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小説名文引用 2
丸パクリ続き。
一部グロ描写・性描写があるためR18とさせていただいてます。
目次(作者別・作品名読破順・敬称略)
7. 島田荘司
・占星術殺人事件
・斜め屋敷の犯罪(神視点・追体験風)
・異邦の騎士(一人称)
・御手洗の挨拶・ダンス
・暗闇坂の人喰いの木(グロ描写注意)
・水晶のピラミッド・眩暈
・アトポス・龍臥邸事件(上下巻)
・御手洗のメロディ・ロシア幽霊軍艦事件
・最後のディナー
8. 高木彬光
・呪縛の家・人形はなぜ殺される
9. 筒井康隆
・ロートレック荘殺人事件
10. 早坂吝
・○○○○○○○○殺人事件・誰も僕を裁けない
11. 東野圭吾
・探偵ガリレオ
12. 辻村深月
・冷たい校舎の時は止まる
13. 外国作品など
・良い感じの言葉(長いです)
・神が憎むもの
・アクロイド殺し
・死の接吻
14. その他(ネット・自作を含む)
※ネタバレ防止のため(?)、登場人物が入る所に伏字が使われています。
--- 7.島田荘司 ---
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≪占星術殺人事件≫
・もとは丘陵を切り開いて造成された土地のため、少し見晴らしの良い場所にある。
・この圧倒的な量の静寂が、たちまちのうちに同量の恐怖に変わっていくに違いないという予感に襲われた。
・「会えば解るよ」御手洗はこう言うとき、決して教えようとしない。
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≪斜め屋敷の犯罪(神視点・追体験風)≫
・堂々と砂糖をまぶしたような声で、ーと言った
・――は一向に男性用の声の調子を崩さない。
・尋ねられてもいないうちから馬脚を現した。(隠し事がばれる様なことを言う事)
・頭上に蓄えた金貨の重みが、多少なりともその人間の精神を押し歪めるという現象は、洋の東西を問わず、まず間違いなく起こるものだ。
・陰鬱な色に染まった上空で、高く低く、呻くような寒風の囁きが、絶えず聞こえた。
---
≪異邦の騎士(一人称)≫
・彼女の言い方は、こちらのささくれだった気分をあっさりとほぐす力があるようだ。
・コンクリートの上の打ち水が、朝陽をまぶしく照り返す。その上を、二人で踏みしめる。
・こっちに手を伸ばす。苦しいらしくほとんど聞き取れない。途切れ途切れに、言葉らしいものが口の端に浮かぶ。急いで両膝をつき、耳を近づける。
・怒り、悲しみ、絶望。頭の中が沸騰してなにも考えられなかった。
・一時に十歳も年をとったように思える。喜びよりも悲しみの方が、人間の精神に年齢を刻む。
・ーの光芒だけが、激しく目を射る。
・こう前置きしてから御手洗は、長く、そして驚くべき物語を語り始めた。このときの自分には、無論到底承服のできない話であった。
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≪御手洗の挨拶・ダンス≫
・表で始終、雨のしぶく音がしている
・冬の陽がすっかり落ちきる前のわずかな残り陽が、寒々とさしている。
・明かりを絞られた照明の下、静かにバイオリンの調べが流れ、蝋燭の明りが、私たちのナイフを持つ手許を柔らかく照らしていた。
・光る砂を撒いたように東京の夜景が広がっていた。少年は小さく歓声をあげ、早足になった。
・形容が難しい風変わりな魅力を、僕は彼から絶えず感じた。
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≪暗闇坂の人喰いの木≫ 一部グロ描写あり
・見上げた辺りには、だんだん強くなり始める風に、葉を大海の大波のようにうねらせる、大楠の枝々があった。
・まるで地獄の血の池を這いずり回りながら呻き声をあげているような人間の声が、沢山聞こえるということだ。
