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【第二日目】「大声ヲ出スト排除」(前編)
『みなさん、おはようございまーす!!二日目ですよ〜!!』
ドーム内にやたらと明るい声が響き渡る。結局夜更かしした蓮は、目をこすりながら空を見上げてモニターを見つめた。まだ深夜ではあるが、他にも人がマンションから出て同じ様にモニターを見つめている。
「…?一日目の時とは違うな。機械の合成音みたいなものだったが。」
不審に思い、首を傾げてそう呟く。
『今日のルールを発表します!!【`大声を出すと排除`】でーす!』
そんな蓮の声など聞こえていないかの様に、ホログラムのモニターの向こうから聞こえる声は高らかにそう告げた。
「お前大声出してんじゃねーかよ。」
大半の人が思ったであろうことを声に出してそうツッコミをいれる。まぁ主催者側からすると自分達はルールの対象外なのだろう。
「(まぁ、昨日よりかはずっといいな。他の奴らとも接触できるし…情報が入る。)」
頭の中でそう計画を立てながら、モニターのタイマーが動き始めたのを見て辺りを見渡す。
「よっ、やっとこれで話せるなァー?」
待ってましたと言わんばかりにエナドリを片手に持ち、ニヤニヤとしながら紫樹が蓮の方へと近づいてくる。
「俺は降鐘紫樹だ。君の名前は?」
エナドリを持っている手を軽く振りながら、ギザ歯を覗かせてそう問いかける。
「…綺堂蓮だ。」
「蓮…か。へぇ〜、いい名前だね♪」
紫樹は頭に焼き付ける様に復唱し、もう用がないのか、ヒラヒラと片手を振ってその場から立ち去った。蓮はその後ろ姿を横目で睨みつけながら、ふと思い出した様に顔を上げる。
「(…そういえば、あの人達にも名前聞いてみるか。)」
「あぁ、僕の名前ですか?伊吹幸人です。昨日は名乗れませんでしたからね。よろしくお願いします、綺堂さん」
蓮がまず向かったのは伊吹の方だった。伊吹は変わらず、丁寧な口調で話す。どこまでも冷静だなと思いつつ、蓮は感謝の言葉を述べた。
「自分は石神侑李。よろしく、蓮君。」
蓮が続いて向かったのは、マンションにある自分と石神の部屋だった。石神は既にそこに戻っており、名乗りながらも、何処から取り出したのやら、石神は楽器を手にしていた。
「…なんだ、それ?」
「自分の能力です。よし、一曲思いついた。早速メロディにするからちょっと待っててね。」
デスゲームの最中にも関わらず作曲をする石神のマイペースさに蓮は呆れ、ため息をついてその場から離れた。その蓮の様子を遠くから眺めている女性がいた。
「…?」
蓮は視線に気付き、そちらの方へと顔を向ける。その女性は蓮が自分を見ているのに気付き、ぺこりと頭を下げて近づいてきた。
「あ、私は花島理実です。中学校の教師をやっています…!」
丁寧に自己紹介をしてくる感じ、悪い人ではなさそうだ。そもそも、この人からは悪意という感情が全く感じられない。石神の時もそうだった。
「…なんでさっき俺を見てた?」
何故自分を見ていたのか疑問に思ってそう問いかける。理実は小さく肩を震わせ、何か言いかけた瞬間、新たに人が割り込んできた。
「よう、何してんだ?」
矢井姑が白髪ウルフカットの髪を揺らし、丁寧にスーツを着た姿でそこに立っていた。
蓮はその矢井の胸元についている議員記章に目が留まる。政治家だろう、蓮はテレビや記事で見たことがある様な気がした。そんなに興味がないのであまり分からないが、ただの勘だがこいつには良い印象がない。
「…ただ自己紹介をしているだけだが、お前はなんていうんだ?」
「初対面の人に対して失礼だな、俺は矢井姑。見ての通り政治家だ。」
矢井は自身のスーツの胸元についている議員記章を人差し指でトントン、と叩いてそう言った。
「矢井さん、ですか……!私は花島理実です、中学校の教師をしています。」
理実が二人の会話を聞きながら、肩にかけている小さい黒のカバンの持ち手を片手でキュッと握りしめながら、丁寧に挨拶をした。
「理実ちゃんか、よろしくな。」
矢井はニヤリと不敵に笑ってそう言った。
「…俺はこれで失礼する。」
蓮は二人が名乗りあったのを確認すると、本日何度目かのため息をついて踵を返し、その場から離れた。そのマイペースさに理実と矢井が後ろで呆れているのも気にせず、そのまま足を進める。
「(とりあえず、何人かの情報を知ることができた。)」
頭の中で今までの情報を整理しながら、ほんの少しだけ、何かを企む様な笑みをその顔に浮かべた。
【今回の出演者】
・綺堂蓮
・降鐘紫樹
・伊吹幸人
・石神侑李
・花島理実
・矢井姑
中編へ続く─