜いて浮島世界にする運びとなりました(は?)
あと、今回は用語集を作成致しません。
その代わり(?)に、キャラ一覧くらいは作成、更新しようと考えております。
一応確認はしたつもりですが、もし誤字脱字等御座いましたら匿名でもいいので連絡下さると幸いです。
では。
𝔼𝕡𝕚𝕤𝕠𝕕𝕖𝟚 奇襲
???視点
今日の場所はここか······。
にしても随分と不気味で、隔離された様な土地だな······こんな浮島があるとは思ってもなかった。
行ってこい行ってこいとしつこく言われたので、こっちもはいはいと重い腰起こして出てきたはいいが···空気はどんよりしているし、不気味だし、少し後悔している。
まぁ、普段家に籠っている自分が悪いのだが···。
だが、いい。
自分は"闇"の血を受け継ぐ家計の者······。
この力さえあれば、今回だって直ぐに終わるだろう·········。
---
わんこ視点
奏者さんの家の中は、他とは違って綺麗で、なんだか落ち着く気がした。
当の本人は床に座り、一息ついてから話を始めた。
「じゃあ······早速だけど、この世界の説明を軽くするね。」
それから、様々な事を語りだした。
彼女の話を簡単に纏めると、こうだった。
この浮島世界は"トルファスタ"と呼ばれていて、多種多様な種族、魔物が暮らしている事。
その中でも奏者さんは、"|明火《あび》村"という呪われた廃村に居座っていて、他の浮島には移った事が一切無い事。
この世界の住民はそれぞれ能力を持っている事。勿論奏者さんも持っているらしい。
話に依ると、私も此処に来た時点で能力に目覚めているらしいのだが······どんなものだろうか?
そして······何度も聞かされた様に、この世界は夢でもなんでもない、紛れも無い現実の世界である事······。
「本当なら、死ぬまでこの村に居座ろうって思ってたけど······わんこが来てちょっと気が変わったんだよね。私みたいな境遇の人が他にいるかも知れないし···それに、じゃあなんでこの世界はこうなってるのかってのも、知りたくなっちゃってさ···。嘗て師匠がしてた様に、これを機に私もこの世界を旅してみようかなって······。」
そして、こう締めくくった。
その時の表情は、どこか悲しげだった様な気がする。
---
奏者ボカロファン視点
わんこに話をした後で、旅に出たとて何処へ行こうかと考えた。
誰かに聞ければ一番なのだが、私は此処から一切出た事が無い、わんこは此処に"堕ちてきた"ばかり。
おまけに師匠が持っていた地図も、この村が隠れ里過ぎるせいで載っていないという始末。
それに······しょうがないっちゃしょうがないのだが、わんこの首輪につけられたランクを表すバッチを見ると、彼女(?)のランクは|2《レクマ》。
もし道中で魔物に出くわせば、戦い方も分からない様な新参者は秒殺だろう。
どうしたものかと考えていると、何処からか、にゃあ、と猫の鳴き声が聞こえた。
声のした方を向くとそこには、紅い目を光らせた黒猫が静かに佇んでいた。
猫は、森の方角をじっと見つめ、鈴の音を残して何処かへと消え去った。
来る。
直感で、そう感じた。
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???視点
あの家の中に誰かいる。
こんな場所に住んでいる奴らなんて魔物くらいだろう。
それなら気づかれてないうちにさっさと殺って片した方が楽だ。
「能力発動·········"|闇に染まる一匹狼《ダークウェアウルフ》"」
---
わんこ視点
いきなり目の前が真っ暗になった。
いや、真っ暗どころの話じゃない······目を閉じた時の様な漆黒に染まった。
「わんこ······絶対に、その場から動かないで。」
奏者さんの声がするが、どの方向から聞こえているのかも分からない。
その場で固まっていると、再び声が聞こえた。
「·········そこか!!」
「は······なんでっ······!?」
「いったぁ!?」
そして、何かが私にぶつかった。
驚き、咄嗟にそれに噛み付く。
呻き声が聞こえ、少し遅れて視界が元に戻った。
---
奏者ボカロファン視点
わんこの目の前に転がっていたのは、白髪ロングで白の狼の耳が生え、首から狐の面をさげている······黒服の男性だった。
そいつは驚いた様な表情のままゆっくり起き上がり、口を開く。
「此処何処······?俺誰······??家何処にいったっけ·········???」
「·········は???」
いきなり何馬鹿な事を言ってるんだ······?と思ったが、ふと、一つの考えが浮かんだ。
「わんこの能力······?」
「え??????」
案の定、わんこも訳が分からないといった顔をしている。
正直な所私もよく分からない。
だが、わんこが噛み付いてこうなったのだとしたら、「噛んだ相手を馬鹿(?)にする」というのが···わんこの能力なんだろう、きっと。
ではいつこの力はおさまるのか。
わんこと暫く見ていると、大体30分程経った頃に彼は正気に戻った。
---
---
---
「こんな場所にいるもんだから······てっきり魔物かと思ってしまった······本当済まない。」
自身を「闇夜もんだ」と名乗る彼は、深々と頭を下げて謝罪した。
「いや······こんな場所に居座ってる私の方がイレギュラーだし······謝る事でも無い···。」
どうやら彼は、様々な事を行っている······所謂「何でも屋」の一人らしい。