・まるで、嫌な色をしたボロ雑巾のようだった。あちこちの肉がザクロの実のように弾け、そこから赤黒い肉とすっかり黒ずんだ血が噴き出し、糸を引くような感じで垂れ下がっていた。頭部は全く原型を留めていない。顔の辺りは特に、表も裏も解らない。
・たっぷり一分ばかり、私はここに佇んだのだが、思えばこれは象徴的なことだった。この木が、これからの陰惨な事件の主役を演ずるのである。
・殺伐とした気配を感じるせいか、あるいは単に奇怪な死人が出た場所だという先入観に毒されたせいなのか。
・謎の本質は永久に解けることのない謎として、時空の迷宮に閉じ込められる。それによって、歴史という巨大な木の、ささやかな年輪の皺の一つとして刻まれるのさ。
・筆者の知性が随所に鏤(ちりば)められたエッセイ
・夕陽は見えないが、西方の空の裾がわずかに茜色に染まっている。
・池に月影が映じる。
・人混みに分け入り、先へ抜けようと思うようなとき、彼は話しかけることもせず、さも当然の面持ちで、手にもったステッキの先を人の体の間に押し込み、こじ開けるように動かして道を作る。
・まだ断定はできないが、その可能性は他を圧している。
・そう考えるのは用心しすぎだとは言えないだろうな。今私たちは歴史の展開を知っているから少々奇妙に思えるだけで、当時の人々からすれば至極当然の発想だと言える。
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≪水晶のピラミッド≫ 一部グロ描写あり
・このいわば母なる土地を血で染め、己の利益のために奪い取ろうとする。この行為は自分たちだけが歴史の主役だといううぬぼれが言わせるのです。
・見上げると、両側から石が、上へ行くほどに少しずつせりだしていって、上空ではとても狭くなるのです。ここは巨大な石の裂け目のような、大変不思議な場所です。
・堂々たる体躯、半白のひげを鼻下と、頬から顎にかけて生やし、ゆったりとした動作と話し方は、周囲の者に対し、威厳と自信を発散させた。
・自分の都合で神の意志を自在に捻じ曲げるのだ。どんな卑怯な行いをしようと、自分の足元からだけは、紙は決して逃げていかぬとうぬぼれている。はらわたの腐った奴らだ。目にものを見せてくれる。
・足元で白く砕ける波を、レースつきの白布のように従え、岩の孤島の上にそれは屹立していた。
・視線をゆっくりと降ろし戻しながら、背後の石積みの塔をみようとした時だった。
・この花崗岩は、表面をきちんと研磨処理したもので、ワックスのような透明な液体が薄く塗られている。鏡のようにつるつると光っていた。
・ここはかつて古代の都市だったのだが、彼方の方角から大量の砂がやって来て、この都市を埋めてしまった。そして、都市は廃墟となった。砂をすべて取り除けば、雄大な古代都市の遺跡が、姿を現すに違いない。
・不思議なことに、その直感は当たっているぞという気分が私を襲い、容易に去らなくなった。耳許で、何者かが、その通りだ、その通りだ、と囁くのだ。
・御手洗はゆっくりと彼女を見た。その目には軽蔑しきった光があった。「金で釣ろうっていう腹積もりかい?」
・数千年も神秘の帳に包まれていたこの場所も、ついにその姿が白日のもとに晒された。
・御主人たちは女奴隷を買ってくると、だいたい“手ごめ”にしていたのですよ。
・私たちは奴隷を使って自分が楽をしようとする誘惑から逃れたのです。
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≪|眩暈《めまい》≫ 一部グロ描写あり
・彼は屈託のない、しかも物慣れた調子で私に訊いてきた。
・こぶのような薄茶色の隆起が顔にいくつも出ていた。鼻孔を二つともすっかり塞いでしまっている。
・顔中が赤黒く変色してしまっていて、腫瘍化を通り越して潰瘍化しているのだ。隆起は鼻を変形させ、唇まで押し開け、口の中からも赤い泡のような物が噴き出している。顔面の半分が固まる途中の溶岩のように真っ赤で、乾いたところは黄色い。片目はも、すっかり潰れている。正視に堪えない眺めだ。
・太陽が消滅し、世界が終わると民が怯えた事件は、過去に何度も起きています。ある民は鐘や太鼓を打ち鳴らし、踊り回って天に祈りを捧げ、またある民は、巫女の首をはねた。まあ、太陽の消失というのは今で言うと「日蝕」のことなんだけどね。
・君のような病魔は野に放つに限る。いずれまた、僕の退屈を救ってくれるだろうからね。
・次の瞬間からは、もう何も記憶がなかった。大きな音を聞いた気もする。すぐそばで、大声で語り合ったり、怒鳴ったりするのを聞いたような記憶もある。救急車のサイレンの音も、微かに記憶がある――が、これらは考えてみれば、事故を起こした人間なら誰でも想像がつく情景だから、昏睡状態にあったぼくが、自分の身に降り掛かった非現実を、あたかも体験したことのように想像してしまったのかもしれない。(一部改変あり)
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≪アトポス≫ 一部グロ描写あり
・「乗馬鞭を」衛兵から鞭を受け取るが早いか、渾身の勢いを込めて、――の裸の尻に打ち下ろした。恐ろしい悲鳴が、迎賓室中に響き渡った。悲鳴の余韻が消えぬうちに、二打目を振り下ろした。鞭が風を切る恐ろしい音。そして肉を打つ鈍い響き、それから激しい悲鳴と喚くような泣き声が続いた。折檻は長く続けられ、――の臀部の皮膚は裂け、血が滲み出た。しかし、――は手加減せず、その血をさらに打ち据えて、飛沫にして飛ばした。
・あまりのことに――は、悲鳴さえ喉の奥深くに引っ込んだ。彼女の声は喉元に絡み付き、夫を呼ぶ言葉も出ず、酸素を求めて喘ぐように、パクパクと口が徒(いたずら)に開閉するばかりだった。
・心臓はほどなくある人物の白い華奢な手のひらに載って、持ち主の身体から離れた。人物の喘ぎ声がひときわ高くなった。心臓は小刻みに震えている。それは、人物の手が震えているせいだった。喘ぎ声は、もう一刻も待てないという人物の激情を示しているらしかった。
・切れ目から黒い血が覗き、盛り上がり、あふれる。
・中国南部に上陸したその流毒(阿片)は.そのためみるみる国土を覆い尽くし.ピクリとも動かぬ程に、眠り込んだ。
・――の裏表のような地区で、治安が劣悪で、薄汚れ、垢抜けず、まるで毒煙に霞む廃墟だった。
・黴臭い路地の壁に寄りかかる彼女たちに、客は立ったままで挑み、そそくさと欲を処理した。
・厚い深紅のカーテンが下がっていた。支配人がこれをはぐりあげ、四人を中に入れた。
・砂漠には強い風が吹く。無闇やたらと肌を晒せば、まるで炎の余韻のようにさえ感じられる乾いた熱風を味わえるだろう。
・ローマは長期政権による権勢をふるって度しがたく傲慢となり、不必要に多くの多民族を抑圧し、その後虐殺した。
・ここの向こう側には、二艘の船がもやわれた死海の渚があった(もやう=停泊)
・夜を根こそぎ揺さぶりたてるような、あの奇怪な音。
・血管が疼き、両手でさっとこめかみを押さえた。頭痛が始まりそうな予兆を感じ取ったからだ。まずい、このままでは頭痛がくる。ああ、窓を開けたい。開けて、外の空気を吸いたい、そう願った。
ベッドから降りて、爪先から室内履きを差し入れた。
・時折泣いたり笑ったり不可解な情動音が電話口から絶えず聞こえてくる。
・吸血鬼やら殺人淫楽症やら麻薬常習犯やら……下らないね! 君は万人に解りやすい、手垢のついたストーリーに飛び付いているだけなのさ。
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≪龍臥邸事件(上・下)≫ 一部グロ描写あり
・部屋の上部には欄間――天井と襖との境目――が設けられており、竜の透かし彫りの入った板が真一文字に填まっている。樹の稜線を生かした意匠にしてある。
・老人は元気のない声で言った。その声や表情は、私の目からは悲しげに見えた。戸惑いや悲しみ、そしてやり場のない怒り、そういう感情が混合された結果、彼はすっかり虚脱状態となっているように見受けられる。
・彼女に大人しく抱かれていて、時折むずがって足をばたつかせた。