それで街の人に此処の調査を頼まれ、普段は誰も来ない様なこの場所に来た。
そしたら私達を見つけ······今に至る。
こんな場所の調査依頼を出すなんて、ろくでもない奴がいるなと思った。
それにしても、今日はやけに客人が多い日だ······。
これは何かのサインなんだろうか。
こんな時······師匠ならなんと言っただろう。
私を助けてくれた、師匠なら············。
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???視点
同じ大学に通う先輩が行方不明になったと聞いた。
話に依ると、先輩は······いきなり消えたそうだ。
どういう事なのか、さっぱり分からない。
「なんかさ~、トラック突っ込んできて、危ない!!って思って見たら消えてたらしいよ~?」
「何それ······アニメの世界じゃああるまいし···やっぱ見間違いかなんかなんじゃないの?」
「ってかさぁ······最近似た様な事件多くない?」
先輩が消えてからというもの、話は唐突に姿を消した人々の話でもちきりだった。
調べてみたのだが、数日前にも川で泳いでいた少年が姿を消す事件があったらしい。
警察は保護者がいくら捜しても、その時身につけていた物も、死体も、何も見つからなかったそうだ。
他にも数ヶ月前、数年前まで······似た様な事件が発生していた。
先輩を含め消えた人々は······今、何処で何をしているのだろうか。
そんな事を考えながら、図書室を後にする。
その時、地面が微かに揺れた。
揺れは徐々に大きくなり、やがて凄まじい横揺れが私達を襲った。
「うわぁぁぁ!!!じ······地震だっ!!!」
あちこちから悲鳴が、物が倒れる音が聞こえる。
立っていられない程の揺れは容赦無く続いていた。
バキバキッ!!!
頭上から嫌な音が聞こえた。
反射的に上を見ると······天井にぶら下げられていた大きな照明が、目の前まで迫って来ていて·········。
---
---
---
さっきまで何をしていたのか······さっぱり思い出せない。
でも······何かを探さなければいけない様な気がする。
それが何なのか。
この見知らぬ浮島の世界で······何を探すというのか······。
「見ない顔だね?もしかして1人?」
不意に、少女に話しかけられた。
中学生程の見た目の少女は、笑顔で此方を見つめている。
「あ、もしかして······この世界に来たばかりとか!それなら着いてきて!!」
それだけ話すと、少女は歩き始めた。
何も分からないが、もしかしたら彼女に着いていけば何か分かるかも知れない······。
そう思い私は、少女の後を追った。
☾Loading······↻☽
今更感が凄いですが、このシリーズは特に描写にこだわっちゃったりしてます。
なんか······そういう風に書かなければいけない様な気がしまして。
何故かは分かりません。
ただそれで言えるのは、シーンの描写にこだわっているせいで1話1話の文字数が長いです()
······名前がまだ出ていないキャラとかは
分かる人は誰だか分かる()
月下の人ならもしかしたら理解してるかも·········?
黙示録の登場者
黙示録本編のネタバレを含むかも知れません。
ついでにランクの詳細もここに載せときます。
名前:奏者ボカロファン
容姿:白髪ショートヘアに白の狼の耳。黒ローブに黒いブーツ。薄紫の瞳。右目に包帯を巻いている。
種族:DATA NULL
武器:鎌
能力:DATA NULL
能力説明:DATA NULL
初登場話:1話
その他要項:「呪われた廃村」に居座る謎の人物。その為自身も"呪われている"らしい。???年前にこの世界に記憶を全て|~~消された~~《失った》状態で"|ログイン《転送》"されたとかなんとか。
月吠ランク:DATA NULL
---
名前:わんこ
容姿:茶色のイッヌ。マジでガチの犬。若干狼にも近い······?
種族:犬(人語を理解出来る)
武器:DATA NULL
能力:DATA NULL
能力説明:噛んだ相手を30分間鳥頭にする。
初登場話:1話
その他要項:突如この世界に来てしまった犬。
月吠ランク:|2《レクマ》
---
名前:闇夜もんだ
容姿:白髪ロングヘアで白の狼の耳。狐の面を首からさげている。服は黒。
種族:DATA NULL
武器:DATA NULL
能力:|闇に染まる一匹狼《ダークウェアウルフ》
能力説明:DATA NULL
初登場話:2話
その他要項:街の方にある何でも屋の1人······なのだが、面倒くさがって事務所でだらけていつも相方に怒られている。
月吠ランク:DATA NULL
ランク詳細
1~10に割り振られている。1が最弱、10が最強。
この世界の者は、必ず何処かに装飾品としてランクを表すバッチが付いている。
|1《アタ》
|2《レクマ》
|3《ルルシア》
|4《ザンレス》
|5《ソドファ》
|6《ルト》
|7《ミルフェ》
|8《ボフォム》
|9《ヴァファサ》
|10《ポトレア》
また、魔物類はこれとは別に、強い順にアルファ、ベータ、ガンマランクに分けられている。
アルファランクの魔物は「支配者」とも呼ばれており、生半可な気持ちで挑むと生きては帰ってこれないレベルの強さ。······いや、どれだけ覚悟していても勝てないレベルの魔物もいる······。
その他にも、浮島からうっかり堕ちてしまった先にある奈落地帯にもこれとは別のランク付けがされた何かが潜んでいるらしい。