・あらゆる憎悪と狂気、因縁が、あの目に凝縮して描き込まれていた。あの絵は、おそらく村人を片っ端から血祭りにあげたあの伝説の夜を描いているのだろう。人鬼の、額の鉢巻きと剣はともに暗褐色で染まっていた。激しい恐怖のなかで死んでいった者たちから跳んだ血飛沫で鮮血に染まり、それからすぐ後に組織片が付着していくそのさまをリアルなタッチで描ききったようだった。
・声は、相変わらず不可解だ。はあはあと喘ぐように聞こえるときもあれば、すすり泣くような細い声が、長く長く尾を引くようなこともある。さらには短い悲鳴が断続的に叫ばれることもあった。
――亡霊の類いだろうか。いや、それにしてはあまりにも人間的すぎる。誰かが危険を感じて叫んでいるわけでもない。ただ、感情の赴くままに長く長く、そしてある時は甲高く叫ぶように、ある時は低く唸るように、いつまでも意味のなく、丁度動物が親に甘える時のような声を立て続けているのだ。
・この手の事件が単純でなかったためしがない。仮に複雑に見えているとしたら、大抵は単純なストーリーが、複数絡み合っているためなんだよ。
・腹に開いた穴からゆっくりと、腸管がせり出した。
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≪御手洗のメロディ≫
・ここの海は陽に炙られた潮と木の匂いがする。風にこの匂いが混じっている。あの海は違う。あれはもっと湿っていて、冷たくて必ず石の匂いがするんだ。茶色の岩場を始終波が洗っている。
・他人の痛みを自分の痛みのように変換して、呼吸さえ苦しくなる。その悲しみと苦痛とで相手と自分との位置を推し量るような、そういった関係になっていたのだ。
・「ビリー、これはゲームだと言っただろう? 否定されてない以上、このように話すことは許される」
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≪ロシア幽霊軍艦事件≫
・――は、両手を胸の辺りで組んでソファーに浅く掛け、両足を行儀悪くテーブルに投げ出していた。
・私はこんな意匠の暖炉を見たことがなかった。火が入る下の部分には緑のタイル、その上の煙突を兼ねているのであろう装飾壁の部分には青のタイルが張られていて…
・
「――はそこで殺されたことになっている」
「なっている?」
「ふん。歴史とは多数の合意による嘘八百。いまとなっては解らずじまいさ」
「じゃあ、これが本物だって言いたいのかい?」
「そうは言ってないさ。判断材料は多分に不足している。簡単には決めない方がいい」
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≪最後のディナー≫
・この店の中は天井が高く、高い窓にはステンドグラスが填まっていて、その横に狭い、テラス席に似た中二階が造ってある。
・火山灰で日夜村は濃霧のような有り様で、一寸先が見えない。地面は灰で真っ白で土も見えない。
・大量の灰で家が押し潰されていました。ご存じだとは思いますが、火山灰は細かいガラス性の粒子です。肺をやられて病気になるもの、目が潰れるものなど、この天災で犠牲者が続出したんですが、最もの被害は農地だったわけです。
・草木は愚か、実ることすら許されなかったがために、ねずみも鳥も姿を消したと。あるのは真っ白な景色と、動かぬ屍だけが漫然と広がっていたらしいんです。
・気分が一時晴れるのだが、麻薬のように、あとで揺り戻しが来る。
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--- 8.高木彬光 ---
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≪呪縛の家≫
・微笑よりかすかな動きが彼の唇に現れ、跡かたなく過ぎ去る。
・警部の問いに女は黙る。だが、途端に赤く染まった頬は、巫女という仕事を忘れ、ただの女に返ったようだ。ここでは明らかにできないある言葉を、沈黙という雄弁さをもって伝えてきたのだ。
・一度勢いを得始め、上げ潮に乗ったときにはもう、止めようがありません。
・嘲るような一言を唇から洩らしたまま、この巫女は濃艶とした口元に妖しい微笑みを浮かべた。
諸君は謎が解けましたか。
何、分からないって? 困りますねえ。そんなにカンが悪くっちゃ。それではここで最後のヒントを与えましょう。ここまで書いて分からないようじゃ、頭がどうかしています。
・「ぼくは今までこの犯人を生まれ変わった悪魔の殺人、正義の余韻に酔ったこの上ない極悪人だと思っていた。だがやはり、上には上がいる。
ああして法廷まで出張ってきて、引きずり出されて演説している人間をほくそ笑み来たんだ。それに比べてあんな人間なんて極悪人じゃない。人に罪を犯させて、その代償を捧げさせてくれる人間をとことん利用し、自分は生ずる利益を総取りする……そういう残酷な考えをまるで楽しむかのように見守る者が本当の極悪人なんだ」
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≪呪縛の家≫
・諸君は謎が解けましたか。
何、分からないって? 困りますねえ。そんなにカンが悪くっちゃ。それではここで最後のヒントを与えましょう。ここまで書いて分からないようじゃ、頭がどうかしています。
≪人形はなぜ殺される?≫
・だが、彼自身も「――」という言葉が喉の奥から出ていながら、辛うじて声帯にこびりついてどうしても唇を離れなかった。
・上流階級の人間は、家柄とか格式とか、そういう下らないものばかり重んじて、自分等の仲間同士で結婚するのです。その結果どうなるか? 当然考えられるのは生物学的な意味で生命力の低下ですよね。
・魔王の夜宴≪サバト≫
ファウスト第一部、ワルプルギスの夜の場面に絢爛と描き出された悪魔の集い――魔法使いが一人残らず箒にのって駆けつける――暗い夜空を流星のごとく、信者たちは何か眼に見えぬ力に掴まれて煙突から外に運び出され、熊手や蛙や牡山羊の背に乗せられて会場へ向かうのです。魔法使いたちは悪魔の膏薬を体に塗りつけ、爬虫類の歯、蟇(かえる)の皮膚、死刑囚の内臓、赤ん坊の脳味噌、梟の糞、牡山羊の胆汁、その他ありとあらゆる奇々怪々なものを並べた祭壇にぬかずき、呪い、悪魔の6誡を実行する…
・ 「悪魔の6誡」
淫猥な踊り 不潔な餐宴 悪魔的な同性愛 復讐 犠牲の殺害 神への冒涜
・ 狂わしいほど調子の激しい恭介の言葉に巻き込まれないと、心のなかで必死に努力を続けながら、ずるずると底抜けで魅惑的な泥沼へ引き込まれていくような気がした。
・ 途端に素早く、電波のような視線を交わすと、~
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--- 9.筒井康隆 ---
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≪ロートレック荘殺人事件≫
・厚紙に描かれた、ベッドの上で絡み合う二人の女。頭の方から描かれているため、隠れている下半身の有り様を想像させられた。見ようによってはいくらでも淫蕩な妄想が可能である。
・まるで見物料を支払っているのだから人間扱いしなくてもいいとでも思っているような目で、俺の体躯をみた。
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--- 10.早坂吝 ---
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≪○○○○○○○○殺人事件≫
俺たちは知り合って三日目とは思えないほど密着し、唇と舌を貪り合った。らいちは素早くしゃがみ込んでフェラチオを始めた。
左手で自分の股間を触りながら、右手を俺の肛門に伸ばしてくる。そこは初めてだったので精神的な抵抗はあったが、実際のものはスムーズに俺の中に入ってきた。人差し指と中指だ。その二本が内側から俺を愛撫する。前後からの快感に耐え切れず、あっという間に口の中に射精した。
慌ててティッシュを取りに行こうとすると、らいちは喉を鳴らして飲み下し、泣き笑いの顔で言った。
「滅茶苦茶にして。全部忘れさせて」
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≪誰も僕を裁けない≫
1
「しゃぶってくれ」
藍川さんは、やさぐれた口調でいった。
私は跪き、一日の戦いを終えたチンポを口でねぎらった。藍川さんは私の頭を掴み、喉の奥に射精した。そのまま小便も出される。すごい量だ。私に飲ませるためにずっと我慢していたのかと思うと笑える。私はマルセル・デュシャンの『泉』のことを考えた。
私は娼婦だ。一晩五万円。馴染みのお客様はこうやってマンションに招くこともある。
2
突然僕のペニスを掴んだ。そのまま引き寄せられ、僕は彼女に覆い被さる形で布団の上に倒れ込んだ。
その後のことは詳しく描写する必要はないだろう。概略を言えば、犯されたのは僕の方だった。彼女は荒波のように激しく、僕も最初のうちは抵抗しようとしていたのだが、すぐに力尽きて身を任せるしかなかった。やがて僕は快楽の浜辺に導かれた。
かと思えば、またすぐ逆巻く海中に引きずり込まれた。それらは寄せては返す波のごとく交互に繰り返し、僕の岩礁を削り取った。
「男ってバカよね」
彼女が僕の顔面に跨がり、ペニスを咥えている、いわゆる69の最中での発言だった。意識が自分の下半身に吸い寄せられていた僕は思わず聞き返した。「今何て?」
「『男ってバカよね』っていったの。こっちはいつでも噛み切れるし握り潰せるのに、呆れた面で無防備にしゃぶられちゃって」
そう言うと、彼女は竿に歯を立て、袋を握りしめた。僕の悲鳴とともに迸る肉汁のような精液が彼女の口内に放たれた。
僕が放心していると、顔の上で埼が言った。 「何かおしっこしたくなってきちゃったなあ」 「えっと、じゃあトイレに行きますか」
僕は提案した。ところが彼女は邪悪な笑みを浮かべた。
「何言ってるのよ、ここに便器があるじゃない」
「え?」
まさか…………。
「私だって不味い精液飲んであげたんだから。ほら、口開けて」
彼女はしなやかな指で僕の鼻をつまむと、酸素を求めて開いた僕の口に放尿した。
僕は息をしようと、塩辛く温かい液体を必死に飲み下した。それが流れ込んだかのように、僕のペニスは再び膨張し始めた。
やがて雨がやんだ。彼女は全身をぶるっと震わせると、今が我が世の春という表情で言った。
「ありがとう、スッキリしたわ。お返しにあなたのおしっこも飲んであげるけど」
僕はひとしきりむせてから言った。
「……いえ、結構です」
「そう? したくなったら、いつでも言ってね」
そこで彼女は僕の勃起に気付き、それを指で弾いた。
「何よこれ、バッキバキじゃない。おしっこ飲まされて興奮したの、ねえ」
「いや、これは」
「変態」
彼女は馬乗りになってペニスを挿入すると、僕の両腕を押さえ付けて力強く腰を振り始めた。
天井のシミを数えている間に終わるよ――経験豊富な男が処女に言う古い定型句だ。何となくそれを思い出した僕は、蹂躙されている間、ぼんやりと天井のシミを数えていた。
・何カ所か窓が開いていた。だがそこから犯人が出入りした可能性は低い。窓の外には鉤縄を引っかけられるベランダや、よじ登れる雨樋などもないからだ。 ほぼ間違いなく内部犯だろう。
私は持っていた携帯で現場の写真を撮った。
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--- 11.東野圭吾 ---
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≪探偵ガリレオ≫
・彼らにしてみれば、娘を失うのは二度目だったのかもしれない。一度目は彼女の心を。そして今回、すべてを失った。
・――の背中が細かく震えた。口許を覆った指の隙間から嗚咽が漏れた。
・黒い瞳に好奇の色を浮かべ、顔を寄せた。
長文☆
「検証することもなく、ただ自分の考えや感覚と合わないからというだけの理由で人の意見を却下するのは、向上心のない怠け者のやることだ」
「怠け者?」
「そう、怠け者。人の意見に耳を傾け、自分のやり方や考え方が正しいのかどうかを常にチェックし続けるのは、肉体的にも精神的にも負担が大きい。それに比べて、他人の意見に耳を貸さず、自分の考えだけに固執していうのは楽だ。そして楽なことを求めるのは怠け者、違いますか?」
・「――は素人の僕の意見を尊重する。女性の、しかも後輩刑事の声にも耳を傾ける。あなたには、彼と同じことはできないのかな?」
・羽虫が飛び回るような音が脳内で響き始めた。
☆長文
「それにだ」彼は鋭い目になって薫のほうを指差してきた。
「相手の対応が期待通りにならないたびに、女だからなのかとぼやくようなら、今の仕事はさっさとやめた方がいい」
――は奥歯を噛み締めた。悔しいが、物理学者のいう通りだった。あらゆるハンディは覚悟の上で、この仕事を選んだはずなのだ。
・――は了承の言葉をいいながら、そんなことは絶対にするものかと心に決めていた。役に立つ男は、刃物や火薬と同じだ。扱い方を間違えるとこちらの身が危うくなる。
・たまたま身体が空いていたので、その日に来てもらった。
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--- 12.辻村深月---
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≪冷たい校舎の時は止まる≫
・また目があった。昭彦はその目に浮かんでいる物言いたげな色に気がついたが、それからふいっと目を逸らした。自転車のペダルに足をかける。そうして、――に背を向けた。
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--- 13.外国作品など ---
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≪良い感じの言葉(長いです)≫
・善良の民をあざける人よ、いつまであざけりを楽しむのか。愚かな人よ、いつまで己を偽り、騙し、乗っ取り続け、そして人を呪い殺すように憎むのか。 私の戒めを受け入れなさい。そうすれば、私の言葉は力を注ぎだし、導かせ知らせよう。
……と、私がそう何度も呼び掛けたのに、彼らはそっぽを向き、拒み続けた。手を差し出しても、誰も注意を払おうともしなかった。一体誰のお陰でこのような生活ができたのか、一体誰のお陰でここまでなに不自由なく生き永らえてきたのだろうか。私の問いは賽を投げられるようにして空を飛び世界を廻った。しかし、彼らは私の存在を否定し,無視した。
だから同じように私も彼らの災難を笑おう。彼らが最も恐れていたことが起きる時,私は嘲笑をくれてやろう。 嵐のような災難が暴風のように荒れ狂う時。苦難と困難が降り掛かる時。その時、彼らは私を呼び、ようやく嘆願するが、私は答えない。私を必死に捜すが、見つけられない。 知識を嫌い,神を畏れようともせず、ただただ不快にさせたからだ。
彼らは私の助言を退け,驕傲さを全く改めなかったので、当然の報いを受け、塵のように死に絶える。死骸が地を埋め尽くし、やがて死の花を咲かせた怪物にしゃぶり尽くされ搾り取られる。自らの運命を悟った愚かな人々は身勝手なので勝手に死ぬことになり,愚かに滅びるのである。
一方で、私の言うことを聞く人は、背中に羽根が生え、大海を飛び、安住の地を踏みしめる。来るべき時に訪れる災いを恐れることも動揺することもない。
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≪神が憎むもの≫
・傲慢な目・嘘をつく舌
・無実なる人の血を流す手
・邪悪なことを企む心
・急いで悪に走る足
・嘘ばかり言う不正直な証人
・兄弟の間に口論を引き起こす者
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≪アクロイド殺し≫
※外国作品のため翻訳者が上手くない
・幸いなことにとある友人との長い付き合いのお陰で、無表情な顔で当たりさわりのない受け答えが出来てしまう。そういう修練を今まで何回やって来たことか。
・
「実は、あの事件の真相を知っているのです」
「あなたがどうやって知ったのです?」
「自分の妻に聞いた…死ぬ前に」
「いつです?」
「たった昨日だ!!」
「昨日?!」
「ああ、もう十年も昔のことのような気もするが……俺の記憶は確かだ」
輝かしい記憶が頭を混乱させているようだ。実際には十年前にはもう死んでいる。相手が先に続けるのを待って私は黙った。
・「私が自分の義務を怠っているだなんて、誰にも言わせませんわ」高慢なアクロイド夫人はこう言った。
・幸運なことに、言葉というのは上手に用いれば知られたくない醜悪な恥部を覆い隠してくれる。
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≪死の接吻≫
・女性がラブレターに見入っている時のように、眼に見えないほど微かな笑みを唇に浮かべて。
・すべてがずり落ちてゆく。あらゆるものが浜辺に築いた砂の城に潮が押し寄せて溶けていくように崩れ去っていく。あらゆるものが、あの二つの大理石のような眼の中に彼を突き落とし、問い掛けられた質問が、鐘の内部にいるようにぐらぐら揺れて、鳴り響いていた。
・
「その手紙返してちょうだい! 返して!」数秒経って――ののんきな声が聞こえてきた。
「いいじゃないか。それに僕の好奇心は図々しい奴でね。ちょっと頭のいかれた従妹とか三文小説じみたお話にぶつかると、どうにも収まりがきかなくなるんだ」
・「いずれにしても、彼が三姉妹とも関係があったとなると、彼はすごく善良な性格で、三姉妹の誰か一人と結婚できればいいと思っていた青年だったというわけですよ。要するに誰でも良かったわけだ! まあ、とは言うものの、こいつはそう気違いじみてはいないと思いますね。目的はただひとつ。立身出世、つまり財産目当てだ。結婚や殺人は、目的に到達するための数ある手段に過ぎないと考える非情な男だけど頭はいいと思いますよ」
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--- 14.その他(ネット・自作を含む) ---
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ネット
・地の利はこちらにはないが、「知」の利はこちらの方が上だとでも思っているのだろう。たかが村一つ、簡単に蹂躙できるわと舐めてかかっているに違いない。
・身の安全のためにも軽挙は慎まねば。だが、だからといって侵略される様を間近で、しかも指を咥えて待っているわけにもいかない。さて、どうすべきか……。
・白いドレスが、たちまち赤く染まった。レースのカーテンから深紅の絨毯に変化してしまった。
・会場は人いきれでむっとこもっている。
・おそらくここが分水嶺だったのだろう。自身はどうであれ、傍目から見たら地獄へ通ずる道だというのに、彼は意気揚々と走り続けてしまったのだ。
・尖った岩の峰と花崗岩の山脈が、北アメリカの最北地帯を約1126kmにわたり横断しています。
・窓際の壁を背に、床に座った。
・パープルグレーのドレスを身に纏う彼女。夜空に浮かぶ星座のような刺繍が美しかった。
・皮が切られるような痛みが広がる。
・低張ながら、幾ばくかの感情を含んだ声で彼女を助勢する。
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未来のオレへ
俺は絶対ビッグになる!
毎日電車に乗って下らない仕事してブサイクな嫁を妥協してもらい、猿みたいなガキを作り、家でも会社でもどやされるようなおっさんには死んでもならねえ。
見てろよ世間! 俺はビッグになる!
☆
昔のオレへ
なぁ、ビッグになるって具体的に何のことだ?
どのくらいの時間をかけて何をしてどんな風になることを指してたんだ?
自分は特別だから、時間経過で勝手になれるってか?
下らない仕事にブスの嫁、中出ししただけの糞ガキを守ることこそ怠惰に見合った幸せだったってのに。